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経営戦略

経営
2019年1月10日

クロスSWOT | SWOT分析の結果をさらに活用するのです

クロスSWOT
クロスSWOTとは、SWOT分析で抽出した企業内部の強み(S:strong)、弱み(W:weaknesses)、企業外部の機会(O:opportunities)、脅威(T:threats)といった情報を元に、自社の戦略を探っていくという方法の事をいうのです。

簡単に言うと、単なる情報整理であるSWOT分析から戦略策定につなげるための方法論です。

さて、この手のフレームワークは抽象的なことを沢山書いてもわかりにくいので、具体的に例を挙げていきたいと思います。
  • 内部環境と外部環境を掛け合わせます。
さて、クロスというぐらいですから、組み合わせで考えるのですが、どのように組み合わせるのでしょうか?

SWOTというぐらいですので4つの要素から2つの組み合わせを作るのでしょうか?その場合、ダブりを排除して、6通りを考えるのでしょうか?(この場合すべての組み合わせは(SW、SO、ST、WO、WT、OT)となります。)

でも、自社の強みと弱みを組み合わせた戦略、外部環境の機会と脅威を組み合わせた戦略などと言っても意味が分かりませんよね?

その為、組み合わせると言っても、内部環境であるS、Wと外部環境であるO、Tの組み合わせのみを考えるのです。この場合(SO、ST、WO、WT)の組み合わせのみを考えます。
クロスSWOT
  • どのような方向性を取るべきか
さて、上の図表で、各組み合わせの意味を示してみました。

S×O、つまり強みと機会を組み合わせて、自社の強みを活かして機会をとらえる方向性。色を付けて示した通り、重要な考え方です。
 
S×T、つまり強みと脅威を組み合わせて、自社の強みで脅威を克服するという方向性。

W×O、つまり弱みと機会を組み合わせて、自社の弱みではあるが機会があるので弱みを克服して機会をとらえるために何とかするという方向性

W×T、つまり弱みと脅威を組み合わせて、自社の弱みと脅威の組み合わせから発生する問題を克服するという方向性です。

経営資源に強い制約がある組織としてのセオリーとしては、S×Oつまり強みと機会を組み合わせる方向性を目指すという方法です。

弱みを克服するために限りある経営資源を費やすよりも、今持っている強みを活かす。さらに、外部環境の脅威に対応するために経営資源を費やすよりも、機会に対応することに集中するという考え方です。

もちろん、致命的な弱みや、脅威をそのままにしておくわけにはいきませんが、大きな方向性としては、S×Oが良いという事は覚えておくと良いと思います。
  • クロスSWOTは実務的か
このクロスSWOTが実際に機能するためにはいくつか前提条件があります。その前提条件を見ていきます。

1.しっかりとSWOT分析をする事
よく、このSWOT分析にあやふやな意見が混ざっていることがあります。

例えば、「店長の接客力が高い」といった強みを挙げたとして、この強みは本当に強みなのでしょうか?

言い換えれば、何を根拠に接客力が高いと言っているのでしょうか?根拠が示せるのならば、本当に強みだと考えられますが、そうでないなら単なる感想でしかない可能性があります。

そして、単なる感想の羅列を元に経営戦略を立てることは、危険ですので気をつけないといけません。

また、強みと弱みの切り分けもあやふやになりがちです。例えば、上の例で「店長の接客力が高い」といった事が本当だとしても、それが強みであるかどうかは不明です。

例えば、人を極力配置せずに徹底したローコストオペレーションを志向する企業の場合、店長の接客力は特に重要な要素にはなり得ません。

このように、SWOT分析自体がちゃんとやろうと思うと難易度の高い方法ですので、しっかりと取り組む必要があるのです。

2.論理立てて戦略を作ること
強みと機会を掛け合わせて戦略を構築するのがこのクロスSWOTですが、機会にだけ目を奪われて戦略を構築する例があります。

例えば、地域に子育て世代が増えると言った機会を見いだしたとします。

この場合、やりがちなのは、「地域に子育て世代が増えるから、子育て支援のお店をやる」といった戦略構築です。

一見すると、何の問題もないように感じられますが、自社の強みがこの戦略では言及されていません。子育て支援にかかわるような強みがあるならば、妥当な戦略と考えられるのですが、自社の状況が不明なので、この戦略がいいかどうかは判断できないのです。

