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2011年07月

経営
2011年7月29日

競争地位の4類型 | 漠然と頑張るのではなく自社がどのような位置にいるかを把握することが重要です

競争地位の類型_001
競争地位の4類型とはコトラー(kotler)が企業の役割の違いで競争ポジションを類型化したものです。

1.リーダー
当該市場で最大の市場シェアを保持している企業です。いわゆる業界再王手の企業を指します。リーダーは最大の市場シェアを保持していいるため、最も多くの経営資源を保有しているとされます。

2.チャレンジャー
当該市場のリーダーの地位を狙っている企業です。業界では2番手、3番手に位置しており、市場自体が成長しているときは一緒に成長することが可能ですが、市場が低成長期に差し掛かると、リーダーや下位企業から市場シェアを侵食されるとされています。

3.フォロワー
リーダーやチャレンジャーの市場戦略を模倣し、低コストの製品を供給する事によって市場内で存続することを目指す企業です。(模倣戦略

4.ニッチャー
市場内のニッチ(すきま)を探り出してその特殊市場内でリーダーになろうとする企業です。1.~3.のそれぞれの戦略に直接的には競合しません。

今回のまんがではパーカッションパートの人たちをそれぞれに例えています。4コマ目のギロが専門だといっている生徒は、その特殊市場内では圧倒的な地位を築いています。自分の得意な楽器に特化するとは、目の付け所がいいといえますね。

ちなみにギロは下のような楽器です。
中をくりぬいたヒョウタンの外側に刻みを入れ、棒でこすって音を出す打楽器
ウィキペディアより引用

次回以降、それぞれの地位にある企業の戦略定石を解説します。

neko
市場の中で一番大きなシェアを持っているのがリーダーなんだね。リーダーは経営資源も多いからある意味、横綱相撲をする事ができるんだよね。

neko
市場が成長すれば、リーダーの地位を維持していれば自動的に規模が大きくなれるので、地位の維持を考えた行動をして行くのです。

hiyoko
そうよ、それに挑戦するのがチャレンジャーなのよ。経営資源面では劣勢のことが多いけど、市場シェアをひっくり返すために色々やっていくのよ。

hiyoko
ひっくり返せないと、市場の成長が頭打ちになった時に厳しい状況に追い込まれてしまうのよ。


  • 自社がどこに位置しているかを把握する
さて、このような競争地位の類型が示されていますが、肝心なことは自社がそのどれに位置するかを把握し、ライバル企業の位置づけも把握することです。


競争地位によって、目指すべき方向が異なりますので、自社を知った上で何をするべきかを考えて行くように、自社を知ることがとても重要なのです。




経営
2011年7月28日

多角化戦略 | 多角化と言っても既存の経営資源を活かして対応するのが王道です

多角化戦略_001
多角化戦略とはアンゾフの成長ベクトルのうち自社の経営資源を新しい製品、新しい市場の組み合わせによる新しい分野へ投入することで、事業の拡張を目指す戦略の一つです。

ここで一口に新しい分野といっても、既存事業との技術やマーケティングの関係により次の4つに分類することができます。すなわち「水平型」「垂直型」「集中型」「集成型」の4つです。それでは以下その4つについてみていきたいと思います。

1.水平型多角化戦略
現在の顧客と大体同じタイプの顧客を対象として、新しい製品部門に進出する多角化です。既存の生産技術や流通経路を利用できるためリスクを比較的低く抑えることが可能です。このまんがでは、職員相手に健康食品を販売すると言っています。
しかし、ほぼ同一の顧客層を対象とするため、市場が停滞している場合には収益の改善が得にくくなるといった点を指摘する事ができます。


2.垂直型多角化戦略
現在の製品の川上や川下に向けて事業を展開する多角化です。このまんがの例では農業へ進出(川上へ進出)することで、原材料を安価かつ安定的に確保できるようにしようとしています。
しかし、生産・流通の過程で生じた問題がそのまま他の段階にも波及してしまうというリスクもあります。このまんがの例では、農業生産が不作だった場合材料の確保に問題が生じてしまいます。

3.集中型多角化戦略
既存製品と新製品との間で、技術とマーケティングのどちらかもしくは双方へ関連性を持たせるように行う多角化です。

4.集成型多角化戦略
コングロマリット型多角化ともいい、生産技術面、マーケティング面双方に関連性のない全く新しい事業に進出する多角化です。この多角化は成長力が高いとみなされる分野で収益性を高めることや、本業とは逆の動向となる分野に進出することで安定性を高めることを目的として行います。
このまんがの例では唐突に秩父山先生がPC販売と言い出しています。何の関連性もない異業種への進出のため、この場合のリスクは高くなることが想定されます。

多角化の狙いとしては次のものがあげられます。

1.範囲の経済の獲得を目指す
先日解説した、単一企業が複数事業を営むほうが総コストが低くなるという効果の獲得を目指します。

2.リスクの分散
全く別事業が同時にトラブルに陥る危険性は少なくなります。

3.余剰資源の活用
余剰人員や余剰生産能力を遊ばせておくのではなく、新規事業に活用することができます。

  • 多角化と言っても関連性を持たせる
さて上の方に多角化戦略の代表的な考え方をまとめています。

こちらを見てお気づきになったかもしれませんが、確かに標的とする市場や製品群はどちらも新規となります。

しかし水平型多角化戦略のように顧客のタイプが似た市場を狙ったり、垂直型多角化戦略のように、サプライチェーンで考えた時の川上川下に進出するなど、基本的には全く新しい分野に唐突に進出するということではありません。

ただコングロマリット型多角化という全く無関係の授業に進出することも方法論としては考えられますが、事業経営のノウハウであるとか投資のノウハウなど何らかの既存の経営資源を活用することには違いありません。

このように、経営資源に限界があるというのが現実ですので、ある程度事業分野は関連性を持たせた方が望ましいと考えられます。
  • 多角化が進展すると何の会社かが分かりにくくなります
このような多角化戦略ですが、仮にうまくいったとしてもデメリットはあります。

