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時事ニュース解説

時事ニュース解説
2015年11月20日

117時間までなら残業で対応した方が人件費が安くなる?その考えだとトータルでは高くつきますよ?

女の子_3

割とビックリなニュースがありました。それはクレジットカード会社大手のJCB取締役とJCB会社自体が違法な時間外労働をさせたとして書類送検されたという事です。

報道では

 クレジットカード大手「ジェーシービー」(東京都港区)が昨年、本社勤務の社員7人に違法な時間外労働をさせたとして、東京労働局三田労働基準監督署は19日、労働基準法違反の疑いで、同社と取締役ら4人を東京地検に書類送検した。2015年11月19日産経新聞

とされており、労働基準法違反での書類送検であったという事です。あまり、労働基準法の違反で書類送検などといった事は聞いたことが無いので、事実であればかなり踏み込んだ対応であったと思われます。

残業をさせる場合、労使協定で残業を認める協定を結ぶ必要があり、とする場合45時間までが適法で運用できる範囲となります。但し、年6回まで(6か月まで)は特別条項としてその45時間を超えて残業することも認めるといった協定を結ぶことができます。

つまり、法に則って実施される残業時間は、年のうち6か月は45時間を上限としないといけないのです。

そのため、毎月毎月45時間を超える残業時間となっている場合、違法なのですね。(もちろんサービス残業が違法なのは言うまでもありませんが。)

■別の人を雇った方が安いラインは?

さて、法律論で違法云々についてはおいて、今回は単純に残業時間が何時間以上になると別の人を雇った方が安くなるのかについて考えてみます。

こういった長時間労働のお話が出ると、直感的に「もう一人雇った方が安いのでは?」と感じられるためです。

なお、議論を単純にするため、月160時間の所定労働時間で20万円のお給料の人(手当等は存在しない)が残業をする場合の、『もう一人雇った方が安いライン』を求めていきます。

■まず労基法のルールをおさらいします。

まずはルールのおさらいです。

ルール1:労基法上は残業が発生したら25%の割増賃金を支払う必要があります。

ルール2:1カ月の残業時間が60時間を超えた場合割増率は50%となる。

議論の単純化のため、休日出勤、深夜残業については考えないこととします。(残業時間が100時間を超えてくるとこれらの休日出勤や深夜残業にどうしてもなってくるのですが今回は無視します。)

■では60時間の残業を考えます。

さて、この人が60時間の残業をした場合はどうなるでしょうか?

先ほどの人を前提とするので時間給は20万円÷160時間で1,250円となります。

で60時間の残業をするわけですから

1,250×60×1.25=93,750円

となります。

■60時間超の場合

さて、60時間超の残業をした場合ですが

93,750円+(60時間超分の残業代)=総残業代

で計算ができます。

そのため、例えば100時間の残業をした場合(過労死ラインを超えていますね…)

93,750円+(1,250×40×1.5)=168,750

となります。

では120時間の残業ではどうでしょうか?

93,750円+(1,250×60×1.5)=206,250

で基本給を超えてくるのでここまで働かせるのならばもう一人雇った方が安いといった形になります。

なお、おおむね200,000円となるラインは117時間です。

但し、深夜残業や休日出勤などが絡めば割増率が上がるため、このラインはもっと前に来ますし、ボーナスや各種手当も考えればこのラインはもっと後ろに来ます。そのため、一概には言えませんが、単純化した事例では117時間程度となっています。

■117時間までなら残業で対応した方が安い?

と、このような議論には生産性の視点やコンプライアンスの視点が全く欠けています。117時間までなら残業で対応した方が安く上がるなどと言うような企業で働きたいと感じる人は少ないでしょう。

また、このような長時間労働を認めるような企業風土があると、今回の事例のように会社が書類送検されたり、ブラック企業の評判を立てられるといったレピュテーションリスクが存在します。

さらに、従業員さん自身の健康面も心配になりますし、なにより恒常的な長時間労働が前提となっている人たちの生産性も低下すると考えられます。(疲れて働くよりリフレッシュして働いた方が生産的ですよね)

目先のコスト面だけを見るとこのような従業員に残業してもらった方が安いといった議論になってしまいますが、全体的に見て何が最適なのかを考えていく必要がありますね。

 
時事ニュース解説
2015年11月17日

カステラが食べたい!進物にしたい。そんな時は文明堂。文明堂から考える企業組織について

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みなさまはカステラってお好きですか?経営マンガの中の人にはカステラが洋菓子なのか和菓子なのかよく分かりませんが、お茶を飲むときとかに食べるとおいしいですよね。

何というか、ホッとする味です。

と、なんとなくお取り寄せをと思ってカタログを見ていたのですが、カステラで有名な文明堂って一つの会社ではないってことをご存知でしたか?

ある程度の年代以上の人には、「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつに文明堂」という言葉を聞くとCMソングが脳内で再生されるほどの有名企業ですが、実は文明堂は各地に暖簾分けされた文明堂があるのです。
これ以降文明堂は、根は同じ長崎の文明堂であるが、別々の会社となる。長崎には文明堂合資会社から改称した株式会社文明堂総本店、神戸には株式会社文明堂神戸店、浜松には株式会社浜松文明堂、横浜には株式会社文明堂、新宿には株式会社文明堂東京、銀座には株式会社文明堂銀座店、六本木には株式会社麻布文明堂と、現在7社の文明堂が存在している。ウィキメディアより引用
業界関係者にとっては常識かもしれませんが、経営マンガの中の人はこの事を知って結構驚いています。

そこで今回は、文明堂の企業組織を題材にグループ会社とか業務提携、暖簾分けの違いについて考えていきたいと思います。

■同一会社の支店なら

さて、一番きずなが深いのは同一会社での○○支店といった組織体制です。例えば、東京文明堂の本社と○○支店といった関係では、同一企業ですので本社の指揮命令系統の中に含まれています。

一般的なお店と本社の関係性はこういったモノであり、店長の上に販売部長なり担当役員がいて、その上を社長が統括しているような感じとなります。

このような場合は、完全に同一企業ですので、一つの運営会社が全国各地に○○支店を出しているといったイメージです。

読者の中にも、文明堂はそういった事業を運営する会社が一つあって、その傘下に各地の文明堂○○店があると思っていた方もいるのではないでしょうか?(お恥ずかしい話ですが筆者はそのように思っていました)

■持株会社やグループ会社

さて、東京文明堂は持ち株会社制を採っているとの事です。こちらは、文明堂日本橋店と文明堂新宿店が文明堂東京ホールディングスといった持株会社を設立して一緒になっています。

この場合、持株会社が子会社の株式を持って支配する形となるので、一応、文明堂日本橋店社と文明堂新宿店社は別会社になります。

こういったケースは元の企業がある程度独立しているケースから(三越と伊勢丹のような関係性)、殆ど一体になっているケースまで考えられます。

また、どちらかの企業が片方の株式を保有して子会社化するといったケースもあります。

■様々な提携

このほかの形式として、資本提携としてお互いに株式を持ち合うケースも考えらえれます。この場合、同格の企業同士(親子関係が無いという意味です)が株式を持ち合うので、持株会社を設立したり、グループ会社になったりするのに比較すると緩い提携関係となります。

また、さらに緩い関係では業務提携技術提携を結んで、資本関係は持たずに、業務や技術に関して協力しましょうとしているケースがあります。

このように、契約によっても様々な提携関係を考えることができます。

■文明堂は

さて、肝心の文明堂各社がどのような関係性なのかは外部からは知る由もありません。(帝国データバンク等で調べればわかるのでしょうけれども、あまり興味本位で調べるのもどうかと思いますので…)

但しいずれにしてもカステラが美味しい事には変わりはないので、進物としてもしくは、ご自身のお取り寄せとして召し上がってはいかがでしょうか

文明堂総本店特撰カステラ1号(TC-28)(580g)長崎銘菓【RCP】

価格:3,240円
(2015/11/17 20:15時点)
感想(11件)



[横浜]<文明堂>極上金かすてら

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(2015/11/17 20:15時点)
感想(0件)



「文明堂東京 ハニーカステラ2A号(HM)」[洋菓子][md]ぶんめいどうとうきょう

価格:5,980円
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感想(0件)


こんな風に幾つかある文明堂のカステラを食べ比べてみるのも贅沢でいいですね。(スペイン国王に献上したことがある銀座文明堂のカステラはリンクが見つからなかったので欲しい人は検索してみてくださいね。)

 
時事ニュース解説
2015年11月15日

ファーストキッチンの九州進出から考えるフランチャイズの事

kuma

ファーストキッチンというファーストフードチェーンがあります。関東圏内の割と大きな街には結構お店を構えていて、パスタやホットドック、何と言ってもいろんなフレーバーのポテトなどを提供している、チェーン店です。

筆者の中では一応ハンバーガー店という位置づけではあるのですが、言われてみればポテトとホットドックばっかり食べていたような気がします。

報道では
ハンバーガーチェーンのファーストキッチンが約7年ぶりに九州へ再上陸する。これまで本州での出店に集中していたが、福岡のショッピングセンターへ出店。今後も福岡で店を増やす方針だ。

 今月20日、地元スーパー、サンリブの福岡県古賀市のショッピングセンターに出店する。他の飲食店も並ぶ「フードコート」に出す。同社のグループ会社がファーストキッチンとフランチャイズ契約を結び、来月には北九州市の店舗内にオープンさせるほか、その後他店舗内への出店も検討する。2015年11月13日朝日新聞
とされており、フランチャイズ契約を結んだ企業が、ファーストキッチンの名前でお店を始めるといった形のようです。

■別の会社が運営するの?

さて、フランチャイズ契約とありますが、消費者にとって気になるのは「ファーストキッチンとは別の会社が運営するの?だったら味とか細かい点が違うんじゃないの?」といった事だと思います。

普通に考えれば、弊サイトの中の人が『経営マンガキッチン』の経営に乗り出したのなら、その料理の味も業務の進め方も既存の企業とは異なってきます。(そもそも経営マンガキッチンなんて名前だと何屋さんかわかりませんが…)

その延長線上で考えるのなら、福岡の地元スーパー、サンリブ社のグループ会社が開店するお店はやっぱり違うお店になると考えられます。

しかし、今回はフランチャイズ契約を結ぶとあるのでその心配はありません。消費者は正真正銘のファーストキッチンのハンバーガー(とポテトとホットドッグ)を食べることができるのです。

■フランチャイズはビジネスモデル一式を提供してもらうイメージ

この、フランチャイズ契約といった所がミソで、基本的にはフランチャイズ契約では、加盟店(この場合は福岡の地元スーパー、サンリブ社のグループ会社)は主催者(ファーストキッチン社)から商標を使う権利やサービス・商品を販売する権利、様々なノウハウを供与されます。

つまり、ファーストキッチンを運営するために必要なノウハウや法的な権利をそっくりそのまま使う事ができるのです。これは、一からハンバーガーチェーンを立ち上げようと考えるよりも明らかに有利です。

例えば、弊サイトの中の人が『経営マンガキッチン』の経営に乗り出しても、最初から売上を見込むことは困難です。また、どこに出店すべきか、どのような料理を提供すべきか、店舗のレイアウトはどうするのか、どうやって広報を行い集客をするのか、どんなオペレーションでお店を回すのかといった事を一から全て解決していく必要もあります。

フランチャイズ契約を結べば、こういった難問に対する主催者側なりの答えを最初から提供してもらう事ができるのです。

つまり、ビジネスモデル一式を提供してもらうといったイメージなのですね。

■だったらどうして直営店にしないの?

と、ここまでの説明だけだと、フランチャイズの主催者側のメリットが見えてこないので「ビジネスモデルを一式提供するくらいなら自分でやった方が儲かるんじゃないの?」といった疑問が出てきます。

しかし、フランチャイズの主催者側にも極めて大きなメリットがあります。

それは、少ない資本(しばしば、お金をもらいつつ)自社の事業を拡大できるといったメリットです。

まず、フランチャイズの主催者はフランチャイズの加盟店から加盟金名目でお金を受け取ります。(ノウハウの供与とかの見返りですね)

そして、加盟店が営業を続けている限りロイヤリティとして、売上の数%が入ってきます。(利益の数%ではなく売上の数%なのがミソです。)

そのため、自社でお金を出していないので、極めて小さなリスクで事業を拡大することができる。つまり、自社でやるよりも『おいしい』ケースが多いのです。

■起業の選択肢としては

さて、このような特徴のあるフランチャイズチェーンですので起業の選択肢としてはある意味定番の方法です。

基本的には修行をしたり、ビジネスモデルの構築に時間をかけたりといった事が不要なため(もちろんオーナーに対する教育訓練もフランチャイズ契約には含まれていますが)素早く起業することができるのです。

しかし、その分、一般的に言えば自分で一から始めるのと比較して費用的な負担が重くなります。(加盟金の支払いや継続するロイヤリティの支払など)

このように、起業の方法としては、一長一短ですが、ビジネスモデルを一式供与してもらうといった事は検討に値すると思われます。

もし、起業を検討されている方は、全国の商工会議所が運営するビジネスマッチングサイト「ザ・ビジネスモール」から派生したフランチャイズの比較サイトのリンクを張っておきますので、資料の請求をしてみてはいかがでしょうか?

