ゼロベース思考とは、過去の実績や経験にとらわれることなく、ゼロから思考していくことをいいます。
文字通り、前提を持たず、ゼロから考えていくといったイメージです。
■組織や個人には有益な経験が蓄積されます
さて、組織を運営したり、様々なことに取り組んでいると、いろいろな成功体験やノウハウが蓄積されていきます。
また、「これはダメそうだな…」といったように、経験則を用いて判断することも可能となります。
また本質的でないことについては、何も考えずに前例を踏襲することが意思決定のコストを下げることにつながります。
例えば三日間検討して5000円の削減になるといったことがあるとします。しかし、企業においては3日分の人件費を考えれば、5000円の削減のために検討をするのではなく前例を単に踏襲するだけでいいとなります。
このような経験則は非常に有用なものです。言われるこの経験則をノウハウと位置づけて、そのノウハウを組織全体で共有しようというのがナレッジマネジメントとなります。
組織に蓄積された経験は、コスト削減したりより収益を高めたりすることに活用されます。
■経験があるが故の弊害もあります
しかし、新しい事を生み出そうとしたときに、経験則を元に考えていくと「いいアイディアだけど、無理だよなぁ…」といった考え方に陥ってしまうケースもあります。
また、経験があるがゆえに「それだけの品質を求めるのなら、コストは従来の二倍かかるよ」といった判断がなされる場合もあります。
しかし、本当にそうでしょうか?
ただ、経験則が蓄積されている組織では本当にそうかどうか言ったことは検討されません。
また有望なビジネスの種があったとしても、経験に従って売れないと判断されればそうビジネスの種はそれ以上追及されません。
もちろん企業を取り巻く環境が安定的なのであれば、余計なことを検討する事で生じるロスを削減すると言ったことは非常に重要です。
しかし現代のようにビジネス環境が不確定の場合は、ある程度致命傷にならない範囲でイチカバチカを繰り返す必要があるのです。
■ゼロベース思考でイノベーションを
日常の業務であってもゼロベース思考で、前提条件を取り払って考えれば、実際にはもっといい解決策があるかもしれません。
そもそも、そのような業務はする必要がないかもしれないのです。何かをやらないというのが一番の改善です。
やらなくても同じ価値が生まれるのであれば、そのようなことはやらないのが一番なのです。
また、従来の発想ではどう見ても成功しそうにないようなことであっても、現在では技術的な裏付けがすでに生まれていたり、ビジネスになる可能性もあります。
このように、ゼロベース思考は従来の思考の枠組みの中ではなかなか生まれないような、革新的なアイディアをもたらす可能性がある思考法なのです。
ここの陳列はこんな風にして。昔のノウハウがあるからやりやすくっていいわよね。
ちょっと待って本当にそういう陳列でいいのかな。今のお客様ってちょっと考え方が昔と違うかもしれないよ。
確かにそうね、じゃあ一回前提条件取り払って考えてみようかしら。
■ゼロベース思考のデメリット
ただしゼロベース思考も万能ではありません。なんでもかんでもゼロベースで考えてしまうと、仕事は全く進みません。
何か日常業務をするにあたってこれはする必要があるのかもっといい方法があるのではないかと考えることは重要ですが、全てのものについて考えていると仕事になりません。
そのためゼロベース思考を活用するタイミングまた物事を考えていく必要があるのです 。
■ゼロベース思考を行うには
さてこのようなゼロベース思考ですが、デメリットを理解した上で活用すれば非常に強い武器となります。
そのゼロベース思考を行うためには、物事を言った批判的に考えてみると言ったことが有効なテクニックです。
本当にこんなことする必要があるのか?といった批判的な視点はゼロベース思考のスタートとなります。
もしそのような視点で見てみることによって、従来10やってた仕事が8で済んだといったことになれば非常に大きな効果を得たことになります。
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