それは事業ドメインがあやふやになり何の会社なのかが分かりにくくなるということです。

誰に何をどのように価値を提供していくかという事業ドメインは、会社の中核的な価値観を養うために重要なものとなります。

また、事業の運営にあたって求められる経営資源や資質が変わってくるため、複数の事業を同時に走らせると言うことにつながります。

その結果経営者や経営管理者の負担が著しく増大しますので、ある程度の規模になると分社化するなり事業部化する形で権限委譲を適切に行っていくことは通常よりもより強く求められます。

同時に飲食店と不動産賃貸業と金属加工業を営むとなると、相当大変ですし、経営者の関与という経営資源の投入が難しくなってしまうと言うイメージです。
経営
2011年7月27日

アンゾフの成長ベクトル

アンゾフ成長ベクトル_001
アンゾフの成長ベクトルとはロシア生まれの経営学者、アンゾフ(Ansoff)が提唱した経営戦略上の意思決定の実用的枠組みです。今後の成長の方向性を分析・評価するために用います。

この成長ベクトルとは、製品と市場の二軸を取った表を作成し、成長戦略をそれぞれ①「市場浸透」②「市場開拓」③「製品開発」④「多角化」と分類して考えます。以下その4つの類型について簡単に説明していきます。

アンゾフ成長ベクトル

1.市場浸透戦略
現在の製品、現在の市場に対して他社との競争に勝利し売上増大や市場シェアの向上を目指す戦略です。一般顧客をロイヤルカスタマー化する事を目指す場合もあります。
用いる手段としては
 ・広告宣伝の強化
 ・価格の改定
 ・カスタマーリレーションシップ・マネジメント(CRM)の導入
等があります。

2.市場開拓戦略
現在の製品で新市場を開拓していく戦略です。新市場への投入の場合、しばしば新ブランドを立ち上げます。用いる手段としては
 ・国内市場から海外進出
 ・業務用から一般用への進出
等があります。
このまんがの例では、今まで販売していなかった付属中の職員へ同じ製品を売るということを言っています。

3.製品開発戦略
現在の市場に対して新製品を開発・販売する戦略です。用いる手段としては
 ・短いサイクルで新製品の投入
 ・製品のバージョンアップ
等があります。
このまんがの例では、同じターゲットに向けて海鮮サンドという新製品を開発すると言っています。

4.多角化戦略
新しい市場に新しい製品を提供していくという戦略です。例えば、IT企業がスポーツクラブを運営するようなケースです。用いる手段は様々なものが考えられます。

多角化戦略について詳しくは後日ご説明しますが、アンゾフは、多角化戦略の類型として以下のようなものがあると指摘しています。

すなわち、横に事業を広げるイメージの「水平型多角化戦略」、流通経路の川上や川下へ事業を広げる「垂直型多角化戦略」、技術、マーケティング分野について少なくとも既存の事業と片方が関係する方向へ進む、「集中型多角化戦略」、全く関係ない分野へ進む「集成型多角化戦略」です。

漠然と、成長を目指すと考えるよりも、このアンゾフの成長ベクトルといった考え方を用いると、考えが整理されますよね。

こちらもご参考に
経営戦略の実務的な構築方法
経営
2011年7月26日

競争戦略(フォーカス戦略) | 特定の部分へ狙いを定めて経営資源を投入するのです

競争戦略・フォーカス_001
フォーカス戦略とは市場を細分化し、自分の能力に適合する一部セグメントのみに焦点を合わせて、そこでコスト面、もしくは差別化面で優位に立とうとする戦略です。

例えば、軽自動車に経営資源を集中しているようなスズキ、ダイハツのような企業はフォーカス戦略を取っているということができます。

コストリーダーシップ戦略や差別化戦略は業界全体で優位に立とうすることを狙いとしていますが、フォーカス戦略は特定のセグメントに絞り込むことが特徴です。

このコストリーダーシップ戦略はポーター(Porter)教授が提唱する3つの基本戦略の一つです。ちなみに3つの基本戦略とは、前回までに解説した「コストリーダーシップ戦略」、差別化戦略」、今回解説した「フォーカス戦略」です。

さて、フォーカス戦略を採用する場合次のリスクがあるとされています。

1.戦略的に絞ったセグメントと市場全体が同質化してしまうケースがある
 例えば、自動車市場が小さく燃費のいい自動車を求めるようになると、軽自動車に集中していた自動車メーカの戦略の効果が少なくなってしまいます。

2.絞り込んだセグメント内のさらに小さな市場へフォーカスする企業が現れる
 例えば軽自動車の市場内でさらにお買いものに特化するような企業が生まれ、もともとの企業を出し抜く可能性があります。

今回のまんがでは秩父山先生は職員にターゲットを絞り健康を売りにしていくことに決めたようです。

  • フォーカス戦略は中小企業の定石です
経営資源が相対的に乏しいとされる中小企業において、特定の分野に経営資源を集中させるフォーカス戦略は一つの定石となります。

なぜならば中小企業であっても、特定の市場を独占することができる可能性があるためです。

ただし経営戦略も全てそうですが全ては競争相手あってのこととなります。

そのため、競争相手がよりニッチな部分にフォーカスを当ててきた時には、自社の戦略は安泰ではありませんので再度考え直す必要が出てきます。

経営
2011年7月25日

競争戦略(差別化戦略) | 違いを打ち出してお客様に訴求していくのです

競争戦略・差別化_001
差別化戦略とは競合他社には見られない特色を出すことによって独自性を打ち出す戦略です。

差別化戦略としては、品質、デザイン、独自機能、プロモーションでの社会的認知度やイメージを高める、アフターサービスや販売経路で差をつける、ブランドを構築する等が考えられます。

この差別化がうまくいかないと最終的にはコモディティ化(ありふれた商品になってしまう)してしまい、価格競争に巻き込まれてしまいます。

このコストリーダーシップ戦略はポーター(Porter)教授が提唱する3つの基本戦略の一つです。ちなみに3つの基本戦略とは、前回解説した「コストリーダーシップ戦略」、今回解説した「差別化戦略」、次回以降解説する「フォーカス戦略」です。