独立・開業・起業をお考えの方に!
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資料請求はBMフランチャイズ


事業主さんからは苦労話もよく聴きますが、それ以上にうまく行ったときのお話を聴くケースも多くあります。起業だけが解ではないと思いますが、人生の選択肢の一つとして考えるものありだと思いますよ。
 
時事ニュース解説
2015年11月12日

帳簿を付けていない?会社員の方には想像が難しいかもしれませんがそんな社長さんは多いのです

帳簿

経理部とかがちゃんとあるような企業にお勤めの方や、学生さんにとっては、帳簿をちゃんとつけていなくて、自社が儲かっているかどうかがちゃんと把握ができていないといった事業者が存在することはにわかには信じがたいと思います。しかし、現実ではそんな感じの事業所はとても多いです。

但し、そうはいっても税務署に確定申告をしなければなりませんし、銀行でお金を借りようと思った場合には財務資料を用意しなければならないので、税理士さん等に帳簿をつけてもらっています。

しかし、そういった企業はせっかく税理士さんが帳簿をつけてくれて、財務諸表を作ってくれているにもかかわらず一度も目を通さずに、ファイルに入れているだけといったとてももったいないパターンも多くなっています。

■健康診断とか成績表とか言う前に

さて、「財務諸表は財務的な健康診断とか成績表である」みたいな言葉を昔読んだ『金持ち父さん』の本で見た覚えがありますが(うろ覚えですみません)、財務諸表なんて、見方もなんだか難しげですし、数字ばっかりですし、見ただけでアレルギーを発症する方も多いと思います。

でも、社長さんには難しい事は言いませんので、(専門的な分析はセンセイにお願いすればいいのです)一つだけ目を通していただきたい指標があります。

それは損益計算書という書類の中段あたりに書いてある『営業利益』という指標です。

■『営業利益』だけは必ず見る事

さて、中見出しにして目立たせてみましたが、『営業利益』という指標だけは必ず目を通してください。『営業利益』という指標だけは必ず目を通してください。(大事なことなので二回言いました。)

というのは、この指標は本業の儲けを示している指標だからです。そのため、この営業利益の額であなたの営んでいる事業がどれだけの利益を生み出しているかがわかるのです。

ところで、「営業利益の欄に▲○○円って書いてあるよ」「営業利益なんて言葉は無いけど、営業損失って書いてあるよ」といった感想を持たれた社長さんはいますか?

そういった社長さんは、数年前の財務諸表を引っ張り出してきて、同じ営業利益の欄を見てください。直近の年度だけ、たまたま営業利益がマイナスだったと判断できるのであれば、今年は営業利益をプラスにする事に注力していただければと思いますが、数年にわたってマイナスの場合、かなり注意が必要です。

それは、あなたの事業が利益を生み出していない事を示しているため(つまり続ければ続けるほど損をするという事です)、何らかの手を打たないとマズイ状況に追い込まれる可能性を示唆しているからです。

■営業利益はプラスだけどお金が足りない…

さて、営業利益がプラスであっても借入金の返済などが多くてお金が常に足りていないといったケースも想定することができます。

この場合、本業は利益を生み出しているけれども、過去の何らかの問題が尾を引いており(例えば過去、自社の景気が良かった時期に豪華すぎる建物を建てて、その借入金を未だに返しているとかそんな感じです)それが足を引っ張っていると考えることができます。

このようなケースでは外部からセンセイを呼んで来れば、ある程度の対応も可能です。(場合によっては借入金の返済条件の変更などを金融機関相手に交渉をするといった事まで行ってくれるセンセイもいます。いわゆる企業再生といった案件ですね)

このように、営業利益がプラスなのかマイナスなのかで大きな違いが出てくるのです。

■帳簿を付けよう

さて、このような結果の分析も大切ですが、やはり日々帳簿をつけて儲かっているかどうかを押さえて欲しいと思います。

スピードメーターなどを見ないで運転する人はほとんどいないと思いますが、経営に関すると「なんだか難しいな」といった先入観で計器を見ないで(つまり財務諸表などを見ないで)経営する人が多くいるのが現実です。

例えば、下のような弥生会計などを導入すれば(簿記の素養があれば)簡単に帳簿を付けることができます。



ただ、こうやって事業主さんが自分で帳簿を付けるという事は、実はかなりハードルの高い要求であることも分かっていっています。(でも自社でできるのが一番いい事ですからね。)

■技術は進歩しています

とこんな風に書くと「簿記?そんなの勉強してらんないよ。こっちは忙しいんだよ!」といった反応があるのも想定できます。(というか会計にアレルギーを持っている人はとっても多いと思います。)

そのようなニーズが多いのか、銀行口座の情報から自動で入出金を取り込んで、記帳してくれるといったfreeeという会計ソフトも出ています。(クレジットカードからも同様に経費の情報を記帳してくれます。)

このようなサービスを最初に聞いた時はビックリしたのですが、「確かにお金の出入りは分かっているわけですし、明細である程度どこに払ったのか、どこから入金があったのかは判断できるので自動化できるよね。」と納得感はありました。

いちおう、個人事業主だと税込980円/月、法人だと税込1,980円/月で使えますので、個人的にはありかなと思います。(無料での試用もありなので試してみるといいですよ)

無料から使える会計ソフト「freee(フリー)」

■というか何でもいいから帳簿をつけて欲しい

と、色々書いていますが、経営を支援する側からの願いは一つです。「なんでもいいから帳簿をつけて欲しい」という事です。

それが税理士さんに丸投げであっても良いので帳簿だけはちゃんとつけたほうがいいです。

税理士をお探しなら『税理士探しの強い味方 税理士紹介エージェント』

というのは不確かな情報を元に適切な支援は誰にもできないからです。お医者さんは熱や血圧を測り、聴診器を使って音を聴きます。そして患者さんからお話を聞いて、総合的に判断を行ってから治療をします。

同じように、あなたの会社の状況が分からなければ適切な支援などできないのです。(ごくまれに社長さんのお話だけで状況を的確に判断し、適切な支援方法を提案できる人もいるのですが、そのような人にあたるのを期待するよりも帳簿を付ける方が確実ですし速いです。)

商売で儲けるために、帳簿を付ける事から初めて行きましょう。
 
時事ニュース解説
2015年11月10日

法人番号と紐付けをした労働版口コミサイトができると労働力の調達ができなくなったブラック企業は滅びます

ヒヨコ_2

目先のコスト削減のために労働関係のルールを守らないでアルバイトの学生さんを働かせるといったいわゆるブラックバイトが問題になっています。

報道では

厚生労働省は11月9日、アルバイトを経験したことがある大学生らに対して実施した初の意識調査の結果を発表した。回答した学生1000人が経験した1961件のアルバイトのうち、48.2%で「労働条件等で何らかのトラブルがあった」ことを回答していた。
中略
「準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった」の13.6%と続いた。2015年11月9日 弁護士ドットコム

とされており、48.2%の学生さんが何らかのトラブルがあったと回答しています。

■賃金未払いという闇に寛容な社会

さて、今回はブラックバイトが云々といったお話は深堀しませんが、賃金未払いに該当する項目が13.6%も存在している点について触れていきたいと思います。

個人的には、残業代の未払いとか、準備時間との名目で労働したにもかかわらず賃金が支払われないといった事に対して、この社会は寛容すぎると考えています。

労働したのならば労働した分の賃金が受け取れる。それがあるべき姿ではないでしょうか?

とこのように書くと「綺麗ごとを言うな」との声が聞こえてきそうですが、ココは綺麗ごとであっても言い続けるべきであると考えます。

■モノやサービスには対価があります

商品を仕入れてきて、それに対して代金を支払わなければ、相手は二度と取引をしてくれなくなりますし、なんだかんだ言って商品の代金は取り立てられることとなります。

また、電気料金や水道料金、家賃といったいわゆる経費についても、対価を支払わなければ、利用することができなくなりますし、支払わなかった対価自体も裁判などの手続きを通じて最終的には支払う事となります。

このようにモノやサービスには価格があって、それを支払わないことは許されないのです。またちょっとだけだからと言って支払う費用を『ごまかす』といった事も当然許されません。

しかし、労務費や人件費だけは『ごまかし』がまかり通っています。

■他者の富を不当に奪っている自覚はあるのか

さて、他人の持ち物である資産を不正に利用することは許されません。そういった行為を社会は『ぬすみ』と呼び、社会の秩序を守るため、そのような行為を行った者は罰せられる事となります。

しかし、他人の労働力を不正に利用する『ごまかし』はまかり通っていますし、もし問題とされたとしてもブラック○○といった確かに不誠実だけど法的に問題はないといったニュアンスの言葉で矮小化されているように感じられます。

しかし、賃金のごまかしは本質的に商品を盗んできて販売する事や、サービスを利用したにもかかわらず対価を支払わない事と変わりません。

つまり、他者の富を不当に奪って、自らの私腹を肥やしているといった行為に他ならないのです。

■ルール違反を正当化する論理

例えば、「そんなに厳密にやったら、潰れてしまうよ…潰れたら従業員が困るんだよ」などという論理でこの種の賃金の『ごまかし』を正当化するような人もいます。

しかし、仮に他者の富を不当に奪わなければ存在できないような事業であるのならば、その存在意義はなんなのでしょうか?

■一番効果的なのは

このような現状を変えるために、規制をかけて徹底的に取り締まるといったアプローチも考えられますが、むしろ労働力も労働市場から調達されているといった点に注目したいと思います。

すなわち、ルール違反を行っているような企業は、労働力の調達が極めて困難になるといった仕組を作っていく事が効果的であると思われます。

例えば、労働市場についての口コミサイトがあって(法人番号が公表されるので、それと紐付けした口コミサイトなんかは強力ですよね)、賃金関係の法令違反が多発するようであれば徐々に消えない悪評がたまっていくといった形です。

そのような形になれば、労働関係の法令に違反する行為は完全に自分の首を絞める事となるため、(悪評がたまるほど、人を雇うためにはかなりのプレミアムを付ける必要が出てきます)市場原理に基づき、ブラック企業的な経営手法(働く人から富を奪うような手法)は割に合わなくなるのです。

賃金を誤魔化すような企業では働かないといった一人一人の心がけと、マイナンバーの陰に隠れている感のある『法人番号』を活用した、仕組みができれば自然に悪質な企業は淘汰されると考えられます。

法人番号を活用し悪徳企業を淘汰する仕組みを提供する事業を立ち上げ、一儲けするというのも、どっちが悪者かわからない感じで洒落が効いていますよね。


時事ニュース解説
2015年11月2日

もう、内部留保って言うの止めませんか?内部留保を活用してとの謎理論が出ると議論が進まなくなります

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定期的に出てくるお話なのですが、内部留保を活用して自分たちの目的を達成しようという報道がなされています。

報道では、
安倍晋三政権が昨年までの賃上げ要請に続き、経済界への圧力を強めている。政府は2015年10月16日、企業に積極的な投資を促すための「官民対話」の初会合を開き、過去最高水準に積み上がった内部留保を設備投資などへ回すよう要請した。2015年10月28日JCASTニュース
とされており、今回は内部留保を設備投資に回してほしいとの事です。

■「内部留保を活用して」という謎理論

さて、内部留保を活用して賃金に回すであったり、内部留保を活用して○○といった議論は、どうも会計にあまり触れる機会ない人たちにとっては人気の論点のようですが、企業側にとっては、あえて厳しい言い方をするならば「言っている意味が分からない」といったレベルの議論であると考えられます。

内部留保を活用してと言っている人にとっては、極めて真っ当なことを言っているつもりであると考えられます。(そうでなければ繰り返し定期的に議論される人気の論点にならないですからね)

しかし、企業を運営する側にとっては、「そんな意味不明なことを言われても…」といった反応にならざる負えないため、この種の内部留保を活用してといった要請はいつも空振りに終わるのです。

このように、一見すると真っ当なことを言っているような「内部理論を活用して」というのが、どうして謎理論であるのかを本稿では見ていきたいと思います。

■内部留保って現金があると思っていない?