また逆に、自社の強みだけに目を向けて戦略を考えると行った事もやられがちです。クロスSWOTがクロスしている意味を再度確認して、戦略構築を行う必要があるのです。

3.欲張りすぎ
また、クロスSWOTは戦略を絞り込む方向には向きません。強みと機会を掛け合わせることから、いくらでももっともらしい戦略を構築することができます。

その結果、あれもこれも捨てがたいと、あたかも大企業が市場全体を狙うような戦略を作りがちなのです。

しかし、戦略とは「戦いを略す」と書くように、戦わないことを決める事が肝です。そのため、一番の強みと、一番の機会を掛け合わせるといった気持ちで戦略を考える必要があるのです。

  • どこで戦うかを決めてからが事業計画
さて、このクロスSWOTで戦略の方向を決めてから、マーケティング戦略等に落とし込んでいきます。

ただし、小さな企業の新規事業等の相談では、やりたいことがすでに決まっていてそれを実現するための方策の相談といった切り口が多いのが現実です。

その場合は、クロスSWOTは参考程度になってしまうのですが、この方法だけが正解ではなく、戦略の方向性に示唆を与える方法でしかないため、「クロスSWOTの結果貴社はこうすべきだ」などと言って自分の考えを押しつけないようにしましょう。


こちらもご参考に
経営戦略の実務的な構築方法
アンゾフの成長ベクトル
経営
2014年12月31日

SWOT分析 | プラス面とマイナス面を企業内部・外部に分けて把握する方法です

SWOT分析
SWOT分析とは、企業の環境を把握するための考え方で、企業内部の強み(S:strong)、弱み(W:weaknesses)、企業外部の機会(O:opportunities)、脅威(T:threats)を分けて考えましょうというものです。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」といった格言がありますが、己の強みと弱み、敵(外部環境)の機会と脅威を分類して書きだしましょうという事です。

と、なんだか難しそうな感じですが、実際には非常に簡単に行う事ができます。

下図をご覧ください。
SWOT分析 

このように、企業内部にとって良い事と悪い事をそれぞれSとWの欄に記述し、企業外部の環境が自社にとって機会になりうるか、脅威になりうるか(つまり有利な状況なのか、不利な状況なのか)をOとTの欄に記述するのです。

そうすると、企業にとっては内部環境と外部環境について「もれなくダブりなく」(こういうのをMECE、ミッシーなどと言います)考慮する事ができるのです。
  • 企業内部について
さて企業内部については強みと弱みに分けるのですが、強みと言っても競合に勝っていなければ強みではありませんし、弱みと言っても競合に負けていなければ必ずしも弱みではありません。

例えば、100メートルを11秒で走れる人がいたとしても、オリンピックで金メダルを狙うのであれば『強み』にはなりえませんし(9秒台で走らないと金メダルには届きませんからね。)、町内の運動会を考えれば相当な『強み』になるはずです(○○町の韋駄天と呼ばれるかもしれません)。

このように、企業内部で強みと弱みを分ける際には、あくまで競合を意識して相対的にどうなのかを考えなければならないのです。(とはいえ、一般的に強い弱いで良い場合も多いのですが。)

また、コツとして、強みはとにかく出せるだけ出してしまうという考え方もあります。出された強みが本当に有効なのかをフィルタリングするためのVRIO分析というツールもあるので、ブレスト的にどんどん出してみても良いかもしれませんね。

ただ、このように書いても「えー、ウチに強みなんかあるのかな…」と言う中小企業の経営者は多いものです。このような場合、現に売上を取れている理由を問うてみると良いと思います。「自社の売上があるという事は、顧客が競合ではなく自社を選んだ理由があるわけですから、それこそがあなたの会社の強みなのです。」と尋ねてみるのです。
  • 企業外部について
さて、難しいのは企業外部の分析です。簡単に機会と脅威に分けてくださいとしか、このSWOT分析では言ってくれないのですが、外部の事象が機会なのか脅威なのかはやはり自社との関わりでしか分けられないのです。