さて、差別化戦略を採用する場合次のリスクがあるとされています。

1.コストの差が広がりロイヤルティが維持できなくなる
 競合品とのコストの差があまりに広がりすぎて、差別化によるブランドロイヤルティが維持できなくなる可能性があります。優れた製品であっても、販売価格の差が2倍3倍と開いて来た場合に顧客が差別化品を選択するかどうかが分からなくなってきてしまいます。

2.差別化要因へのニーズが落ち込む
 このまんがでは生ものを押していく方法を考えていますが、例えば梅雨時に生ものを敬遠されてしまうなど、差別化要因へ対するニーズが落ち込む危険性があります。

このまんがの例では秩父山先生は前職の経験を生かして、刺身を中心に売っていくと決めているようです。この場合、漁師としての経験や、新鮮な魚を仕入れることができるという流通経路で差別化するようです。

  • 中小企業のセオリーです
さてこの差別化戦略は中小企業にとってまず最初に検討すべき戦略であるということができます。

なぜならば経営資源が相対的に乏しいと考えられるため、価格競争で真っ向勝負することは避けなければならないためです。

差別化戦略の採用にはリスクがありますが、何らかの形で競合他社と差別化をして自社が選ばれるようにしていく必要があるのです。

ただ、差別化戦略は顧客からの視点を持つことが重要です。

顧客から見て十分に自社が差別化されているかどうか、これをしっかりと意識していく必要があります。

・お客様がどう受け取るかが重要です

この視点を持たないと、この違いがわからないお客様がいけないんだなどと言う思考に陥ってしまいます。

そのためお客様からみて違いがわかるように打ち出していく必要があります。

例えば、一般消費者向けに販売してるにも関わらず、プロが見ないと微妙な差異を見抜けないような訴求してもそれは作り手の自己満足です。

また逆に、プロ用に販売しようとしているにもかかわらず、一般消費者向けの差異を訴求しても仕方ないのです。

プロに向けて売るのであればプロから見て良いものを作っていく必要があります。

  • 精神論もよくありません
また差別化戦略を取るためには自社の経営資源を冷静に考える必要があります。

経営資源とはヒトモノカネで表現されますが、自社の差別化ポイントは卓越した接客であると定義しているにもかかわらず、十分なの接客ができるだけの人がいなければそれは絵に描いた餅です。

また高い品質を差別化ポイントとしようとした場合、その品質を安定して提供できるだけの経営資源が必要となります。

それがないまま高い品質を努力で維持するというのも、また精神論になってしまいます。

上の漫画では新鮮なお刺身定食で勝負すると言っていますが、その新鮮さが求められているかどうかをよく検討する必要があるのです。

関連用語
フォーカス戦略
USP
経営
2011年7月24日

競争戦略(コストリーダーシップ) | コストを引き下げることと安売りすることはイコールではありません

競争戦略・コスト_001
コストリーダーシップとは競合他社より「低い原価」を達成することを目指す戦略です。このコストリーダーシップ戦略は「低価格」を目指すということとは違う事に注意が必要です。

一旦「低い原価」を達成したした場合、販売価格を引き下げ低価格で高い市場シェアを目指す、他社と同じ金額で販売し高い利益率を確保するといった展開が可能となります。

低価格販売を行う場合、高い市場シェアを生かしてさらなる低価格を実現しコスト面でのリーダーシップを取る事が可能となります。(先日解説した経験曲線規模の経済の効果でさらにコスト削減が可能となります。)

このコストリーダーシップ戦略はポーター(Porter)教授が提唱する3つの基本戦略の一つです。ちなみに3つの基本戦略とは、今回解説する「コストリーダーシップ戦略」、次回以降解説する「差別化戦略」「フォーカス戦略」です。
さて、コストリーダーシップ戦略を採用する場合次のリスクがあるとされています。

1.テクノロジーの発展
 技術の進歩が過去の投資や習熟を無駄にしてしまうケースがあります。例えば、そろばん製造でどれだけ優位性を誇っていたとしても、計算機やパソコンが誕生した段階で基本的には過去の投資は陳腐化してしまいます。

2.コストにだけ集中してしまう
 製品やマーケティング方法の変更の必要性に気づくことができなくなってしまうケースがあります。

このまんがの例では学食のおばちゃんは、どうやら政治力を駆使した参入障壁の構築には失敗しましたが、メニューを2割引きしても問題ない程度にコストの引き下げには成功していたようです。
  • コストリーダーシップは禁じ手か
コストリーダーシップは、競合よりも低コストを達成することを目指す戦略です。このことから、経営資源が相対的に乏しい中小企業にとっては禁じ手であるとされています。

というのは、このコストリーダーシップが結果としての安売りと結びついてしまうからです。

安売りを始めると、最終的には経営資源の豊富な自社よりも企業規模の大きな企業にはかないません。また、一度下げた価格は再度上げることは非常に困難である事から、安売りは禁じ手であるとされているのです。

しかし、本当の意味でのコストリーダーシップは原価を下げることを目指すだけであって、安売りをすることを目指すわけではありません。十分に原価を引き下げれば適正な利潤を確保しやすくなりますし、競合に対して低価格以外の戦略をとることが可能となります。

例えば、価格はそのままにしますが(価格を下げるのは簡単ですが、一度下げると再度価格を上げるのは困難を極めます)サービスを追加する事で競争力を確保するといった方法です。

また、コストリーダーシップ戦略が成功すれば、競合が参入してきにくくなりますし、原材料等の仕入れ価格の上昇も吸収することが可能です。
  • コストリーダーシップで自社よりも弱い企業を叩け
このような大きなメリットのある方法なのですが、やはり経営資源が豊富でないと難しい面があります。

コストを引き下げるためには、規模を大きくする規模の経済、様々な商材を取り扱うことで得られる範囲の経済、累計生産量を増加させることで得られる経験曲線効果などが必要ですが、どれも規模の大きな企業の方が有利になる考え方です。