さて、内部留保活用論者と企業側のボタンの掛け違いはたぶんこの小見出し「内部留保って現金がある」といった事に尽きると思われます。

内部留保活用論者はおそらく、利益をため込んで内部留保を厚くしているのだから、現金があるに違いないと思い込んでいるはずです。

しかし、ここに大きなが誤解があるのです。仮に利益を配当金などで社外に流出させずに自己資本比率が100%に限りなく近くなっているような企業があったとしても、その企業が現金を持っているかどうかは別の話なのです。

例えば、ある企業が新社屋が欲しいと考えていたとします。そして、その企業は新社屋を建てるために税金を支払った後の税引き後利益をほとんど配当などに回さずに内部留保としてため込んでいたとします。
toushimae
この図のように、内部留保分を頑張って現金でため込んでいて、たまたま現金で持っていたようなケースを想定します。

そしてあるとき、溜めていた内部留保を活用して1億円で新社屋を建てたとします。このような場合、内部留保活用論者が言うように、「内部留保を活用して設備投資を…」といった結果となります。

それでは、このような1億円の投資をした企業の内部留保はどうなったでしょうか?意外な結果が出てきます。
tousigo
確かに、内部留保分の1億円は現金から建物へと変わりました。しかし、内部留保の額はこのような設備投資を行ったにもかかわらず、変わらないのです。

依然として内部留保額は1億円もあるわけです。さすがに、このような経緯で説明されれば「内部留保があるのだから、さらなる設備投資を」という無茶を言う人はいないと思います。

しかし、内部留保を活用して云々は、大きな視点で見ればこのような無茶を言っているようなようなモノなのです。

■要するに言葉の問題

このような説明をすると「どうも内部留保というのは、現金とは関係のない概念らしいな」と感じる人も多いと思います。そのような感覚は正しく、内部留保というのは、言葉として単に資金の調達源泉を示している言葉に過ぎないのです。

上の例では最初に現金1億円を持っていましたが、それはなんだかんだで企業が1億2千万円分の経済的資源を調達してきており、それがたまたま、1億円分の現金として運用されているといった事を示しているにすぎません。
bs
このように、内部留保がいくらあると言っても、それは現金がそれだけあるといった事を意味していません。そのため、内部留保を活用してと言う言葉を額面通りに受け取るのならば、場合によっては借金をしてきて対応する必要があります。

そして、どうしても内部留保を活用しようとした場合には、(現金が金庫にある事を意味しないため)場合によっては借金をしてきて対応する事となる可能性があるという事が共通認識となっていません。

そのため、話がかみ合わないのですね。

■言っている方は分かって言っている

さて、このような内部留保についての議論ですが、おそらく言っている方は分かっていっていると思います。少なくとも、政治に関わっている人が言っているわけですから言っている本人の会計に対する理解があやふやであっても周りには専門知識を持っている人がいるはずです。

とすると、おそらく「ため込んだ利益を社会正義のために吐き出すべきだ!」といったメッセージの方が「内部留保がたまっているため、財務的に余裕が出てきているハズ。だから設備投資などをしてください」といった方が単純明快ですから、メッセージ性が強く出るとの判断して、正しくない言葉遣いであることは分かったうえで言っている可能性があります。

また、この種の議論はどれだけ設備投資をしても内部留保の額は変わらないため、いくらでも言い続ける事ができるといった、「いったモノ勝ち」的な構造も持っています。

例えば、自動車会社の人が、立派なおうちに住んでいる人に、「キミは財産を持っているんだから高級車を買いなさい」と言って車を買わせ、またその翌年にも「相変わらずキミは財産を持っているのだから高級車を買いなさい」と迫るようなものです。

そして、この人が言う財産という言葉は現金のみではなく、家屋敷や車も含んでいるのでいくら車を買っても、現金といった他の財産が車という財産に変わっただけなので、財産自体は減らないといった種類のモノになっています。

これなら、いつまででも言えますし、言ったモノ勝ちですね。

■そもそも誰のお金?

と、ここまでの議論で出てこなかった内容ですがそもそも内部留保は企業の株主の財産となっています。そのため、経営を委託されているに過ぎない経営陣が勝手な判断で内部留保を減らしかねない勝算のない投資を行ったとすれば、責任を問われます。(株主代表訴訟)

投資しても減らせない、かといって確実に内部留保を減らせるような勝算のない投資をすれば責任を問われるといった要請をされても困りますよね。

もちろん、内部留保でため込んだ利益を配当として株主に一気に還元してしまえば内部留保も減るし、株主に責任を追及されないので経営者的には最適解かもしれませんが、それをやったらすごい批判が殺到するんだろうなと思います。

■内部留保を持ち出すからおかしくなる

と、このように内部留保といった概念を無理に持ち出すからこのような議論はおかしくなってしまうのです。そのため、素直に生産性を高めるために投資を奨励するような制度を考えたほうが話はよっぽど早いと考えられます。

少なくとも、マスコミ報道では内部留保云々の発言があったときには、取り上げないか、取り上げたとしても議論自体に意味がほとんどない事を注記しておくなどすると、生産的な結論が得にくい内部留保が云々といった議論は、この辺で終わりにできると思うのですが。

本記事に出てきた用語解説
内部留保とは
自己資本比率
株主代表訴訟

時事ニュース解説
2015年10月22日

携帯電話と生命保険の共通点?それはドコモショップで売っている事ですといわれる未来がきます

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スマホやガラケーの事で必要があって携帯電話会社のお店に行ってすごく待たされるといった事があると思います。どうも、契約後のユーザサポートへ割いている経営資源が不足しているのだと思われてなりません。

2015年3月期で4,000億円もの利益を(経常利益ベースでは6,300億円ほど)たたき出している企業ですから、もう少し顧客サービスに経営資源を割いて、待ち時間を短くするキャンペーンなどをやってくれるとか、をしてくれればうれしいです。(たぶん無理ですが)

さて、そのようなNTTドコモですが、今度は生命保険を取り扱うといった報道がなされています。報道では
NTTドコモ<9437.T>は21日、ドコモショップで生命保険販売の代理店業務を開始すると発表した。5─6社の保険商品を取り扱う予定。来年の夏に数十店舗で販売を始め、順次拡大していく。2015年10月21日 ロイター
とされており、生命保険の代理店業務を、ドコモのお店で開始するとのことです。

■待ち時間はどうなる

さて、このような異業種への事業展開は一般的にはシナジーを狙う事が目的であるとされています。この場合、ドコモの店舗網はすでに存在しているため、そこで生命保険を販売すれば、その店舗網を販売網として活用することができます。

そのため、新規参入組が改めて販売網を構築するよりも格段に安く事業行うことができます。

もっとも、このようなシナジーは経営資源を遊ばせておくよりも他分野で活用したほうがといった考えから狙われることが多く、前述のとおり、限界に近い稼働率のドコモショップでそのような効果があるかどうかはちょっと疑問です。

(コスト低減効果以外のシナジーが本当に存在するのかは意見が分かれますが、筆者はシナジーといわれている効果の本質はコスト低減がもたらしていると考えています。すなわち、新規顧客獲得費用の低減、新店舗網構築費用の低減などです。)

そして、このようにかんがえると、現行の体制のまま単純に生命保険の販売を開始した場合、待ち時間は今まで以上に増えてしまい、本業のサービスを損なう可能性すら出てきます。(こういったシナジーの反対をアナジーと呼びます。)

■本当に親和性が高いのか

さて、本業のサービス水準が犠牲になってしまうと、このような業務提携はマイナスになるように懸念しておりますが、携帯電話事業と生命保険が本当に親和性が高いのかについても少し疑問です。

生命保険は生涯で二番目に高い買い物(一番は住宅)であるといわれるように、非常に慎重に購入の意思決定を行う必要がある商品です。

そのような商品を非常に混雑している携帯電話のショップで契約することがあり得るのか。

筆者の印象では、携帯の大手企業は既存顧客を大事にせず、お得なのか損なのかがよくわからない料金プランをおすすめするような企業のお店で基本的に一生おつきあいするような保険商品を購入したくはないと感じます。

損害保険なら、困ったことがあれば(マンションで水漏れが起こったとか、自動車で電柱に激突したとかですね)携帯電話ですぐに連絡できるサービスとかわかるのですが、生命保険会社との連携についてはちょっと顧客にとってのメリットが想定できないです。

「誰が得するんだよ」といった事がわからないサービスとならないとよいですね。
 
時事ニュース解説
2015年10月17日

PCの基本的なスキル?教わった記憶はありませんがPCが使えない若者がいるのなら社会全体で教える必要があります

pc
パソコン。PC。仕事を行っていくには必須の道具となっています。「手書きで書類を作ってください」とか言われてしまうと、その書類作り以外ほとんど何もできずに一日が終わってしまうかもしれません。

と、このような重要な道具であるパソコン、PCですが、若い方にとってはスマホの方がなじみ深く、パソコンの操作にあまり習熟していない方が増えてきたようです。報道では

若い世代でパソコンを使えない人が増え、話題になっている。IT企業ですら新入社員が使えず困っているケースも。スマートフォン(スマホ)の普及や、親・学校のパソコンへの理解不足、経済的に苦しい家庭が増えていることなどが原因と考えられ、就労のためにも技術習得の必要性が高まっている。
中略
内閣府が今年2月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、スマホを利用している高校生は89%に上る一方、ノートパソコンは30%、デスクトップパソコンは16%に過ぎない。2015年10月17日毎日新聞

とされています。報道の通りであるのならば、若い世代ではパソコンを使っている人達の方が少数派になってしまっているような状況が浮き彫りになっています。

という事は、パソコンについては覚えるような努力をしないといけない

■どうやってパソコンを覚えたのか

仕事でパソコンを普通に使っている世代はどうやってパソコンを覚えたのでしょうか?

パソコンという新技術を利用して生産性を上げるとの組織の意思の下、おそらく現在50代よりも上の世代の方は、パソコンを覚えるために様々な研修や教育訓練の場が提供されていたはずです。

また、20代後半から40代については、パソコンの利用率が上がってきた世代で、使っていく中で自分で覚えていった世代であると考えられます。

ある程度パソコンが普及してきた世代なので、企業でパソコンの基本的な使い方から教えていたとは考えにくいですし、逆に学校教育でもパソコンの使い方といった教育訓練は提供されていませんでした。(高校での情報教育は2003年から開始)

とはいえ、それで何とかなってきたのは、パソコンの普及期に該当しており、その普及を推進していた世代であると考えられるからです。(つまりパソコンを使えるようになりたいというニーズがあった時代なのです。)

パソコンの普及率
平成7年16.3%
平成10年32.6%
平成13年58.0%
平成16年77.5%
平成19年85.0%
『通信利用動向調査(世帯編)』総務省より筆者抜粋

このように、平成19年では85%もの普及率を達成しています。もちろん、買っただけで使わない人もいるかもしれませんが、その時代に若い世代だった人は率先してパソコンに取り組んだはずです。

このように20代後半から40代の人達は、教育訓練の谷間の世代であったにもかかわらず、パソコンを使える人が多いのは、普及していく時代の流れに乗っていたからであると考えられます。

■パソコンの操作を今後の世代が自然に覚える事はないと考えられる

と、今の若い人たちは逆にスマホは使いこなしています。普及していく時代の流れに乗ると、特別な教育訓練が施されなくとも、ある程度は自然に利用可能となると考えられます。しかし、すでに普及してしまっている技術についてはやはり教育訓練の場を設ける必要があると考えられます。

パソコンが普及していく時代の流れでは、友人とメールをしたり、HPを作ったり、インターネット上の掲示板で交流したりといった行為にある程度の必要性がありました。そのため、パソコンに親しみ、自然と習熟していったと考えられます。

一方、今の若い人たちはスマホで自分たちの必要とする事が完結していると考えられます。そのため、パソコンを利用する必然性は無いのです。

そして、必然性のないモノを決して安くはないお金を支払って購入し、利用していく中で習熟する事はあまり期待できないのです。

■スマホもこういった運命をたどる

例えば将来、スマホと異なる情報デバイスが普及していたとすると、その時代の若い人たちはスマホについてはあまりうまく扱えないはずです。そのため仕事でスマホが必要ならばやはり教育訓練を実施する必要が出てくるのです。

このように、利用する必然性のない道具について習熟していないことを嘆いていても何も始まりません。すでに普及した技術を覚えて欲しいのなら、やはり教育訓練を実施しないとならないのです。

■誰が教えるのか

さて、教育訓練をするとしても誰がその教育訓練を実施するべきでしょうか?企業で働く前に中学や高校といった教育機関で教えるべきでしょうか?

それとも、あくまで『仕事』のためのスキルだから企業が人材育成すべきでしょうか?

これについては、やはり基本的な内容は学校といった教育機関で教えるべきだと考えられます。というのは、読み書きや基本的な計算ができる人材を社会に輩出することは社会全体の生産性を高める事に役立っているように、基本的なパソコンの操作方法についても同様に学ばせることが社会全体の生産性を高めると考えられるからです。(つまり社会全体で考えた場合には、費用対効果が良い投資なのです。)

また、学校教育で教えるという事で

経済的な事情でパソコンに触れることができない→パソコンを用いる仕事に就くことができない→経済的な事情で…

といった負の連鎖を、社会として許容しないといった覚悟が必要なのです。

とはいえ、業務で必要な内容。WordやExcelの細かい操作の仕方とかについては企業が人材育成すべき領域であるように考えられます。

企業によって、どのソフトウエアを使うかどうかは分かりませんし、企業文化によっては使う機能も異なるので、学校で全部教えるのは非効率だからです。

■技術革新に期待しつつ

さて、おそらく、このまま技術革新が進んでいけば、スマホのような使用感で今のPCを用いた仕事以上の事ができるようになる日が来るとは思います。

もしくは、特定のデバイスを意識しなくても仕事ができる未来が来るかもしれません。しかし、そのような事を期待して何もしないのは、社会全体として誤りであると考えられます。

社会全体としては、パソコンが使えないといった事で機会を失う事が無いようにしつつ、個別企業では、新人さんがパソコンをある程度つかえていたという、世代は特別であり、今後はそのようなことは期待できない。

新人さんに、企業の仕事の仕方を教える研修期間には、Excelとかその他特定のソフトウエアの使い方も教えるのが当たり前であるとの認識を広げていく必要があると考えられます。

と、パソコンを自然に覚えた世代の経営マンガの中の人が記事を書いてみました、
 
時事ニュース解説
2015年10月12日

マルタイの棒ラーメンがアジア圏で大人気、美味しいですしお土産の定番ですもんね

海外へ
マルタイの棒ラーメン。九州に旅行した時などの定番のおみやげ品です。まんがで気軽に経営用語の中の人も、 球種に行った際には、マルタイの棒ラーメンや、めんべい等を買って関係者に配ったりします、。

そのようなおみやげ品の定番。マルタイの棒ラーメンですが、アジアでの販売を伸ばしているようです。

報道では

棒ラーメンで知られるマルタイ(福岡市)が海を渡り、中国や台湾、香港に活路を見いだしている。国内では即席めん市場の競争が厳しいが、日本食が人気のアジアへの輸出で売り上げを伸ばしている。2015年10月11日 朝日新聞デジタル

とされており、アジア市場での存在感を増しているようです。

■狙いと違ったけど

さて、このような景気のいい報道がなされていますが、どうやら当初の狙いは関東圏だったようです。関東圏を狙って、九州各県のご当地ラーメンの開発をしていたようですが、そのような商品の人気に火が付いたのはアジア圏だったとの事です。

棒ラーメンのカラフルなパッケージが適切に陳列された売場で販売されている。フランス系のスーパー、カルフールの店頭で社長がその光景を見て感激したと報道されています。

(余談ですが、カルフールはハイパーマーケットなる業態を開発した事でも有名です。とはいえ、フランス系のハイパーなどと略しても読者には伝わらないので、フランス系スーパーと報道される事がほとんどですが。)

■日本食人気と綺麗なパッケージ

さて、どうしてヒットに至ったかについては日本食が人気のアジアへの輸出が功を奏したとしか言及されていません。

確かに、日本食に対する好感がヒットを後押しした事は間違いないでしょう。しかし、こういった商品は単に日本食人気といったキーワードだけで売れる程甘くはないと考えられます。

逆に言うと、フランスの食品ブームやタイ食品ブームが生じた際に、「フランスのインスタント食品だから買おう」とか「タイのモノだから美味しいに決まっている」などといった風な消費行動は取らないですよね?