例えば、高齢化の進展は一般的には『脅威』になると考えられますが、高齢者に対応した商売を実施するのであれば『機会』になりえます。

また、一般の小売業であっても、きめの細かい配達サービスができるのであれば、高齢化の進展は『機会』になりえます。

このように、分類は中々難しいのですが、「その環境は自社にとってどうなのか」を問うていくことで機会と脅威に分けられるはずです。

なお、ポジティブシンキング過ぎて、何でもかんでも機会であると考えてしまっては分析になりませんので、そこは冷静に考えてみてくださいね。

そして、この企業外部の環境分析に役立つようなフレームワークとしてはPEST分析ファイブフォースモデルなどがあります。合わせてチェックしていただけると幸いです。

関連用語
クロスSWOT

こちらもご参考に
経営戦略の実務的な構築方法 
経営
2012年2月14日

撤退戦略

撤退戦略_001
撤退戦略とは犠牲を最小限にとどめ、損失を回避しながら、投資を最大限回収するために計画的に行う戦略です。

撤退の対象となる事業は、その事業がライフサイクルの衰退期になっており、今後の需要減が見込まれる事業や、市場で優位性を発揮できる見込みがない事業です。

撤退の方式としては次のようなことが考えられます。

1.廃止
その事業を思い切って廃止してしまうことができます。

2.別会社へ分離
その事業を別会社として分離する方法を考えることができます。

3.事業譲渡
その事業を別会社に譲渡する方法を考えることができます。

この事業からの撤退を考えるときに障壁となるのが撤退障壁となります。しかし、どうにもならない事業にこだわり続けていたずらに傷口を広げる事を避けなければならないと思います。

このまんがでは、1コマ目で杏仁豆腐定食(どんな定食なんでしょうか?)の売れ行きが悪くなってきていると言っています。今回のまんがでは、製品ライフサイクルの衰退期に入っていることを想定しています。 

また、2コマ目ではスイートポテトは競合に全く歯が立たないと言っています。

この状況から、それらの製品から撤退しようと言っています。 撤退して生じた余力を主力に投入しており、その結果4コマ目では資源を投入した日替わり定食の売れ行きが良くなったと言っています。

関連用語
残存者利益 
経営
2011年7月3日

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

ppm_001
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは、企業の複数の事業を市場成長率と、相対的市場シェアの高低によって分析し、全社レベルで最適な経営資源を実現するための手法です。

これは、先日解説した経験曲線
と、製品ライフサイクルから導き出された考え方です。すなわち、

1.どのような製品であっても、成長は鈍化する時が来る。
2.シェアの高い製品は、累積生産量が増やせるためコストを下げる事が可能である。
3.成長性の高い製品はそれだけ資源の投入が必要である。

という前提のもと、縦軸に市場成長率を、横軸に相対市場シェアをとった図を作成し、分析します。

ppm_1


花形製品
 花形製品はシェアが大きいため、コストを下げる事が出来るため資金流入は大きいですが、市場成長力が大きいため、その分資源の投入も必要であります。資金の流入はそれほどありません。

問題児
 問題児は、シェアが小さいためコストは十分に下がっていませんが、市場成長力が大きいため、資源の投入は必要です。そのため、資金の流出が発生します。

金のなる木
 金のなる木は、シェアが大きいため、コストを下げる事が出来るため資金流入は大きく、市場成長力は小さいため、資源の投入はあまり必要でないです。資金の流入が多く、まさに金のなる木です。

負け犬
 負け犬は、シェアが小さいためコストは十分に下がっていませんし、市場成長力は小さいです。資金の流入はそれほど無いもしくは、赤字になっている場合が多いです。


PPMの欠点としては、上のまんがで指摘されている通り、

1.モチベーションの低下と自己成就的予言
「負け犬」に位置づけられた人々の動機付けは非常に難しくなり、しかも「負け犬」のレッテルが貼られてしまうと、その事業部は内外双方の人がそのようにみる事によって、本当に負け犬になってしまいます。

2.質的評価が難しい
経営資源の蓄積(ノウハウなど)は評価が難しいため適正に評価されない場合があります。

3.新規分野の展開の手掛かりにはなりにくい
PPMの分析対象は既存事業であるため、新規事業へ進出すべき方向を見出すことは難しいです。
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