しかし、規模の大きな企業と言っても絶対的な規模ではなく、相対的な規模で考えます。
例えば、あなたの会社が客観的にはそれほど大きな企業でないとしても、地元で1番の規模ならば、コストリーダーシップ戦略で2番手、3番手の市場シェアを奪うと言った方法は検討に値します。(こういった考え方がランチェスター戦略です。)
  • 定石は
と、コストリーダーシップについて書いてきましたが、やはり中小企業にとっての定石は差別化戦略であると言われています。

ただ、競争相手の出方を知っておく意味でもコストリーダーシップ戦略については知っておく必要があるでしょう。


説明で出てきた用語
範囲の経済
ランチェスター戦略

経営
2011年7月23日

コアコンピタンス | コアコンピタンスの見いだし方も一緒に考えてみましょう

コアコンピタンス_001
コアコンピタンスとは企業の中核的な能力(強み)を指し示すものです。各企業で長年にわたって蓄積された固有技術(ノウハウなど)のことを言います。

老舗の味噌メーカを例に技術や生産方式がコアコンピタンスとなったケースをいくつか考えていきたいと思います。(私は味噌屋さんではないため想定しているだけです。念のため)

1.コアコンピタンスは味噌を作ることと考えた場合
 味噌作りがコアコンピタンスであると考えた場合、味噌を用いた製品開発を行っていくことができます。たとえば、即席味噌汁市場に進出する、液体の味噌を開発する、無添加の味噌を開発する、だし入りの味噌を開発するといった方向を考えることができます。

2.
コアコンピタンスは大豆食品の製造と考えた場合
 大豆食品の製造がコアコンピタンスであると考えた場合、大豆を用いた食品の製造を行っていくことを考えられます。豆腐の製造、凍豆腐の製造、油揚げの製造などの製造を行っていくことが可能です。

3.
コアコンピタンスは発酵を管理する技術であると考えた場合
 発行を管理する技術がコアコンピタンスであると考えた場合、発酵食品の製造を行っていくことが考えられます。例えば、大豆製品ですと納豆の製造、醤油の製造、発酵食品だけで考えると、お酒やヨーグルトの製造まっで考えることが可能です。

この技術や生産方式以外でも、ブランドや物流、構成員の価値観など様々なものがコアコンピタンスになりえます。

ブランドがコアコンピタンスになる例は某電機メーカの製品だけスペックは大差ないけど少し高く販売できるようなケースが考えられます。

このまんがではメガネの先輩のコアコンピタンスはリズム感であると言われています。そして運動やほかのことはからっきしダメと言われています。もしこの人が、音楽以外の活動をする場合リズム感を生かした活動をすることがいいと思われます。

  • 中核的な強みはなにか
さて事業計画などを作る際に自社のコアコンピタンスを特定したいということがあります。

そのような場合において、どうやったら自社のコアコンピタンスを見出すことができるでしょうか。一般的にはなかなか難しいことです。

そのため以下のように自社の業務のプロセスごとに検討してみるというアプローチをとることができます。

例えば自社のバリューチェーン、価値を生み出すプロセスごとに考えてみたいと思います。

例えば原材料の調達の部分はどうでしょうか。

特別な原材料をなかなか取引は難しい事業者から仕入れてたりしませんか。そのような場合、調達力や調達部門に中核的な価値がある可能性があります。

また、製造の部分ではどうでしょうか。

よくコアコンピタンスと言われるのはこの製造部分の強みとなります。競合他社よりも良いものを作るというのはわかりやすいコアコンピタンスです。

また販売部門ではどうでしょうか。なかなか魅力を伝えることが難しいような玄人好みの商品をしっかりと販売するだけの販売力がある超えたものもコアコンピタンスとなりえます。

このように業務のプロセスごとに分けて考えていくことでコアコンピタンスを見出すことができるのです。

生産管理
2011年7月21日

ECRSの原則 | 業務改善のための非常に有効な方法論です

ECRS_001
ECRSの原則とは業務改善のためのフレームワークの一つです。ECRSとは試すべき改善策の頭文字をそれぞれ取ったもので、
E(Eliminate)排除、なくせないか?
C(Combine)結合:一緒にできないか?
R(Rearrange)交換:順序は変更できないか?
S:(Simplify)単純化:簡単にできないか?
という意味です。

そしてこのECRSはこの順序で試すと効果が高いといわれています。以下、具体例を示していきたいと思います。

1.E:なくせないか?
そもそも不必要な仕事をなくすことができれば大きな効果を発揮することができます。たとえば、魚を捌くたびに、包丁を研ぐようなことは止めて、その日の仕事前に一度だけ研ぐようにするなどの改善があげられます。(魚屋さんではないため正確にはわかりませんが、素人考えでは切れ味に問題がなければそれでよいように思います。)

2.C:一緒にできないか?
業務をまとめて一緒にできれば改善の効果を発揮することができます。伝票を届けに事務所に行くのであれば、一緒にそのほかの作業票も届けてしまえばよいと考えれれます。

3.R:順序は変更できないか?
作業の順番を変更することによって改善をすることも可能です。A作業→B作業→A´作業みたいな順番の場合、A作業→A´作業→B作業といった順番にすれば段取り替えの手間が削減できると考えられます。

4.S:簡単にできないか?
わざわざ複雑にやっているようなところはないでしょうか?簡単にできることは簡単にやりましょう。

ただし、このまんがのように、肝心なこと(
品質が落ちるような事や、それがないと用をなさなくなるような事)をなくしてしまったりしてはダメです。念のため。


キャプチャ

  • やめることが何よりも効果的

さてこのECRSですがやはりやめることが何と言っても効果的です。

なんといっても止めることは、すぐにできますし、コストもかかりません。

例えば始めた当初は意味があったことでも今となった意味がないといったことはありませんか。

前例踏襲で何となくやっているような業務、これはなくすればすごく大きな改善となります。

例えば朝礼の時に一人5分のスピーチをするということをやっていたとします。

そしてこの5分のスピーチのためにかなりの時間を費やして準備をしなければならないようなことが常態化していたとします。

もちろんスピーチをすることでプレゼン能力が鍛えられたりと意味はあるのですが、それを惰性で続けていたらどうでしょうか。

この業務をやらないことで非常に大きな時間が生み出されると考えられます。

組織論
2011年7月21日

X理論Y理論 | 無味乾燥な理論名ですが、言っていることは人間の本性に迫る深い洞察です

X理論Y理論_001
X理論Y理論とはアメリカの心理学者マクレガー(McGregor)が提唱した理論です。理論名だけでは何のことを言っているのかさっぱりわからないので、まずX理論とは何か、Y理論とは何かを見ていきます。