消費者はどんなにブームになっていても、不要な物、魅力が乏しいモノについてはワザワザお金を出したりしないのです。

その視点からは、マルタイの棒ラーメンは日本国内でもおみやげ品の定番となるほどの商品力をもっており、そもそも商品に魅力があったと考えられます。

関東進出があまり良好な結果が出ていないと報道されている通り、商品力が高いだけでうまく行くほど甘くはありませんが、元からあった高い商品力とアジア圏への高い流通力を持っている小売店とが組み合わさった結果、大きく売り上げを伸ばしているとの事です。



上のような商品ラインナップを見てみると、確かに美味しそうですし、商品力の強さも感じられますね。(こういったアマゾンとかのプログラムを使うと、商品画像を特別な許可を取らなくても紹介できるから便利です。)

時事ニュース解説
2015年10月6日

売れるものなら不満であっても売れ。ニッチなサービスを提供する不満買取センター

不満買い取り
不満買取センター。何とも奇妙な名前ですが、これは会社名です。その名の通り、一般の人の不満を買い取るといったビジネスを行っています。

と、このように書くと「不満を買い取る?どういう事」といった反応が想定されますが文字通り不満を買い取るといったビジネスが世の中にはあるのです。

ストレス発散しながら、お小遣い稼ごう!

■不満は一件5円から25円で売れます

具体的には、一般の人が不満をこの会社のサイトに投稿することによって、5円分から25円分のポイントを得ることができます。

そして、そのポイントが一定水準たまればアマゾンギフトカード等で事実上の換金ができるといった仕組みなのです。(現在は500ポイント程度で換金できるとのことです。)

そのため、日常の些細な不満をスマホや携帯でメモしておいて、あとでまとめて投稿するなどといった事をすれば、おこずかい稼ぎにはなりそうです。

■不満買取センターは不満なんか集めてどうするの?

と、上記のようなサービスなのですが、不満買取センター側は、不満など集めてどうするのでしょうか?人々のネガティブなエネルギーを集める悪の秘密結社とかなのでしょうか?(そんな子ども向けアニメとか特撮ものが放送されていますよね。)

もちろん、人々のネガティブなエネルギーを集める悪の秘密結社などではなく、不満買取センターもビジネスとしてこのような事業を営んでいるのです。(逆に、不満を集めることで、快適な世の中の構築に貢献するビジネスモデルとなっています。)

■商売に大切な『ふとり』

商売は『ふとり』 が大切であると言ったお話を聴いたことがある人もいると思います。

つまり『不』満、『不』足、『不』確実、『不』便などの『不』という文字を取るような製品やサービスを提供すると儲かるという経験則です。(『不』便を解決するような視点から宅配型クリーニングサービスなども生まれています。)

そして、この不満買取センターは『不』満を買い取るというビジネスを行っています。

ここで、中にはピンと来られた方もいるかもしれませんが、不満買取センターは、買い取った不満を、商売の材料を探している企業に転売するといった事業を行っております。

つまり、企業側は、消費者が感じている不満を解決できるような製品やサービスを提供できれば、商売になるので、不満はお金を払ってでも集めてきたいのです。

但し、そんな事を言っても、一般の企業が不満を集めるのは難しいので(一件20円で不満を買い取るとしても、そのサービスの周知にもお金がかかりますし、仕組みの運用も大変そうです)、このような不満買取センターの提供しているサービスを利用する方が合理的であると判断されるのです。

■このサービスに登録すれば不満は沢山でてきます

さて、不満を販売する一般の人の側に立つと、「そんなに不満なんかないけどなぁ」と感じる人も多いハズです。ただ、このように感じる人であっても、不満が販売できるこのようなサービスに登録すると日常の不満は次から次へと出てくるので、投稿するネタには困らないと考えられます。

これは、カラーバス効果といった人間の心理によるもので、注意を向けている物事は目に入りやすくなるといったモノです。

この事を不満に当てはめると、販売するための不満の種を探しているわけですから、当然、日常の不満が目につくようになるわけです。

そのため、不満買取センターのサービスに登録して不満を買い取ってもらう場合、買い取ってもらう不満の種には事欠かなくなるかもしれませんが、決して「不満を投稿してストレス解消しながらおこずかいゲット」とはいかないと思われます。

確かに投稿すればストレスの発散はできるかもしれませんが、従来よりも些細な不満が目につくようになりますのでストレス源は増加すると考えられるからです。

(ストレス源が増えても、発散できるので、おこずかいがもらえる分だけお得と考えることもできますが…)

ストレス発散しながら、お小遣い稼ごう!

いずれにしても、世の中には面白いビジネスが多いというお話です。興味を持たれた方は、試してみても面白いかもしれませんよ。

時事ニュース解説
2015年10月3日

高齢者見守りサービスと郵便局の組み合わせから考える、あえて田舎でサービスを提供する事業

001見守り
高齢者見守りサービス。こういった安心感を提供できるようなサービスは、時代を反映したサービスであると感じます。

報道では
日本郵政は25日、1人暮らしの高齢者などの生活を支援する「郵便局の見守りサービス」について、内容やエリアを10月から拡充すると発表した。2015年9月29日 ケアマネタイムス
とされているように、日本郵政(つまり郵便局)が『高齢者見守りサービス』を提供しているとされています。

■郵便局は全国各地にあります

全国津々浦々に郵便局は存在しています。郵便サービスを運営するための経営資源として、必要不可欠だからです。

国が運営していたといった関係もあり、あくまで目的は、最適な収益を上げることではなく、全国に郵便サービスを提供する事でした。

そのため、稼働率を考慮すると、配置することが難しいような地域(いわゆる過疎地域等ですね)にも郵便局を設置しているのです。

しかし、このような過剰な経営資源は、収益の最大化を使命とするような場合にはあまり歓迎されません。

競争地位別戦略といった考え方があるのですが、このような考え方では最大手の企業は市場シェアの最大化のみを追いかけないとされています。

つまり、市場シェアの最大化を目指す場合、非効率となるとわかっていてもあえて出店をしなければならなくなるようなケースがあるためです。(郵便局は市場シェアの最大化、つまり全国民にサービスを提供するという使命があったため、採算度外視で郵便局を設置しなければならないケースも存在していると考えられます。)

但し、このような事情を元に考えると、高齢者見守りサービスは非常に相性の良い新規事業であると考えれます。(こういった相性の良い事業を組み合わせることにより相乗効果を発揮するようなケースをシナジーと呼びます。)

■高齢者見守りサービスは人口の少ない地域で実施される

さて、上のような仮説を立てて日本郵政のプレスリリースを確認したのですが、どうやら人口が少ない地域を中心に設置されるようです。

例えば東京都では、23区内や三鷹市や武蔵野市といった人口の多い地域ではなく、あきる野市や大島や新島などで実施されています。

このように、人口が少ない地域、つまり郵便需要がそれ程多くなく、郵便局という経営資源の稼働率がそれほど上がらないような土地で高齢者見守りサービスを展開していくといった形になるのです。

もちろん、こういった地域が高齢化が進んでる地域であるとも考えられますが、高齢者の絶対数で言えば都市部の方が多いので、やはり都市部以外の郵便局の稼働率向上が目的出ると考えることができます。

また、こういった人口が少ない地域からは、若い世代が親を残して都会で働いているケースが多くあることが想定できます。

すると、見守りサービスの受け手は、人口が少ない地域の高齢者と人口が多い地域の若い世代であると考えることができます。

そして、お金を出すのは若い世代の方になると考えられるので(親の見守りをお願いするようなケースですね)、都会の物価でサービスを販売し、人口の少ない地域の物価で労働力を購入してサービスを提供するといった構造にもなります。

■お金を出す人とサービスを受ける人

と、このようなあえて、人口の少ない地域でサービスを提供するといった選択肢はこれからの事業としては面白いかもしれません。

ニーズは確実にあるので、後はどのように提供するか、どのように事業として成り立つようにお金を回収するか。その辺を考えて事業を作ることができれば大きなビジネスチャンスがあるかもしれません。

在宅医療サポート協会 あんしんセンター高松

上のように、あえて高松(香川県)で見守りサービスを運営するといった会社もあります。さらに、高齢者を見守るので、地元のお国ことばでサービスを提供するという、ニッチなニーズにしっかりと答えている制度設計になっています。

また、こういったサービスを香川県内だけでなく、全国の地元に両親を残して頑張っている香川出身者に対して訴求するといった売り方をしているのです。
時事ニュース解説
2015年9月29日

めんどくさい作業を委託することでトータルコストを削減。宅配型クリーニングもそんな発想です。

外注生活
いきなり質問ですが、個人にとって一番貴重な資源とはなんでしょうか?最終的には価値観の問題となりますが、やはり『時間』が該当すると感じています。

一般的には、自分でできることを人にお願いするといった事は無駄遣いと捉えられていますが、自分よりもうまくできる人が、自分でやるよりも安くやってくれるのならば、サービスのみを購入するのではなく、時間についても購入していると考えられないでしょうか?

例えば、自分でも洗濯をしてアイロンをかけることはできなくはないですよね?でも、プロにお願いするとその時間が節約でき、かつ、仕上がりも良いといった判断から、Yシャツなどをクリーニング屋さんに出したりするわけです。

ただし、このクリーニング屋さんに洗濯物を出しに行くといった行為自体もちょっと時間がかかってしまうので、取りに来てくれると便利だなとも思うわけです。

■宅配型クリーニングがある

さて、そんなこんなで探していたら、ネット宅配型クリーニングといったサービスが世の中にあるようです。「これは良い」と思ったのですが、同時に気になるニュースもありました。少し古い報道ですが

インターネットで申し込み、宅配業者を利用して、衣類の受け渡しを行う「ネット宅配型クリーニング」の相談が急増している。クリーニング店の店舗数は減少傾向で、国民生活センターなどに寄せられるクリーニングに関する相談も年々減ってきている中、ネット宅配型の相談件数は、平成21年度は17件だったのに対し、26年度は1月31日時点で156件と9倍超に増加している。国民生活センターは、「店舗型との違いに留意し、事前に契約内容をよく確認してほしい」と注意を呼びかけている。2015年5月10日産経新聞

といった風に、ネット宅配型のクリーニングでは相談が従来のクリーニングサービスと比較して多いとされています。

これに関しては、「店舗型と宅配型の違いについて留意してほしい」と国民生活センターが指摘している通り、別のサービスであると認識したうえで利用する事で自衛していく必要があると考えられます。

■情報の非対称性が生じる

なんだか難しげな小見出しを付けましたが、情報の非対称性とは簡単に言うと、直接会わないわけなので取引の当事者同士が持っている情報量に差が生じるといった事です。

つまり、クリーニングを出す人にとっては状態等をしっかりと把握できているのですが、クリーニング業者側にとっては、受注して、モノが届いてからでないと正確な把握ができないといった点です。

通常は、事業者側が持っている情報量の方が多くなるのですが、宅配クリーニングといった業態では、直接相対で、クリーニングの対象物を確認できないといった弱点があるため、顧客側の方が情報を多く持つのです。

この辺は、実績がある、経験が豊富なクリーニング業者とお付き合いすることで埋めていくしかなさそうです。

■とはいえ便利です

クリーニングというものは、季節の変わり目に多量に発生するといった特徴があります。季節の変わり目は衣替えの時期なので、洋服や厚手のコートなども収納の対象となります。というのは、冬用のコートは夏には使わないものですからね。

そして収納する前には、やっぱりクリーニングに出してから、しまうようにする方も多いと思われます。

このような場合に、近所ににクリーニング屋があれば良いのですが、そうでなければわざわざ持ち込む手間が発生してしまいます。時間だけでなく、多量の衣類を抱えてクリーニング屋さんに持ち込むのは結構なストレスになるはずです。

また、時間を取れればいいのですが、仕事や家事・育児に忙しい人も多いため、いくら近くにクリーニング屋があっても中々持ち込むことができないといった悩みもあると思います。

その様な時に活用したいのが、宅配クリーニングサービスになると思います。何といっても、家から一歩も出ずにクリーニングに出す事ができる訳ですから、日々の生活にかかる見えないコストを大幅に引き下げることができます。

(クリーニングを出すために、2時間余計に掛けるのなら、その2時間でできた事をあきらめたというコストが発生しています。こういう考え方を機会原価と言います。)

