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2011年03月

財務・会計
2011年3月30日

管理可能費・管理不能費 | 管理可能か管理不能かは権限や時間軸で決まります

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管理可能費とはその人の責任部門で発生する費用で、その人が実質的に影響を及ぼす事ができる費用です。

例えば、自分のクラスの生徒たちの成績は自分の頑張りで良くすることができると考えられます。このように、自分が影響を及ぼすことができる事を管理可能費と言います。

一方、管理不能費とは、その費用の発生に対して影響を及ぼす事が出来ない費目の事を言います。

この例のように学校全体の成績には一年生の担任であるこの先生たちは実質的に影響を及ぼす事ができないため管理不能費となります。

■管理可能費か管理不能費かはその人の権限で変わります


■1.まんがの例だと


この先生達が言っているように、校長や教頭にとっては学校全体の成績は管理可能となるので、それで費用が派生するならば管理可能費となります。

他方、1年生の担任の先生にとっては権限の及ばないところなので、どうやっても管理できませんよね。(3年生のクラス運営に口出しをするのは越権行為です)

そのため、同じ対象であっても、その人が保持している権限や判断する期間が変わると管理可能・不能は変化します。

これは持っている権限で管理可能・不能を考えた例です。(そして、意思決定できる範囲には階層構造があると言われています。意思決定の階層構造)

■2.一般的な企業の例だと


例えば、営業担当部長と製造部門の運営を任せられている製造部長がいるとします。

このときに、製造部長に取っては製造原価については管理可能費となるため、責任を持つこととなります。

しかし、営業部隊の人件費については管理不能費となり、責任は持ちませんし、持たすべきではありません。

このように、同じ部長級であっても、権限が及ばないところは管理不能費となります。

■時間軸でも管理可能か管理不能かは変わります



他の例では、工場の減価償却費はたとえ社長であっても一年など短期では管理不能費ですが、長期では工場をつくる・移転する・壊すなどの意思決定ができるため管理可能費となります。

これは時間軸で管理可能・不能を考えた例ですね。長期的には、ほぼ全ての費用について管理可能となります。

■一部しか管理できない場合もあります


例えば人件費について、どれだけ効率的に働いてもらうかといった意味でそれぞれの部署毎の管理可能費となります。

しかし、どういった人件費水準で雇用するかは人事部や総務部が決めることになりますので、その意味で管理不能費です。

残業が発生しないように効率よく働いてもらい、超過勤務手当を抜本的に削減したとしても、会社全体で10%のベースアップを行った場合、人件費は増加します。

そして、この増加分については管理不能費ですので、管理責任を問うのは酷なのです。

onnanoko_bustup
オーナー店長になって一番良かったのはね、基本的に費用を全て管理できることなのよ。


hiyoko
そうですわね。自分で決められる事は管理可能費なので、権限も責任もあるんですわ。


neko
でも、役所から固定資産税を上げるって言うのは管理不能費ですよね?


onnanoko_bustup
そうね、当面は管理不能費よ。でも将来的にはお店を移転するという選択肢もあるから、長期的に見れば管理可能費ね。



■管理可能費については責任を負う



このように、管理可能・不能は切り口によって変わってきますが、ある人の業績を測定しようとした際は、自分の管理できる事に対してのみ責任を負わせることが原則です。

このまんがの例のように、自分の力でどうにもならないことで業績を測定されたらやる気が無くなってしまいますよね?そのような事があるため、管理可能・不能を分ける事に意味があるのです。

解説で出てきた用語・関連用語

意思決定の階層構造
減価償却費
財務・会計
2011年3月2日

サンクコスト

サンクコスト
サンクコストは埋没原価ともいい、どんな意思決定をしても取り返せないコストの事を言います。

上の例のように、すでに払ってしまった映画のチケット代はサンクコストとなります。映画に行こうが行くまいがチケット代は戻ってこないためコンサートに行くかどうかを考えるときは考慮しない方が合理的な選択ができるという事です。

上の例では追加の費用はかからないわけですから、行きたい方に行く方が合理的なわけです。

  • 経営的には

経営的にはこのサンクコストを無視することが重要であるとされています。

どうせ取り戻せないお金なので、論理的には無視することが正解なのです。

例えば、「もう1億円も投資してしまったので後には引けない」といった事を言う人がいたとします。

詳しく話を聞いてみると、あと5千万円投資したら、製品ができ上がるとのこと。しかし、製品ができても2千万円の利益しか獲得できない見込みであると言っています。

この場合、どうするのが正解でしょうか?

  • 合理的な意思決定では

この場合、5千万円の追加投資をせずに諦めるのが正解となります。あと5千万円で製品ができるならば投資しないともったいないですよね?しかし、よく考えてみるとそうではないのです。

ケースA:5千万円投資した場合
この場合

総コストは1億円+5千万円の1.5億円となります。
一方、利益は2千万円なので、
1.3億円が最終的な損失です。

ケースB:5千万円を投資せずあきらめる場合
総コストは1億円となります。
一方得られる利益は0円となり、
1億円が最終的な損失です。

このように、追加投資しない方が損失が抑えられています。

しかし、よくこのケースを見ると、既に投資している1億円は検討する意味がないことが分かります。この1億円は、どうやっても取り戻せないため、この問題では追加投資の分だけを検討すればよいのです。

そして、このどうやっても取り戻せない1億円をサンクコストと呼ぶのです。

サンクコストは無視すること。これが意思決定の鉄則ですよ。


財務・会計
2011年3月1日

固定費って

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固定費とは、使っても使わなくても固定的にかかる費用の事を言います。会社で言うと工場とかお店とかで作ったり売ったりしなくてもかかってしまう費用の事です。

たとえば、工場やお店の建物の減価償却費や工場やお店で働いている人のお給料などは何も作らなかったり、お客さんが来なかったりしても一定の額はそのまま発生してしまいます。

また、お店などを借りていれば家賃がかかりますし、お金を借りていれば支払利息がかかります。

これらの費用は、使っていても、使っていなくても(操業度の増減にかかわりなく)固定的にかかる費用なので固定費というのです。

この反対の言葉として、変動費というものもあります。こちらは、お店で販売すればするほどかかる売上原価(仕入代などですね)や水道光熱費などが該当します。

  • 固定費が多いと

さて、この固定費ですが多ければ多いほど経営上のリスクが増します。

簡単に言うと、何もしないで出ていくお金が大きければ大きいほど経営は不安定になりそうですよね?

そのため、上手く工夫して固定費の金額を抑えていくことが重要なのです。

  • コスト削減のコツは
コスト削減のコツは、この固定費の削減に優先して取り組む事です。

例えば、不要な倉庫を借りていたりしませんか?不要な営業車を持っていませんか?不要な保険に加入していませんか?

こういった固定費を一つ一つ見直していくことで、稼がなければならない粗利益の額が少なくなるため、経営が楽になります。


逆に言えば、使っていない倉庫を持っているならば、その倉庫のために売上を上げなければならないといった状況になっているわけです。

この倉庫の維持に月10万円のコストをかけているとします。この場合、小売業を営んでいるとすると、一般的な粗利率は、30%程度になりますので、売上で言うと33万円分を毎月損している事となります。

33万円×30%≒10万円

逆に言えば、不要な倉庫の維持費を削減できれば毎月33万円の売上を上げたのと同じ効果が得られるのです。

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