1.X理論
マクレガーは伝統的管理論が持つ人間観をX理論と名付けました。この人間観は「人間は本来怠け者であるため、仕事をさせるためには強制や命令が必要となる」という人間観です。東洋思想でいうところの荀子の性悪説に似ているかもしれませんね。
こういった管理を行うためには、できなかったら処罰するなどのいわゆる「アメとムチ」の経営を行う必要があります。

2.Y理論
X理論に対し、人間は自ら働きたがるものであるという人間観をY理論と名付けました。この人間観は「人間は本来働くことが好きであり、自己実現の為に自ら進んで行動する」という人間観です。こちらは孟子の性善説に似ているかもしれません。
こちらは魅力的な機会、目標を与え続けることで従業員のモチベーションを高めていく必要があります。

マクレガーは、先日解説したマズローの欲求段階説の、生存欲求や安全欲求が満たされているような現代では、X理論での管理は現実にそぐわず、Y理論に基づいた管理が望ましいと提唱しました。

このまんがにあるように、メガネの先輩がバットを持って後輩を監視しているようなパート(X理論に基づくアメとムチの管理)より、目標を示して自主的に練習をさせているパートのほうが練習の成果が上がるというわけです。 

kitsune
X理論は「働きたくないでござる」的な人を想定しているんだね。だから、ある程度の強制力を持って働いてもらわないといけないという発想なんだね。

hiyoko
そうよ。それに対してY理論は「働くことこそ自己実現」的な人を想定しているのよ。

hiyoko
だから、目標だけ与えておけば自己実現を目指して努力してくれるというわけね。

kitsune
現代では、どっちの人がおおいのかなぁ?

hiyoko
現代社会では、基本的な欲求はすでに満たされているのが前提なので、Y理論の方が望ましいと言われているのよね。



  • 気をつけること

とはいえ Y 理論がどのような状況においても望ましいというわけではありません。

この議論の前提は、
マズローの欲求五段階説の生理的欲求や安全欲求が既に満たされているという状況や、
ハーズバーグの動機づけ要因衛生要因の
衛生要因が既に満たされているということです。

つまり、
基本的な待遇が満たされていない状況において、
Y 理論に基づく魅力的な機会の提供などを行ったとしてもあまり効果が出ないということです。

関連用語
動機付け要因・衛生要因
生産管理
2011年7月20日

QCD(品質・コスト・納期) | 現状のまま全てを両立させよという命令は単なる精神論です

QCD_001
QCDとはQuality(品質)Cost(コスト) Delovery(納期)の頭文字をとったもので、生産の3条件とも言われます。つまりモノづくりには、もっと言うと仕事には、品質・コスト・納期が大切ですよという当たり前のことを言っている用語です。

これらのQCD3つとも大切ですが、これらすべてを同時に追求することは難しいことが現実です。たとえば、

1.品質を高めようとした場合
より精度の高い部品を用いることによって余分なコストがかかったり、慎重な作業を行うために完成まで時間がかかり納期長くなったりします。

2.コストを下げようとした場合
精度が若干劣るが許容範囲内の部品を用い、品質を許容範囲内で落とす。もしくは、工場の操業に余裕があるときに製造し納期は長くなります。

3.納期を早めようとした場合
こちらも許容範囲内で精度の低い機械を用いる、もしくは、コストをかけ時間外労働を行ってもらえば納期を早めることは可能です。

ただし、現実的には品質を下げるということは行われません。これは、QCDがこの順序で記述されることにも関係しています。ではなぜアルファベット順でCDQではいけないのでしょうか?

これはQすなわち品質が一番重要であるからです。これは、品質が低いものをいくら低コスト・短納期で作ったとしても、そのようなものは市場には受け入れられないからです。

また、仮に受け入れられる範囲の低品質のものを製造したとしても、

1.低品質であるが故のコストがかかる
歩留りが悪いため作り直しのコストがかかる、不良品に備え在庫を余分に抱えておく必要がある、検査工程に余分な資源を割く必要がある。

2.低品質であるが故の納期へ余裕を持つ必要がある
各工程の品質が不安定であると、必要数量を確実にそろえるために余裕を持った納期の設定が必要となる。

といったことが考えられます。

キャプチャ
  •  工夫の余地はあります
ただしこのトレードオフは『既存の経営資源・ノウハウ』で到達可能な範囲で生じています。経済学でいうところのフロンティアに近いような考え方です。

現在のまま品質やコスト納期などの要素のどれかを向上させようと思うと、トレードオフが発生します。

しかし新たな経営資源を導入し他場合(例えば非常に生産性の良い機械を導入するような場合)このQCD全てが改善するということもあり得ます


また経営支援を導入するのではなく、新たなノウハウに基づいて工程を簡略化するといったことが行われれば、コストや納期面で有利になります。

そしてコストや納期面で有利になった為生じた余剰経営資源を品質にふり向ければ、やはりQCD全てが改善するということもあり得ます。

組織論
2011年7月19日

動機づけ要因・衛生要因 | 人の心理を知っていればモチベーションを上げて業績アップに役立ちます

動機付け衛生要因_001
動機づけ要因・衛生要因とはハーズバーグ(Herzberg)が提唱した理論で、不満足にかかわる要因と、満足にかかわる要因は別のものであるとするものです。ハーズバーグの二要因理論などとも言われます。

それでは、それぞれの要因についてみていきたいと思います。

1.衛生要因
衛生要因とはそれが満たされないと不満足の原因となりますが、満たされたとしても、やる気の源にはならない要因のことを言います。一般的には、「組織の管理方法」「給与」「対人関係」などが衛生要因にあたるとされています。