■従来のサービスでは

従来のクリーニングサービスは、(店舗型クリーニングは)、クリーニングをしたい衣類の持ち込みが基本となります。そのため、クリーニング店毎に決まっている営業時間内に持ち込まなければならないといった制限が発生します。

どうしても、自分の都合だけでは動けないのですね。そして、自分の都合で動けないため、クリーニングの為に時間を割く事は難しくなってしまいます。(コンビニのように24時間営業していれば、都合を気にせず対応できるのですがそういったクリーニング屋さんはほぼありません。)

通常は18時か19時くらいにはお店が閉まってしまうようなケースが多いと思います。という事は、平日にお仕事をしているような人は、結局のところ休みの日に行くしかなくなってしまうといった現実があります。

さらに、クリーニングに出す場合、やっぱりある程度まとめて出すと思います。ワザワザ休みの日にクリーニング屋さんに行くわけですから一気に対応したいと考えるのは自然なことだと思います。

しかし重い衣類を運ぶのは案外大変です。(Yシャツでも枚数が増えるとかなりの重さになりますし、かさばります。)また、特に衣替えのシーズンなどは、重さやかさ張るコートなどを沢山出すケースもあるので、非常に苦労することととなります。

さらに、その苦労をもう一度、クリーニングが完了した時にも、しないといけないという問題があります。つまり、持ち帰るために再度お店まで行く必要があるのですね。(近所にクリーニング店がない方は、わざわざ時間をつくって持っていき、再び取りに行くので非常に大変です。)

■宅配サービスで機会原価を削減

このような煩わしさから逃れられるサービスとして、宅配クリーニングといった選択肢もありだと思います。

このような宅配クリーニングの良さといえば、自宅で渡しから受け取りができるという事です。家事や育児、仕事などで忙しく店頭に行く時間がない方や近所にクリーニング店がない、そんな方にとっては、上記の問題点を解消したとても便利なサービスであるという事ができます。

また、お店自体の営業時間を気にする必要がないというのも大きな利点です。申し込みはインターネットから出来ますので、時間の空いた時に利用できます。後は宅配会社の引き取りと受け取り時間を決めればクリーニングサービスを利用することができるので、従来の店舗型クリーニングに比べて時間を有効に使う事ができます。

さらに、クリーニングに出す衣類がたくさんあっても、自宅に集荷しに来て頂けますので持ち運ぶ必要がありません。何より、クリーニング店の営業時間とあわなくても、遠方でクリーニング店に行くのが大変という人でも、簡単に利用できるのが最大のメリットとなります。

このような利点から、機会原価を大幅に削減できる良いサービスであるという事ができます。(逆に言うと、従来の店舗型クリーニングサービス業を営んでいる人にとっては、『集荷』といった切り口が競合他社との差別化要因となるともいえます。)

■具体的な利用方法

まずはインターネットで気にいったクリーニング店を選びます。例えば、【ネクシー】宅配クリーニング といったイメージです。そのうえで、都合の良い日を集荷日と届け日として申し込みます。

指定した日に集荷が来ますので、それまでに梱包したうえで準備をしておけば、余計な時間や手間を避けることができます。もちろん、集荷を依頼していますので、出荷を行う宅配便の業者が自宅まで集荷に来てくれます。

また、2回目以降の利用については、送付キットが手元に届くので、ネットで注文後にすぐに発送する事ができるので便利です。

気になる、納期に関しては、クリーニングを注文して集荷に出してから大体5日から一週間程度で仕上がってくる感じです。納期のイメージとしては、従来の店舗型に比べてそこまで変わらない感じとなります。また、価格は最安のクリーニング屋さんとはいえないものの、それなりに安い金額で対応してくれるようで(会員登録すれば割と安くなります)、送料も地域によって3,000円以上や4,000円以上の注文で送料が無料となります。

コートなどはメンバー価格で1,350円なのですが、まあ、相場通りかなといったイメージです。まとめてお願いすると、自分でお店に持ち込んでも同じくらい取られるので、手間が関わらなくそのための時間をワザワザ作らなくても済むといった効果があるので、結果としてお得となるようなイメージです。

■従来の店舗型の方が強い点

とはいえ、宅配型クリーニングの場合、配送する時間がどうしてもかかってしまいます。そのため、礼服など急に必要となるといった場合には店舗型クリーニングサービスの方が小回りが利きます。また、Yシャツなどをこまめに出すような場合も、店舗型クリーニングの方が(沢山まとめなくて良い分)便利となります。

また、「とにかく安い方が正義。安ければ安いほどよい」といった人にとっては、街で最安のクリーニング屋さんを探した方が安くなりますし、チラシなどが入っている時に、特売価格のモノを狙ってクリーニングに出せば表面上のコストは抑えられます。(こういった消費者行動をチェリーピッカーと呼びます。お店側はこの手のお客さんばかりを集めるようだと、経営に良くない影響が与えられますので注意が必要です。)

サービスについても、対人接客が受けられた方が、クリーニングなどについての相談をその場でできるために手厚いと考えられます。また、クリーニング店の人と人間関係が出来上がっているのなら、それを大切にした方が良い場合もあります。

(従来の店舗型クリーニングサービスが宅配クリーニングと差別化するためには、上記のような自分たちの強みをどのように生かすかを考える必要があります。)

■まとめ

と、双方のメリットデメリットを考えてきましたが、宅配クリーニングの一番のメリットは、やはりクリーニング店に行かなくても良いという事につきます。

家事や育児、仕事の都合でクリーニング店の営業時間と合わない人でも、気軽に利用できる。また、遠方でクリーニング店に行くのが大変であってもクリーニング屋さんに行かなくても良い。重たい物を運ぶ手間がかからない(Yシャツでも枚数が増えるとかなり重いですからね)など、時間以外のメリットも充分にあります。さらに、コンビニを利用して依頼できるといったサービスも存在します。

気になる料金についても、宅配型は宅配・集荷といった手間がかかるにしても、そこまで割増にはなりません。(一定以上の注文なら送料無料になります。おそらく全国からクリーニング需要を集めるため規模の経済が強く働くのだと思います。)また、全国対応してくれるお店も多いので、クリーニング単価が高い衣料などを中心に上手く活用する事でトータルコストを削減できると考えられます。

いずれにしても、忙しい日常の中で、こういったサービスを利用することでトータルコストを削減するといった発想はとても大切になります。時給1,000円の人が2時間何かで動き回ると2,000円、2,000円の人が2時間だと4,000円といった事も視野に入れながら、お得な生活を送っていくとよいと思います。(この辺のコスト意識は経営用語的にも大切だと思います。)




時事ニュース解説
2015年9月24日

5日以上に支給という骨抜き要件があるがゆえに、父親の育児休暇への助成金は効果が高いかもしれない

育児

育児休業。子育てにしっかりと参加したいと願っている父親は多いと思いますが、制度はあれどなかなか活用できない仕組ではないでしょうか?『取得率は2.3%である。』と言われている状況では、育児休暇の取得といった選択肢自体が当初から除外されているようにも感じられます。

そのような状況を打開しようと、。厚生労働省が支援制度の拡充に乗り出すとの事です。報道では
厚生労働省は育児のため、いったん仕事を離れる人々の支援制度を大幅に拡充する。

中略

育児休業の制度を使う男性は少なく、配偶者が出産した男性全体の2.3%にとどまる。そこで新制度では助成金で企業の背中を押す。1人目の従業員が育休をとれば30万円、2~5人目は15万円を企業に支払う。6人目以降は助成しない。2015年9月23日 日経新聞
とされており、助成金という金銭的なインセンティブを支給することで育児休暇取得率を向上させていこうと考えているようです。
  • 問題は金銭面か
さて、このような取り組みに水を差すようで非常に心苦しいのですが、金銭的なインセンティブが与えられたからと言っても、この状況は改善しないと考えられます。

というのは、少し古いデータですが、厚生労働省が次のような調査をまとめています。
男性の育児休業取得率は、低調に推移しており目立った増加は見られない。

中略

男性が育児休業を取得できた理由で最も多いのは、「日頃から休暇を取得しやすい職場だっ
たから(22.0%)」。次いで、「職場が育児休業制度を取得しやすい雰囲気だったから(17.6%)」
となっている
「平成25年の育児休業制度等に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(厚生労働省)より筆者抜粋
この事は職業人としての実感に近いのではないでしょうか?言い換えれば「育児休業を取りやすそうな雰囲気があれば、育児休業取得も考えられるけれども…」といった『空気』が育児休業取得を左右しているのではという事です。

空気が変わらず、いつまでも育児休業を取っている男性が例外扱いされていると、なかなか育児休業取得に踏み切れないと考えられます。

こういうのを『場の理論』と言います。組織人は組織文化に非常に大きな影響を受けるのです。
  • 空気を変える支援を
同調圧力という言葉をご存知でしょうか?その組織の支配的な『空気』に同調することを明示的、非明示的問わずに求められるといった事です。

そして、職場の空気が「男性が育児休暇を取るって!?」的な反応が予想されるような職場では、いくら制度を整備し、また、「育児休暇は性別に関係なく取得してくださいね」などと言っても、実際に育児休暇の取得率が向上するとは思えません。

(ご自身に当てはめてみてください。育児休暇を取得する事に対して、直接言われないにしても、好奇の目で見られたり、ネガティブな反応がありそうだと予測できる状況で育児休暇の取得に踏み切れるでしょうか?)

そのため、こういった組織文化を持っている組織に対しては、そもそも育児休暇を取得することが正当な権利であり、育児休暇を組織として取得できるような体制作りを行う事が、結果として業績向上へつながるとの認識を持ってもらう事の方が近道かもしれません。

育児休暇を気兼ねなくとれるような組織であれば、従業員の定着率の向上も図れますし、誰かが休暇を取っても、バックアップできるような体制を構築できれば組織全体のパフォーマンスも向上します。
  • 5日以上という絶妙なライン
さて、ここで助成金の支給要件ですが面白い事が言われています。報道では、
対象は過去3年間に男性の育休取得者がいない企業。男性従業員が配偶者の出産から8週間以内に5日以上の育休をとれば助成金を出す。2015年9月23日日経新聞
とされているので、5日以上で助成金が支給されるのです。

正直なところ、子育ての経験上5日の休業で何ができるのかと問われると、「何もできない」といったのが答えですが、(意地悪な見方では、育児休業を取得したといった名目を作りたいがための制度であるようにも感じられます。)気軽に取得できるといった意味ではいいのかもしれません。

労働者の権利だとかを声高に叫んでも、実は組織内でけん制しあい、同調圧力をお互いに掛け合っているような現状では、正論が組織の文化を変えることは難しいと考えられます。

しかし、5日間だけにしても育児休業を取得することが組織にとって有利であるとの認識が広がっていけば、組織文化が変わる可能性もあるのです。
時事ニュース解説
2015年9月18日

トヨタの空飛ぶ車はイノベーションのジレンマに陥らないための未来の技術なのか

空飛ぶ車
空飛ぶ車。未来がやってきたようでワクワクしますよね。報道ではトヨタが
 トヨタ自動車の米子会社が「空飛ぶ自動車」のための特許を出願したことがわかり、現地のメディアなどで話題になっている。「未来のモビリティ(移動)社会をリードする」ことを企業ビジョンに掲げるトヨタだけに、実用化するのかどうか注目が集まっている。2015年9月16日 産経新聞
といった風に、「空飛ぶ自動車」のための特許を出願したとされています。車が空を飛ぶと確かにワクワクしますが、ちょっとした事故が大変な大惨事を招いたりしそうなので、少なくても自宅の前では飛んでほしくないと思います。

さて、今回は技術革新が非連続的であるといった事をこのニュースを題材に見ていきたいと思います。
  • 車のご先祖様
さて、車の進化形について考える前に車のご先祖様についてちょっと考えてみたいと思います。例えば、車のご先祖様が馬車や大八車(人間が曳く車の事です)だったとします。(正確なお話ではなくあくまでイメージとして書いています。)

これらの乗り物をひたすら改良していけば車にたどり着くでしょうかといった事を今回は考えたいのです。
  • 技術開発は淡々とは進まない
例えば、大八車が発明されたばかりの事を考えてみます。大八車が発明されたばかりの段階で、色んな人が改良をしようします。しかし、新しい技術に対する技術開発は、最初のうちは投入する資源の量の割には成果が少ないと言われています。

但し、この技術開発はある程度進んでくると、一気に性能の伸びが加速してきます。そして、技術が成熟してくると、性能の伸びは再び緩やかになります。

この事を図にすると、ちょうど下のようにS字を描くことからS字カーブなどと呼ばれています。そのままですね。(まあ、言うほどS字じゃない気がしますが…)
S字カーブ
  • 本題
さて、話が変わりますが、大八車をひたすら改良して言ったら馬車になり、その後自動車になるでしょうか?