たとえば、このまんがのように暑い場所での作業などは不満足の原因となります。しかし、いくら涼しく快適な場所で練習をしたとしても、積極的なやる気の源とはならないということです。

このことを端的に示して不満ではないという言い方をされます。つまり衛生要因が満たされていても満足するわけではなく不満で無くなると言うことです。


2.動機づけ要因
動機づけ要因とは、それが満たされた場合積極的なやる気の源となりますが、満たされなくとも不満の種にはならない要因を言います。一般的には「達成感」「承認されること」「責任感」などがあるとされています。

たとえば、このまんがのように「みんなうまくなったね」という言葉に代表されるように、達成感を得たり、リーダーに承認された事は動機づけの要因となります。

  • ビジネスにどうやって活かすか

さてこのハーズバーグの動機付け要因衛生要因理論ですがどのようにビジネスに活かせば良いでしょうか。

一つは働く人のモチベーションを高めるためにこの考え方を生かしていくというアプローチです。

この理論では衛生要因と動機付け要因という二つの要因があると言っています。

そのためまず衛生要因を満たすことを優先的に考えます。

なぜならば衛生要因が満たされていない場合不満につながってしまい、働く人のモチベーションが上がってこないからです。

またある程度衛生要因満たしたにもかかわらず、衛生要因の向上だけに固執するような考え方も危険です。

ひたすら職場環境良くすることだけを考えていたとしても、衛生要因が満たされ不満ではなくなるかもしれませんが満足にはなかなか繋がりません。

そのためある程度衛生要因が満たされたと判断された場合、動機付け要因である仕事内容や達成感についてしっかりと考えてデザインしていく必要があるのです。

組織論
2011年7月18日

マズローの欲求段階説 | 人間の欲求には順番があるとする考え方です

マズロー欲求段階説_001
マズロー(Maslow)の欲求段階説とは、人はいくつかの欲求を持っているが、それらの欲求は階層構造を形成していると考える説です。この欲求は低次のものから順に
1.生理的欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.尊厳欲求
5.自己実現の欲求
となるとされています。

この説は階層の低次の欲求が満たされた場合のみ、より高次の欲求へ段階的に移行すると仮定されているのが特徴です。たとえば、1.生理的欲求が満たされない場合には、2.安全欲求も3.社会的欲求も生じないとされています。

このまんがの例のように、のどが渇いて死にそうな場合、水さえ得られれば、そこが安全な場所かどうか?仲間に受け入れられるかどうかなど、究極的にはどうでもよいということです。

それでは、具体的に欲求の中身についてみていきます。
1.生理的欲求
人間が生命を維持するための欲求です。食欲、睡眠欲、性欲などの根源的な欲求が該当します。

2.安全欲求
安全な状況を望み、不確実性を回避しようとする欲求です。このまんがのように、野犬などに追いかけられずに済む状況を人は望んでいるといえます。

3.社会的欲求
集団への所属、友情、愛情を求める欲求です。

4.尊厳欲求
他者からの尊敬や地位を求める欲求です。

5.自己実現の欲求
自己の成長や発展の機会を求める欲求です。このまんがのように、うまく演奏できるようになったなど、自分の潜在能力を発揮したいと考える欲求です。

キャプチャ

  • 商売にこの考え方をどうやって活かすか
さて、ビジネスにこのマズローの欲求5段階説をどうやって活かすかが読者の関心事だと思います。

一つのアプローチは、このような欲求があるということを認識しそれぞれの欲求段階に対して価値を提供していくというアプローチです。

具体的には
  1. 安全や安心を提供するようなサービスを提供していく
  2. 社会的欲求を喚起し帰属意識を高揚させるようなサービスを提供する
  3. 尊厳欲求を刺激するようなステータス性のある商品を提供していく
といったアプローチです

但し、マズローの欲求5段階説は、例えば安全欲求が満たされていない環境にいる人に対しては、社会的欲求を喚起したり、尊厳欲求を刺激しても効果が薄いと指摘していますので、消費者の情況を確認しながら提供する価値を考えて行くという方法論です。

もう一つのアプローチは、社内の管理に活かすというアプローチです。

この欲求五段階説は欲求には順番があると教えています。

そのため必要最小限の待遇を提供できない企業が、どれだけ帰属意識を高めるような施策をとっても効果が薄いと考えられます。

また生理的欲求や安全欲求が既に満たされている職場において、さらに安全な職場やさらに健康に良い環境を用意するといったアプローチはあまりモチベーションを上げることには繋がりません。
(もちろん大切なことですが)

そのためこのような段階に至っていると判断できるのであれば、社会的欲求として帰属意識を高めたり尊厳欲求に対して、自尊心を高めて働けるような環境を作るといったことに力を注いだ方が望ましい結果が得られます。

直接経営に関係内容に思われる理論ですが、人間に対する優れた洞察を与えてくれる考え方ですね。
経営
2011年7月11日

BCP(事業継続計画) | 最優先で復旧させる部門を決めると言うことは復旧を後回しにする部門を決める事です

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BCP事業継続計画(Business continuity plan)とは危機的な出来事が発生しても事業が継続あるいは、目標時間内に復旧できるように予め立てておく計画の事を言います。

似た概念として先日解説したコンティンジェンシープランという考え方があります。簡単に違いを説明しますと、コンティンジェンシープランは危機的な出来事の発生時にどのように対処するかを中心に考えているのに対し、BCPは事業継続に重点を置いている点が異なるというところです。

とにかく最優先で復旧すべき事業内容を特定しておき、 ひとたび大災害が発生した際にはその復旧を最優先で行うというイメージですね。


BCPは、以下の手順に沿って策定されます。

1.業務が抱えるリスクと損害を洗い出します。
 例えば、有害な物質を原材料として使用している工場を考えます。有害物質が漏れ出す危険性と、それが漏れ出した場合の損害がどの程度になるかといった事を洗い出していきます。

2.優先的に復旧する業務を明らかにする。
 例えば、電力供給が断たれると1.の有害物質の漏出の原因になる事が明らかなのであれば、電力供給の復旧は優先的に対応する業務となります。

3.目標復旧時間や復旧手順を計画する。
 優先的に復旧する業務の目標復旧時間や復旧手順を計画しておきます。

このマンガでは調理場が使えなくなった場合に備え、予め近くの定食屋の調理場を使えるようにしておいたようです。

まあ難しく書いていますが、一言で言うならば「備えあれば憂いなし」という事ですね。

  • BCPには社長の関与が必須
上でBCPについて概論を述べましたが、自然災害が多くなっている昨今、BCPについて掘り下げて行きます。
 
掘り下げて行く中で 注意が必要なのは、会社の中核となる事業を何にするか、最優先で復旧するべき事業は何であるかを特定するのは、中小企業においては社長の他にないということです。
 
どのような組織であっても、組織で働いている人は自分の事業こそもっとも重要であると考えます。これは当然のことですし、そのような矜持を持って仕事に取り組むというのは非常に良いことです。
 
しかし組織全体で考えたときに、全ての事業を平等に復旧することはできません。
 
そのためBCPを定める際には、社長が関与して自社の中核の事業はこれで行くと優先順位を決めていく必要があります。 
 
このような事があるため、トップマネジメントがリーダーシップを持って決定せず、社内の様々な部署から関係者を集めて決めようとすると「全ての事業をできるだけ早く復旧する」という名ばかりBCPができてしまいます。
 
 
  • 信用にも繋がります 
BCP をあらかじめ定めておき、災害が発生した場合でもAという事業はなるべく速やかに復旧させるとしている企業があったとします。
 
他方、 BCP を定めておらず災害が起こった場合どのようにすればいいのか分からなく、とにかく全部の事業を復旧させるとしている企業があるとします。
 
あなたの会社はどちらと取引をしたいと考えるでしょうか。
 
もちろん取引関係や信頼関係がありますので基本的には従来の取引先と取引をしたいというのが通常の発想です。
 
しかし、 あまりに長期間にわたって操業停止が続くと、自社の経営に対する悪影響も大きくなってしまいます。
 
そのため、災害が起こった場合速やかに復旧させるという計画あらかじめ取っている企業の方が、 取引先としてより安定していると考えることができるでしょう。
 
このように、BCP を定めることによって、自社の速やかな復旧のみならずサプライチェーン全体としての責務を果たすことも出来るのです。 
 
この観点から、BCP を定めることができれば、競合他社に対して優位に立つことができると考えられます。
 
そして、最終的には様々な企業 BCP を策定し、災害に対して経済的に強靭な社会を作っていくことが重要ではないでしょうか。
 
  • あらかじめ作成しておく意味は?
ひとたび災害が発生すると、やらなければならないことがたくさん生じてしまい何からやればいいのかという優先順位をつけることすら大変になってしまいます。
 
そのため、あらかじめ何をすべきかを決めておくことが重要なのです。

経営
2011年7月10日

参入障壁 | 経済活動は原則自由ですが簡単に参入できない目には見えない壁があるのです

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参入障壁とはある業界への新規参入を防ぐ障壁の事をいいます。参入障壁が大きいほど新規参入が困難になり、既存の事業の競争が緩和されます。

この参入障壁の大きさは先日ご紹介したファイブフォース分析の新規参入の脅威の大きさを決める要素となります。

簡単に復習すると、参入障壁が大きな業界は、新規参入が起こりにくく競争が緩和されます。逆に参入障壁が小さい業界は新規参入が盛んになるため競争は激しくなる傾向があるという事です。

では、何がこの参入障壁の大きさを決めるのでしょうか。以下の要因が考えられます。

1.既存事業の優位性
 規模の経済がとても強く働くような事業、不動のブランドを確立されている事業、独自の技術がある事業、購入先を変えるコストが大きい事業などは既存事業が優位(参入障壁が大きい)とと考えられます。

2.法規制
 そのものズバリで、参入が規制されているような事業の参入障壁はとても強いです。

このマンガの食堂のおばちゃんは、既存顧客のロイヤリティーを高めるべく新メニューを続々と投入するだけでなく、政治力を駆使して参入を禁止させてしまう事を考えているようです。

  • 代表的な参入障壁
それでは、具体的な参入障壁を見ていきます。

上で既存事業の優位性が参入障壁に当たると書いていますが、それはなぜでしょうか?一つ一つ検討してみます。

・規模の経済
規模の経済が強く働くような事業においては、後から参入した事業者が十分な競争力を持つためには相当な規模を最初から確保する必要が出てきます。

例えば大規模な製造能力を確保した装置産業が主流となってるような境界が挙げられます。

このような業界で十分な競争力を保つためには競争相手よりも大きな設備を持つ必要が出てきますので、新規参入の意思決定は非常に難しくなります。

例えば競争相手が100億円の設備を持っているとして、自社がそれに対抗するためには100億円以上の投資が必要となれば容易には新規参入できませんよね。

・不動のブランド力とは
不動のブランド力がある企業と対抗するためには、十分な品質を備えるだけでなく十分に価格を競争力も必要となります。

品質と価格は一般的には両立し得ないものですので、このような先行している事業者がいるような業界にはなかなか参入できないのです。

・独自の技術

独自の技術が必要な業界については、その技術を持っていないと参入できません。

技術を手に入れるためにはコストをかけて自社で研究開発するか、知的財産権をどこかから入手してくる必要があります。

いずれにしてもコストに跳ね返ってくる為、参入は容易ではないのです。

・購入先を代えるコストが大きい業種
いわゆるスイッチングコストが大きな業種というものです。

例えば業務フローに完全に組み込まれた使い慣れたシステムを入れ替えるとします。この場合多少のコスト優位性では既存の契約をひっくり返すことはできません。

なぜならば既存の業務フローを全てを変える必要があるからです。

そして既存の業務フロー全てを変えるということは表面上は見えませんが莫大なコストがかかります。このような目に見えないコストが参入障壁となるのです。

5そのほかの参入障壁

この他にも独自の流通チャネルを獲得しなければならないであるとか、既に知的財産権で必要な技術を囲い込まれている。経験曲線効果が強く働き、先行している事業所に対してコスト面で追いつくことが到底できない。