経営学的にはそのようには考えません。例えば、大八車は人間が曳く車なので動力を人間以外のモノにするといった革新が必要となります。

この革新は大八車をどれだけ改良しても生まれてはこないと位置づけるのです。

但し、人が曳くために洗練されていた大八車に比較して、馬が曳く馬車はそれほど洗練されていません。そのため、当初の性能は往々にして革新的製品の方が低かったりします。

この事を表すのが下の図です。
複数S字カーブ
革新的な新技術は往々にして、洗練された旧技術よりも性能が低かったりします。しかし、革新的な新技術ですから改良を重ねて行けば旧技術の性能を追い越す日が来ます。

人間はやはり馬のような力や持久力を持って車を曳くことはできません。そのため、十分に改良された馬車は大八車よりも性能が良くなるのです。

これと同様に、馬車よりも内燃機関を備えた自動車の方が性能が良いのは言うまでもありません。

しかし最初の自動車は蒸気自動車といって動力を得るために巨大なボイラーなどを備えていました。蒸気が発生するまで動き出しませんし、馬車のように小回りも効きませんでした。

このように、技術革新は連続的ではなく非連続に起こるというのが技術革新の非連続性という考え方です。
  • 空飛ぶ自動車は技術革新なのか
さて、このことから空飛ぶ自動車が生まれる可能性について考えてみます。

基本的には、自動車技術をひたすら改良しても、空飛ぶ自動車にはつながらないとは考えられます。おそらく、何らかの技術革新が必要なのでしょう。

このことは「トヨタは空飛ぶ自動車を作らない」といった事を意味しているわけではありません。本当に空飛ぶ自動車が作られる日が来るかもしれないのです。

但し、現在の消費者が空飛ぶ車を求めていないとなると話は別です。

上で見てきたとおり、次世代の技術革新であっても、当初は有効性が低いものとなりがちです。また、既存の顧客もそのような有効性の低いモノをあまり欲しがりません。

そのため、そういった新技術を用いた製品をコストをかけて開発しても回収できないと判断されがちなのです。端的に言うと、作っても売れないのでは?といった風に考えられるのです。(売れる売れないを事前に判断するために市場調査をしているわけですから。)

そのため、この空飛ぶ車が次世代の技術革新であったとしても、参入が遅れてしまい、次世代の大企業に取って代わられる可能性があるのです。

こういった現象をイノベーションのジレンマと言います。

但し、どのような技術が、このような世の中を変えてしまうような革新的技術であるかは誰にもわかりません。そのため、いっけんするとばかばかしい技術に投資するのも、超長期的にみると合理的であったと(後付けで)判断することができるのです。

 
時事ニュース解説
2015年9月16日

ドコモの割安プラン導入から考える、最大手企業の経営戦略

携帯
NTTドコモが通話定額プランの割安版の導入を検討しているとの報道がありました。報道では
 NTTドコモが、通話定額プラン「カケホーダイ」の割安版を近く導入する検討に着手したことが14日、分かった。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)6s」と「6sプラス」の発売を控え、すでにKDDIとソフトバンクは月額1000円安い新プランを開始すると発表している。新機種商戦が料金引き下げの呼び水となった形だ。2015年9月15日SankeiBiz
とされており、料金引き下げについて検討されているようです。

今回は、業界のリーダーであるNTTドコモが実施する価格引き下げを題材に業界リーダーが採るべき戦略の定石について考えてみたいと思います。
  • リーダーのみが採れる戦略がある
さて、市場のリーダー的企業といったモノがあります。基本的には市場シェアの最も高い企業がそのリーダーに該当するのですが、携帯電話業界ではNTTドコモが該当します。

そして、このリーダー的企業はいわゆる横綱相撲と言った、競合他社とは一線を画した戦略を採用することができますし、また、そうすべきであると言われています。

ビジネスの常識からするとちょっと意外に思われるかもしれませんが、これらの戦略はいわゆるセオリーなのです。
  • 差別化?むしろ逆です
さて、経営学をかじった人は「差別化差別化」と呪文のように言われる事を耳にしたことがあると思います。これは一般的には正しい戦略で、「大手企業と同じものを売っていたら勝負にならない」といった事実から生み出された戦略なのです。

しかし、逆に言うと、リーダー的企業にとっては差別化ではなく『同質化』するのが最適解となります。

例えば、食パン業界で考えてみます。競合がユニークなパンを発売して市場シェアを奪いに来た場合、最大手の企業はどのような対応をすべきでしょうか?答えは、似たような製品を市場に投入するといった事になります。

意外ですよね?でも、最大手の企業にとっては極めて合理的な戦略なのです。というのは、最大手企業は競合と比較して、販路であったり、製造ノウハウであったり、資金力であったりといった、経営資源に優位性を持っています。

そのため、同じモノを作るのならば、より低コストで、より広い範囲に届けることができるのです。このため、最大手の企業はあえて危ない橋を渡らない。保守的な戦略を採ることが多いのです。
  • 市場シェア?100%は目指しませんよ
また、市場シェアの拡大が非常に有効な方策であるように語られる事が多いのですが、最大手企業にとっては市場シェアの最大化は志向しません。

というのは、市場シェアと一言で言っても、『美味しくない』お客様も混ざった概念です。例えば、市場シェアを最大化しようとして、販路網を構築する場合であっても、ある程度以上の市場シェアを求める場合には、人口が少なくてあまり採算が良くないような場所にまで出店していく必要が出てきます。

また、良く知られたパレートの法則のように、利益の8割は上位2割の顧客によってもたらされるといった経験則があります。そのため、市場シェアを必要以上に拡大させようとすると、努力の割に成果が少なくなってしまうといった結果をもたらしがちです。こういった事には、収穫逓減の法則が働くのですね。
  • 携帯電話利用者が増えれば自社の利益です
さて、最大シェアを持っている最大手企業は最大の経営資源を持っています。そのため、通常では、市場自体の拡大は最大手企業の量的拡大を意味します。(例えば市場規模が100億円で市場シェア5割を握っている企業があったとき、市場規模が200億となっても、基本的には市場シェア5割を握っている企業の市場シェアはそのままです。そのため、単純に売上高が増大します。)

そのため、携帯電話市場の拡大はそのまま自社の利益となります。だから、競合他社も、市場拡大を図るための同士であると捉えることができるのです。
  • 価格競争はダメ、絶対。
と、ここまで直観とは異なる『市場リーダーの戦略』を見てきましたが、価格競争は決してリーダーから仕掛けてはならないといったセオリーもあります。

最大手企業が価格競争に打って出ると、その市場自体が価格競争の激しい市場となってしまう為、誰も適正な利潤を得ることができなくなってしまいます。(だから、かつてマクドナルド社が100円を切るようなハンバーガーを販売したのは悪手であると言われているのです。)

そのため、基本的にはNTTドコモから価格競争はしないと考えられます。(それがセオリーですからね。)

報道では
KDDIとソフトバンクは、新プランをアイフォーン新機種の予約開始直前の11日に発表した。いずれも無料通話時間は1回につき5分間まで(5分以降は30秒20円)だが、毎月の料金を1700円に抑えた。かねて割高感が指摘される定額プランの選択肢を広げることで、既存加入者の囲い込みを図る。危機感を抱いたドコモは、同様のプラン導入を検討。2015年9月15日SankeiBiz
とあるように、競争相手が価格競争を仕掛けてきたため、それに対する対抗策を採ったという風に言われています。

携帯電話業界は既存顧客の囲い込みという鉄則を軽視しているようですが、それ以外はセオリー通りで動いているのですね。参考:ドコモのMNPの割引き上限回数設定から考える、既存顧客を大切にするという商売のセオリー

と、競争地位による経営戦略のセオリーを取り上げました。上で解説したのはリーダーの戦略定石です。しかし、リーダー以外には、徹底した価格競争を仕掛けるといった戦略が有効に機能します。

我々消費者としては、最大手企業の戦略に付き合う筋合いはありませんので、下のような低価格の通信事業者の活用も視野に入れて良いと思います。

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時事ニュース解説
2015年9月16日

伊藤ハムと「ごてあらぽー」の米久が経営統合して美味しいハム・ソーセージを作るそうです

経営統合
ハムとかソーセージといった加工肉、美味しいですよね。、日持ちもするので冷蔵庫に常備しておけますし、普通のお肉とは違った魅力がある食材です。

そのハムとかソーセージを作っている大手企業、伊藤ハムと米久が経営統合をするといった発表がありました。報道では
食肉加工2位の伊藤ハム(兵庫県西宮市)と同7位の米久よねきゅう(静岡県沼津市)が、2016年4月をめどに経営統合する方針を固めたことがわかった。

 両社を傘下に置く持ち株会社を設立する。14年度の両社の連結売上高の合計は6361億円で、首位の日本ハム(1兆2128億円)を追う。統合による事業規模の拡大で、食肉の調達力の強化を図る狙いがある。2015年9月15日YOMIURI ONLINE
とされています。伊藤ハムは社名だけで、分かって頂けると思いますが、米久も、最近CMでよく流れている「御殿場高原あらびきポーク」といったブランドを持っている企業です。
  • 経営統合とは
この2社が経営統合をするとの事ですが、持株会社を設立して経営統合を行うとの事です。もともと、包括業務提携をしていたとの経緯があるので、経営統合に向けて関係性は構築されていたのでしょう。

さて、ここで素朴に「どうしてワザワザ経営統合を図るの?」といった疑問が生じては来ないでしょうか?どちらの企業も大きな企業ですし、包括業務提携のままではだめだったのでしょうか?

また、経営統合すると一口で言っても、持株会社方式以外にも、合併したり、親子会社の関係にしたりといった他の方法もあります。どうして持株会社方式を選択したのでしょうか?

本記事では経営統合をどうして行いたいと考えるのか、また持株会社方式を選んだ理由について考えていきたいと思います。
  • 市場シェアの拡大
さて、まず大きなメリットとして挙げられる事は市場シェアの拡大が図れるという事です。いわゆる市場占有率が上がれば、規模の経済が効いてきて、より低コストで製品の製造が可能となります。(製品価格を安くするかどうかは別の話ですが)

また、コスト面では経験曲線効果と言って累計生産量が増えると、総コストが下がるという経験則があり、市場シェアが拡大すれば、累計生産量の増大にも寄与します。

また、別々の会社が一緒になるわけですから、相乗効果(シナジー)燃えることができると考えられます。

これらの効果によって業界1位の日本ハムを追撃したいと考えているのでしょう。
  • 持株会社方式
さて、持株会社方式を選択するとの事ですが、この方式では経営統合と言いつつも、現行の会社自体はそのまま残ります。そのため、統合に伴う様々な混乱を比較的軽くすることができます。

経営統合というと合併といった風に現行の企業が一緒になるようなイメージが強いと思いますが、このような方法を採用するとかなり大変になります。

というのは、合併するのですから、消滅する側の企業の抵抗が大きくなりますし、人事の仕組みやその他さまざまな企業内の仕組みも、新たに構築するか、どちらかの企業に合わせる必要が出てきます。

もちろん、合併がうまくいけば協力に統合できるので、強力なシナジー効果を得ることができるのですが、上記のようなデメリットも見逃せないのです。

その点、持ち株会社方式では、現行の企業自体は存続し続けますので一体になる事に対しての、苦しみは比較的軽く済みます。

しかし、現行の企業はそのまま残りますので、合併と比較すると統一感に欠け、得られるシナジーも比較的少なくなりがちです。これは、一応別会社なので徹底的な合理化はできない(例えば、両方の企業に経理部も総務部もおく必要があるでしょう)ためです。

(もちろんシェアードサービスといったふうに、グループ内の間接業務を一手に引き受ける会社を作るという発想もあり得ますが。)
  • まとめ
経営統合を目指す場合、一般的には、売上や市場シェアの拡大、合併による合理化(重複している経営資源を合理化する)といった効果を狙います。

また、経営統合と一口で言っても、企業同士が完全に一緒になる『合併』や今回のような『持株会社方式』、本記事ではふれませんでしたが『子会社化』といった方式があります。

いずれにしても、高品質で美味しいハムやソーセージを低コストで作ってくれるような会社になってくれると良いですね。

時事ニュース解説
2015年9月12日

首相の指示で本当に携帯料金は下がる可能性はちょっと低いと考えられます


首相が、我が国の携帯電話の料金体系系が高すぎると懸念を表明したとの事です。

報道では
安倍晋三首相は11日開かれた経済財政諮問会議で、携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題だとして、高市早苗総務相に対して料金引き下げの検討を指示した。甘利明経済再生相が、会議終了後の会見で明らかにした。2015年9月11日 ロイター
とされています。

ただ、首相が言ったら携帯料金は引き下がるのでしょうか?その辺を見てみたいと思います。
  • 価格は許認可ではない
電気料金は、供給側がほぼ独占されていますので許認可制といった形を取っています。そのため、値上げが図られる度に、国が判断する必要が出てきて、ニュースになるのです。

つまり、電気料金については国の意向で電力会社に対して影響力を行使することができるのです。(もちろん相手は株式会社なので、そのままとはいきませんが)

しかし、携帯料金は電気料金のような許認可制ではありません。そのため、国としてできる事と言えば、強制力のない行政指導を実施することくらいになってしまうのです。
  • 行政指導に強制力はない
さて、行政指導に強制力はありません。あくまで、「国からのお願い」をして、携帯電話各社が『自主的に』現況を是正する事を期待するしかないのです。

しかし、携帯電話各社には国や利用者といった利害関係者以外にも株主や金融機関といった大きな利害関係者がいます。(こういった利害関係者をステークホルダーと呼びます。)

そのため、国がそういったからと言って「はいそうですか」といった風に携帯代金を引き下げることはできません。(株主はその収益性を見込んで投資しているのですから、いくら国が言ったとしても、強制力の無い要請に単純に従うのは背任行為になる可能性すらあります。)
  • やはり市場原理で
そのため、携帯料金を引き下げる必要性が本当になるのならば、実質3社の寡占体制を何とかして打破し、シビアな競争にさらされるようにする方が望ましいと考えられます。

そうすれば、競争を打ち勝ち適正な利潤を得るためにはコストをギリギリまで削減し、携帯料金も引き下げる必要が出てきますから。

とはいえ、個々人が外部環境が変わるまで我慢して待ち続けるというのも理不尽な話です。最近では寡占体制を打ち崩すほどではないにしても、安めの通信会社も参入してきていますので検討に値するかと思います。

▼詳細は以下の通り
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時事ニュース解説
2015年9月12日

痴漢冤罪保険が売り出されるみたいですが、根本はそこじゃないですよね

保険
痴漢冤罪保険といった保険がジャパン少額短期保険社より売り出されるそうです。その名もキャッチーな「痴漢冤罪ヘルプコール」。報道では、次のように弁護士にすぐに助けを求められる保険であるされています。
 ジャパン少額短期保険(東京都千代田区、杉本尚士社長、03・3516・8550)は9日、電車などで痴漢に間違われた時に弁護士にすぐに助けを求めることができる弁護士保険を10日に発売すると発表した。事前に携帯電話やスマートフォンに利用画面を登録しておくと、緊急時にボタンを押すだけで対応可能な弁護士と連絡がとれる。2015年9月10日 日刊工業新聞
実際に冤罪がどの程度発生しているかは定かではないですが、何かあっても、弁護士さんにつながるという心強さはあると思います。
  • 弁護士に相談するというハードルを下げる事に価値があるのかもしれません
とはいえ、この保険のキモはイザとなったら弁護士さんに相談できるといった所であると考えられます。弁護士費用の保証は、この保険としてそこまで大きな魅力の源泉ではないと思われます。

とすると、保険機能を切り離して、イザとなったら弁護士さんに相談できる会員制のサービスとか、アプリといったサービスも考えうるかもしれません。

もちろんスポット対応なので、弁護士費用は割高になるかもしれませんが、保険機能を抜いて同様のサービスを提供したら流行ると思いますよ。あとは、どこかのクレジットカード会社が付帯サービスで提供すると良いかもしれませんね。(JCBとかアメックス、ダイナースのプロパ―カードあたりなら持っている人の属性的にもウケると思います。)
  • 怖いのは機会費用
と、どうして費用をかけてでもこのようなサービスが受け入れられる素地があるかというと、痴漢冤罪事件に巻き込まれると、莫大な損害が発生するからです。

この場合、機会費用(別の事をやっていたら得られていた最大の収益)が莫大なものとなるため、被害を防ぐための方策をみんなが必要としていると考えられるのです。(例えば、商談に行けずに取れるであろう売上を逃した、無断欠勤になってしまい会社を解雇された等、経済的にも社会的にも致命的なダメージが発生します)

また、冤罪といった物事の性質上、本人からすると、防ぎようがないといった面があります。

つまり、落ちたらかなり致命的なダメージを受ける可能性がある橋を命綱なしで歩いているような不安があるのですね。(普段は意識しないにしても、不安ですよね。)

その不安を和らげる方策が今回話題になっている保険になると考えられます。
  • とはいえ
とはいえ痴漢も痴漢冤罪もなくなればいいのですが現実的にはなかなか無くならない残念な世の中です。

また、保険会社としても儲けなければならないという事情があるので
 「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士保険」の保険料は月払いで590円、年払いで6400円。事件発生後48時間に発生した弁護士の相談料、接見費用も補償する。2015年9月10日 日刊工業新聞
こういった年間6,400円といった価格設定になっているようです。しかし、逆に言うと年間1,000円とかでは保険会社が必要とする適正な利潤を得ることが難しいのでしょう。

とすると、割と多く利用されることを見積もっているのかもしれませんね。

ちなみに個人賠償責任保険という、マンションの水漏れや子供が自転車で人にけがをさせてしまったような場合に保証される保険があるのですが、こちらは保証上限を1億円としても、火災保険の特約などでつける場合には月数百円程度(300円くらいが多いです)で掛けることができます。

同社のプレスリリースでは

 お客様が痴漢と間違われ逮捕されてしまうと、一瞬で社会的地位を失ってしまいます。初期段階での弁護活動がその後の人生を大きく左右するため、事件が起きた直後にお客様が弁護士と電話できるサービスが「痴漢冤罪ヘルプコール」です。

中略

自動車を持たない人でも加入できるように、個人賠償責任保険の特約として開発しました。
 個人賠償責任保険は、自分が加害者になった際のリスクに備える保険ですが、弁護士費用保険は、自分が被害者になった際のリスクに備える保険です。
 
中略
 
  補償内容・保険金額(詳細は別紙2参照):
   弁護士費用等保険金:最高300万円
   法律相談費用保険金:最高10万円
   個人賠償責任保険金:最高1000万円
2015年9月9日 日経電子版プレスリリース 

と謳っており、個人賠償責任保険を押さえて、その分弁護士保険に回しているように発表しています。とすると、加入者がまだまだ少ないといった所を割り引いても、結構な痴漢冤罪発生のリスクを保険会社は見積もっているのでしょう。

お守り代わりにとても良い保険だとは思いますが、根本としては痴漢も痴漢冤罪もなくなるような社会になると良いですね。
時事ニュース解説
2015年9月11日

ワタミの介護事業売却からもう一度考える、色んな利益概念の事

ワタミ

ワタミ社が介護事業を売却すると報道されています。

 介護事業に参入したワタミは、首都圏を中心に介護付きの有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅事業を展開している。だが、主力である居酒屋チェーン「和民」で売り上げが伸び悩んでいるほか、介護事業も苦戦している。経営合理化の一環として、不振の介護事業の売却を検討しているものとみられる。2015年9月10日朝日新聞

といった風に報道されており、本業に関係のない事業を売却し、そのキャッシュを本業に投資すると言っているのです。

本稿ではこの報道を元に利益という概念について考えていきたいと思います。
  • 特別○○
さて、事業を売却すると言っていますが、事業を譲渡する際には、その事業に用いる資産についても同時に売却することとなります。(債務を移転する場合には債権者の同意が必要)

その場合、介護事業の持っている資産の簿価(帳簿に記載されている価格)よりも売却金額の方が大きければ特別利益を、そうでなければ特別損失が発生します。

と、利益とか損失といった言葉が出てきましたが、どうして特別○○と言うのでしょうか?別に利益や損失が出たとしても、そういった利益とか損失にワザワザ名前を付ける必要がどこにあるのでしょうか。
  • 利益には種類がある
さて、会社の経営成績を示す損益計算書を見る人は、会社が儲かっているのかどうかを見たいので、損益計算書を見ます。

A社は500万円の利益を出していて、B社は5,000万円の利益だった。なお、資産規模はA社もB社もほぼ同様である。

と言った情報を入手した際、単純に「B社の方が利益が大きいから良い経営であったという事ができるのでしょうか?」

この疑問に答えるために利益には種類があるのです。

例えば、A社は、本業の儲けを示す営業利益で700万円、B社は営業利益が100万円だったとします。

また、経常的なもうけを示す経常利益ではA社は500万円、B社は50万円。

その後、B社は持っていた土地建物を売却していたので特別利益4,950万円をあげていたとします。

その結果、A社の最終的な損益は500万円の利益、B社は5,000万円の利益でした。

このように、最終的な利益だけではなく、営業利益や経常利益まで示すと、印象が変わるはずです。

この例ではB社には毎期継続的に利益を生み出す力があるわけではなく、たまたま土地建物を売却していたから5,000万円もの利益を生み出していたという事がわかります。

そして、このような、時々しか発生しないような利益を特別利益とよび、損益計算書上もそれが判るように表示されるのです。
  • ワタミの場合
ワタミ社は、ここ数年赤字が続いているとの事ですので、利益と現金は短期的には直接的には結び付かないと言っても、数期の赤字によって現金残高に悪影響が出ているはずです。

今回の事業の売却で、特別利益を計上できればそれに越したことはないと思いますが、仮に特別損失が生じたとしても実施する価値はあるかもしれません。

というのは、少なくとも現金は獲得することができるからです。そして、現金があれば不採算店舗の閉鎖や場合によっては退職勧奨を実施し、人件費の圧縮などを大胆に進めることが可能となります.

(もっとも、こういった方策は社内に蓄積された目に見えない資産を損なう傾向があるため、望ましくない結果をもたらすこともあります。)

このように、利益と一言で言っても、いろいろな考え方があるのです。一度損益計算書のひな型を入手して眺めてみると色々な発見があって面白いですよ。

なお、本記事には特定の企業を応援する意図も、批判する意図もございません。

時事ニュース解説
2015年9月8日

ワタミの窮状は価格政策の迷走が原因との説から考える、どうして企業は値上げしたがるのか

最近個人的にあまり行かなくなったお店として、ワタミとかマクドナルドがあります。別に、色んな報道に影響を受けたわけではなく、なんとなく足が遠のいた形です。

そうはいっても、十年以上前にワタミ株を株主優待狙いで持っていたりしたので、別にさけていたわけではないのですが。

と、筆者の足が遠のいたのはなんとなくだったのですが、雑誌記事にワタミの窮状が取り上げられています。

雑誌記事ですが
ワタミは今、事業売却の話が出てくるほど、窮状に瀕している。2014年度は128億円の最終損失を計上し、2期連続の赤字となった。2015年9月7日 東洋経済オンライン
と報道されており、ちょっと心配な局面になってきましたね。
  • 値上げしたくなります
とはいえ、ワタミ社がどうして窮状に陥ったかについては、それこそ沢山の人が分析し記述しているのでこの記事ではその事には触れません。既存の分析以上の事はちょっと難しいですし、何を書いたとしても、おそらく有効な提言はできないと思われますので、みんながモヤモヤしてしまいますからね。

今回は、ワタミの価格戦略についてちょっと考えてみたいと思います。今回の題材は、
2014年4月には主力業態の「和民」で商品単価を15%値上げした。その一方、鮮魚を取り入れるなど、品質を向上させることで客数増を狙った。しかし、2014年度の既存店客数は、前期比7%減となった。2015年9月7日 東洋経済オンライン
といった内容を元に、大きくなった企業が、より付加価値路線を志向し、値上げするといった一連の流れを経営用語的に解説していきたいと思います。
  • まずは低コストで(安いとは言っていませんが)
企業が大きくなる際のモデルケースがあります。小売業の例ですが、革新的小売業が徹底したローコストオペレーションで業績を上げていきます。

ワタミが当初からローコストオペレーションであったかどうかはちょっと分からないですが(調べればわかる事ですが、ワタミの記事ではないので今回は調べません)、少なくとも値段の割に良いものを食べられたお店であったようには記憶しています。

いわゆる昔の赤ちょうちん的な『居酒屋』ではなく、ファミレスに近い雰囲気。そして、学生さんでも、たまにはのみに行けるような価格設定だった風に記憶しています。

このように、大きくなるお店の中には、ローコストオペレーションを徹底し、低コストで顧客が感じる価値を高くするように志向していくケースが多いのです。
  • 競合が現れます
と、このような新業態を開発すると、しばらくは競争相手がいないところで成長を謳歌することができます。しかし、大きくなることを志向しているような企業が狙っている市場ですから、当然市場規模は大きいものとなります。

そして、儲かって、市場規模も大きいとなれば競合がどんどん参入してきます。(市場規模が小さい場合、ニッチャー(参考:競争地位別戦略)として美味しい市場を独占することも可能です)

そのような場合、競合と差別化するために、アップスケール化と言って接客内容やお店の雰囲気、商品の品質を向上させることを目指し始めます。

「同じようなコンセプトの競合が現れたのならば、それらの競合に負けないようなお店を作ればいい」といった発想ですね。但し、このような発想に立つときには、コストアップが伴います。

今までよりも接客を丁寧にするのならば、教育訓練も必要でしょうし、一定時間当たりに一人の店員さんが接客できる人数も減るので人を増やす必要があります。(ここで、人件費をケチって精神論で運営しようとすると、様々な面で問題が発生し、重大なレピュテーションリスクが生じます。)

そのため、ちょっとずつではありますが、高価格路線に舵を切ることになるのです。
  • 歴史は繰り返す
このように、低価格路線で消費者の支持を集めるような業態の場合、どこかのタイミングで高付加価値といった言葉を使いだし、その後、価格も上がっていくといった流れをたどると経営学的には言われています。(結構思い浮かぶお店がありますよね?)但し、このように高価格路線にシフトするような運営は決して悪いわけではありません。

でも、そのような企業ばっかりだったら、世の中は高級店ばかりになってしまいますよね?