などといったことが考えられます。

逆に言えば上に挙げたような参入障壁をいかに築いていくかが、競争優位を永続的に保つために我々が工夫すべきことなのです。



関連用語
移動障壁
スイッチングコスト
経営
2011年7月7日

範囲の経済 | 経営資源を共用することで生まれる効果なので、うまく使うことが成功のカギになります

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範囲の経済とは、単一の事業ではなく複数の事業を持つことによって、低コストの運営が可能になることを言います。シナジーと非常に近い考え方ということもできるかもしれません。

範囲の経済性とも呼ばれ、企業規模が拡大することにより、様々な経営資源を共用することができるようになるために生じる効果であると言われています。

近い言葉で規模の経済がありますが、規模の経済は単一の製品やサービスの生産量が増加することで生じる効果です。

範囲の経済はこれとは異なり、様々な製品やサービスを一つの企業が提供する事で生まれる効果なのです。 簡単に比較すると以下のような関係性になります。

範囲の経済 規模の経済
発生する条件 一つの企業が多数の事業を行うこと 一つの事業の規模を拡大すること
生じる効果 総コストの削減 総コストの削減
効果が生じる理由 経営資源を共用することができ、単一の事業を実施する時に比べ固定費が薄まるため たくさん作ることで、固定費が薄まるため

  • 範囲の経済は経営資源が共用できることで生じる
これは、経営資源が共用できるためといわれています。経営資源が共用できると追加の費用をあまりかけずに(つまり単一事業をもつ同業他社と比較して低コストで)事業を運営する事が可能となります。

以下、具体的にどのような経営資源が共用できるかを見ていきます。

1.既存事業の販売チャネルやブランド

既存事業が持っている販売チャネルやブランドをそのまま用いることが可能です。イメージとしてはブランドを確立し店舗網を持っている薬屋さんが、関連商品として介護用品を取り扱う感じです。この場合、○○薬局の介護用品とのブランドや、店舗網がそのまま活用可能です。

2.既存事業の生産設備

既存事業が持っている工場や機械を使用できれば、追加の設備投資をせずに、新規事業に進出することが可能です。

3.固有の技術

食品事業を営んでいる企業が、その事業のなかで獲得した技術を用いて、健康食品事業に進出するケースなどがあります。


但し、何でもかんでも範囲の経済が生じるわけではありません。まんがで指摘しているように、全然合わない食品を製造・販売したり、本業のイメージを損なうようなものを製造・販売すると、範囲の経済はうまく働かないといわれています。
  • 範囲の経済を大きく働かせるためのコツ 
範囲の経済はこのような理屈で生じます。そして、範囲の経済を大きく働かせるためのコツもこの理屈から導き出せます。

それは、事業の重複範囲をなるべく大きくさせることです。

例えば、いくら範囲の経済が効いていると言っても、薬局が自社店舗の空きスペースでオーディオ機材を売るよりは、健康食品を販売する方が範囲の経済は大きく働きます。

これは、販売員といった経営資源がオーディオ機材を売る場合にはあまり重複しませんが、健康食品を売る場合には重複するためです。

また、調味料を作っている企業が、その発酵技術などを活かして健康食品を開発するなどと言ったことも範囲の経済が大きく働くと考えられます。
  • 単なる多角化とは違う
範囲の経済というと、多角化に走ろうとする相談を受けることがあります。

しかし、全く既存の事業と関係ない分野に進出してもあまり範囲の経済が効いてきません。

アンゾフのマトリックスの考え方で言うところの製品軸か、市場軸のどちらかを既存のものにすると言った考え方で企業を大きくしていけば、範囲の経済が働きつつ成長していくことができる可能性が高いでしょう。

解説で出てきた用語・関連用語
アンゾフの成長ベクトル
経験曲線
シナジー
規模の経済

経営
2011年7月3日

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

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PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは、企業の複数の事業を市場成長率と、相対的市場シェアの高低によって分析し、全社レベルで最適な経営資源を実現するための手法です。

これは、先日解説した経験曲線
と、製品ライフサイクルから導き出された考え方です。すなわち、

1.どのような製品であっても、成長は鈍化する時が来る。
2.シェアの高い製品は、累積生産量が増やせるためコストを下げる事が可能である。
3.成長性の高い製品はそれだけ資源の投入が必要である。

という前提のもと、縦軸に市場成長率を、横軸に相対市場シェアをとった図を作成し、分析します。

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花形製品
 花形製品はシェアが大きいため、コストを下げる事が出来るため資金流入は大きいですが、市場成長力が大きいため、その分資源の投入も必要であります。資金の流入はそれほどありません。

問題児
 問題児は、シェアが小さいためコストは十分に下がっていませんが、市場成長力が大きいため、資源の投入は必要です。そのため、資金の流出が発生します。

金のなる木
 金のなる木は、シェアが大きいため、コストを下げる事が出来るため資金流入は大きく、市場成長力は小さいため、資源の投入はあまり必要でないです。資金の流入が多く、まさに金のなる木です。

負け犬
 負け犬は、シェアが小さいためコストは十分に下がっていませんし、市場成長力は小さいです。資金の流入はそれほど無いもしくは、赤字になっている場合が多いです。


PPMの欠点としては、上のまんがで指摘されている通り、

1.モチベーションの低下と自己成就的予言
「負け犬」に位置づけられた人々の動機付けは非常に難しくなり、しかも「負け犬」のレッテルが貼られてしまうと、その事業部は内外双方の人がそのようにみる事によって、本当に負け犬になってしまいます。

2.質的評価が難しい
経営資源の蓄積(ノウハウなど)は評価が難しいため適正に評価されない場合があります。

3.新規分野の展開の手掛かりにはなりにくい
PPMの分析対象は既存事業であるため、新規事業へ進出すべき方向を見出すことは難しいです。
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