しかし、それは杞憂です。従来のお店が高価格を志向しだすと、市場に空白が生まれます。それは、ローコストの領域です。そして、このような美味しい市場が空白になるのであれば、低価格領域にローコストオペレーションを武器にした革新的な企業が再び参入してきます。(経験則です)

すると、上で説明したような事がまた最初に戻って始まるのです。(再び全盛期のワタミ的業態のお店が生まれて繁栄を謳歌しだすのです。)

このように歴史は繰り返すのですね。(このような理論を小売の輪理論と言います。)


なお、本記事には特定の企業を応援する意図も、批判する意図もございません。
時事ニュース解説
2015年9月5日

消費税の軽減税率という小規模事業者に負担を強いる案の代案として給付金方式が提案されました


001軽減税率
消費税の軽減税率が少し前から議論されていました。「消費税の逆進性を緩和するために食料品等については、軽減税率を導入する」といった議論です。

この議論はかなり具体的なところまで進んでいたように記憶しております。食料品の具体的な品目を決め(アルコールを除くのか、生鮮食品だけになるのか、米類だけになるのか等)、軽減された後の税率は9%になるといった内容です。

このような消費税の軽減税率には二つの大きな論点がありました。それは、税率を軽減する分の財源をどうするのかといった論点と、事業者の負担をどのようにするのかといったモノです。

今回、報道では
 消費税率を10%に引き上げる際の負担軽減策の財務省案が4日、明らかになった。2017年4月に税率が10%に引き上げられるのにあたり、ほぼ全ての飲食料品を軽減対象とする。

 複数の税率を設けると事業者の経理処理が複雑になるため、いったん10%の税率を課した上で、払いすぎた税金分を後から支給する方式を導入する方向だ。2015年9月4日 読売新聞
とされており、事業者の負担については一定の解決策が提案された格好になります。
  • 単なる軽減税率は事業者の負担が大きすぎる
さて、単に軽減税率を導入すると、事業者の負担が大きくなりすぎると考えられます。というのは、消費税率10%の商品と9%の商品をしっかりと分けて管理しないといけなくなりますし、税務申告の際にも考慮することが増えてしまいます。

(簡易課税と言って、消費税を簡単に申告できる制度があるのですが、軽減税率を導入したらどう考えても現行の制度よりも難しくなりそうです。)
  • 税金の還付ではない
と、ここでのポイントは、税金の還付ではないと言っているところです。税金の還付といった考え方にすると、納め過ぎた税金を戻すといった発想になるので、いくら税金を納めたかについて考えていく必要が出てきてしまいます。

しかし、『納め過ぎた税金分を後から支給する』といった発想ならば、おおむね年収○○万円の人なら(これは所得税の申告時に既に分かっている情報です)、○万円を返しますといった形を取ればよいので便利です。

また、「自分は税金の申告なんかしていないよ…」と思われる方も、会社で働いていれば、会社が国に申告してくれています。このように既知の情報を活用して制度を運用するのですから、費用面でも優位性がありそうです。
  • 軽減税率の代案
他の報道では軽減税率ではない他の案であるといった表現がなされています。

生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」をめぐり、平成29年4月の消費税10%への増税時の導入を見送った上で、軽減税率に代わる低所得者対策として、給付金を支給する案を財務省が検討していることが4日分かった。給付金にすると、事業者の事務負担の増加が避けられ、支給対象に所得制限を設けることができる。

自民、公明両党が来週にも再開する軽減税率の制度設計を検討する協議会で提示するとみられる。だが、公明党は低所得者対策で軽減税率導入を強く訴えており、調整は難航しそうだ。2015年9月5日 産経ニュース
低所得者対策のために、食料品などの生活必需品に対して消費税率の軽減を求めていた公明党の意見が実質的に反映された内容となっているように考えられます。

また、単なる軽減税率だと、小規模事業者に多大な負担を強いる事となるので、同じ結果が得られる給付金方式にするといった事が言われているのですね。

軽減税率にすると実際の金額ベースで大きな恩恵を受けるのは、低所得者よりも、お金持ちになります。(100グラム200円のお肉を買う人と、100グラム1,000円のお肉を買う人だったら、1,000円のお肉を買う人の方が絶対額では軽減税率から多くの恩恵を受けますから。)

また、軽減税率の対象になるかどうかをめぐった政治的な綱引きも増えそうですので、変な制度だったら給付方式の方がよっぽどシンプルでよいと思います。
  • 給付金制度だとちょっと分かりにくいかもしれません
たしかに、低所得者対策として効果も大きいと考えられますし(少なくとも軽減税率と同等の効果はあるでしょう)、事業者の負担も少ない良い制度であると考えられます。

しかし、給付金制度の場合、ちょっとした懸念点があります。それは、制度が見えにくいといった感覚です。

というのは、軽減税率となれば、ある程度は将来にわたって安定的に実施されると考えられます。(食料品の消費税率を軽減税率で8%と定めた場合、それを10%にするのはやはり実質的な増税ですから、政治上の大問題として国民的議論が期待できます。)

また、日々の生活に直結する制度なので、とても実感として見えやすいモノとなります。

しかし、給付金制度の場合イマイチ見えにくいと考えられます。例えば、消費税率が8%に引き上げられた際に、『住民税が非課税の人』には特別給付金が支給されています。(住民税が非課税で、住民税が課税されている人に扶養されていない人は、一人6千円が支給されます。)

この制度ってご存知ですか?(知らなかった方で、住民税が非課税の方は1月1日現在で住民票がある市町村に問い合わせてみてくださいね。(平成27年9月5日現在の情報です))

このように知っていて、かつ、手続きををしないと受け取れないというのが給付金制度で生じる問題点です。

また、ここで言う住民税非課税世帯は思いのほか年収の低い層しか当てはまらないので、生活が苦しくても、毎月会社からお給料をもらっているような人は恩恵を受けられないかもしれません。

と、いずれにしても、低所得の方や事業者の方の負担が少なくなるようなシンプルでわかりやすい制度設計が求められますね。
時事ニュース解説
2015年9月3日

ドコモのMNPの割引き上限回数設定から考える、既存顧客を大切にするという商売のセオリー

MNP
携帯電話で電話番号はそのままに、別のキャリアに移れるといったMNP制度ができてから、かなりの時間が経ちました。

筆者は、特に携帯電話にはこだわりを持っているわけではない+複雑怪奇な料金制度を調べる気が全くしないので、ずっと某D社の携帯・スマホを使っています。しかし、MNP制度での他社への乗り換えが、長く使うメリットを全てかき消してしまうほどお得になっている現状にはちょっとした憤りを感じる時があります。

まあ、きちんと調べない怠惰な性格が悪いのですが、現状に応じたスマホ乗換の最適解を提案してくれるサービスがあれば、トータルコストの引き下げ分の半分ぐらいなら支払っても良いなと思っています。

さて、余談はさておき気になる報道がありました。
NTTドコモは1日、携帯電話端末の割引制度に回数制限を初めて設けた。「家族まとめて割」や「のりかえボーナス」などの割引を繰り返し利用し、安く購入した携帯端末を転売するケースが増えているためだ。携帯電話大手3社で「最も手厚い」(通信大手)とされるドコモの割引制度があだとなった。

中略

番号持ち運び制度(MNP)利用者を対象に、携帯電話大手3社は、最大10万円を超えるキャッシュバック(現金還元)などで他社からの乗り換えを促す販促キャンペーンを展開した。これに乗じて契約変更を繰り返し、現金や商品券などを得る悪質な“MNP長者”が増加した経緯がある。2015年9月2日産経新聞
との報道です。

「安く購入した端末を転売」。「悪質なMNP長者」などと、かなりお客さんを悪しざまに言っているなとの印象を受けますね。

と、転売の是非はおいておきますが、新規ユーザを明らかに優遇し、既存ユーザを冷遇する施策が企業経営の理論的にどのように位置づけられるのかについて考えていきたいと思います。
  • セオリーでは
さて、一般的には新規顧客の獲得重視ではなく、既存顧客との関係性を重視すべしといった事が企業経営上のセオリーとして言われます。

この事を裏付けるように、新規顧客を獲得するためには既存顧客を維持するよりもコストがかかる。おおむね、5対1ぐらいで(つまり新規顧客獲得には既存の顧客維持の5倍コストがかかる)と言ったような事が言われています。

どうでしょうか、MNP制度ができ、キャリアの持っているメールアドレスも意味をなさなくなってきている昨今、確かに既存顧客の数倍のコストをかけて新規顧客の獲得競争をやっているように見えますよね?(だからMNP長者が生まれているのでしょう。)

しかし、既存顧客との関係性をないがしろにして、新規顧客を追い求めるような方法は、少なくとも「不利ですよ」
といった考え方があるのです。
  • 顧客生涯価値という考え方
お客様が、長い間に一体いくら自社に使ってくれるのかといった考え方があります。こういった考え方を顧客生涯価値(LTV)と呼びます。

このような考え方に立つとき、企業は新規顧客を追い求める事よりも、既存顧客との関係性を大切にする事が大切であるとされます。

これは別に『お客様は神様だ』的な精神論ではなく、単純にその方が儲かるといった実利に基づいた考え方です。

上で指摘した通り、新規顧客の獲得には既存顧客の維持と比較して莫大なコストがかかるため、新規顧客だけを追い求めていても、率直に言えば儲からないのです。
  • かつては
かつては、携帯電話業界で、新規顧客はそのまま常連になっていたと考えられます。これは、昔の顧客の方が義理堅かったとか沿いう言った話ではなく、キャリア間の移動障壁が高かったためです。

例えば、一昔前はキャリアを変えれば電話番号は変わりますし、キャリアから支給されたメールアドレスも変わってしまいました。

すると、獲得した新規顧客は、「新しい携帯番号とかメールアドレスを知り合いに知らせるのが面倒だし、大変だな…」といった風に考え、そうそうキャリア間の移動ができないような仕組みになっていたのです。(こういったのをベンダロックインと呼びます。)

しかし、現在ではキャリア間の移動は非常に容易です。(電話番号もそのままですし、普段の連絡で使うのはフリーメールでありLINEやFacebook等ですからね)

そのため、二年縛り+違約金などといった形でスイッチングコストを高めています。(これは総務省からの行政指導でやめるようにと言われていますが、現状ではそのまま運用されています。)

このように、キャリアを移動するスイッチングコストが低くなっているため、携帯電話各社は新規顧客の獲得が常連獲得につながりにくくなっているという事を認識する必要があります。
  • やはりセオリー通りに…
そのため、業界外の人間からすると、やはりセオリー通りに長く使ってくれているお客様の満足度を高めるような施策に舵を切った方が費用対効果が大きいように考えられます。

もっとも、(既存顧客に不公平感を植え付けたとしても)新規顧客獲得至上主義の方が収益性が高いと判断されている可能性もあります。(筆者の専門とは別の業界の事ですからハッキリとはわかりません)

但し、本記事では、セオリーとしては「既存顧客重視策を採る事の方が収益性向上に寄与するとされている」と言われていることを指摘しておきます。

基本としては、新規顧客獲得至上主義はあまり筋の良い手ではないという事は覚えておくとよいと思います。
時事ニュース解説
2015年9月2日

生産性は正しいアプローチを行えば割と簡単に向上させられますが、生産性革命が達成できるかは不明です

生産性
生産性革命。生産性という言葉が意識高い系の大人心を刺激するように、革命という言葉は学生時代に置いてきた心を刺激します。

その生産性と革命といった言葉が結びついた「生産性革命を実現する」といった力づよい言葉が時の大臣から発せられました。

報道では
甘利明経済再生担当相は1日夜、都内で講演し、企業による設備や人材への投資拡大を促し、「生産性革命」を実現すると語った。労働力人口の減少といった問題に直面する中、1人当たりの生産性を向上させることが急務とし、「イノベーションが絶え間なく起こる環境を整備することが重要」と強調した。2015年9月1日ロイター
 とされています。
  • 生産性とは
さて、生産性革命といったなんだかすごそうな言葉について見ていく前に、生産性という言葉についてちょっと見てみましょう。

この生産性という言葉は弊サイトでは
生産性とは資源の投入量と産出量の比率の事を指し示す言葉です。英語ではproductivityと表記されます。http://keieimanga.net/archives/8350573.html まんがで気軽に経営用語
といった形で紹介しています。このように、生産性とは、投入量と産出量の比率の事ですので、少ない投入量で多くの産出量を生み出せるような状態を生産性が高いというのですね。
  • 生産性は高い方が良い
さて、一般的な文脈では生産性を高めることは望ましいと語られます。そして、今回の生産性革命といった発言には、生産性を革命的に高めることによって労働力不足に対応しようといった趣旨の内容が含まれていると考えられます。

確かに、今まで3人がかりでやっていた仕事を2人でできれば(つまり生産性が高まれば)労働力が不足しても乗り切れそうですよね。

そして、生産性を高める方法には答えが存在します。今回は誰でもできるけど劇的に生産性を高める方法を通じて、生産性という考え方の意味について、もう少し深く考えていきます。
  • 生産性を高める方法教えます
今回引用した記事では『1人当たりの生産性を向上させることが急務』と言っていますので、いわゆる労働生産性の向上を狙っていると考えられます。

そして、この労働生産性を高めることは割と簡単です。

「え、大臣がわざわざ生産性革命をと言っているのに簡単にできるの?」といった声が聞こえてきそうですが、もうしばらくお付き合いいただければと思います。

ここで、一度生産性の定義に戻ります。生産性とは『資源の投入量と産出量の比率の事を指し示す言葉』でしたよね。そして、労働生産性と特に断って言う際には、労働資源の投入量と産出量の比を示す言葉です。

ここまでで勘のいい方はピンときたかもしれませんが、労働生産性を高めるためには、同じ成果を得るために労働力の投入量を少なくするか、同じ労働力の投入量でより多くの成果を得る必要があります。

この労働生産性を高めるためには、働く人の能力を高める事や、業務プロセスを改善することによって、労働力の投入量と産出量の比を改善する必要があるのですね。

例えば、産出量を一定と考えた場合には、従来の二倍の集中力を持って仕事にあたれば、投入する労働時間を削減することができるので、労働生産性は向上しますし、業務プロセスから余計な無駄を省いても、投入する労働時間を削減することができます。
  • 当たり前ですよね?
と、ここまでは一般的な発想なのですが、もっと抜本的に生産性を改善する方法もあります。

例えば、工場を自動化し、少人数で同じモノを生産できるようにしたらどうでしょうか?労働生産性は向上しますよね?

また、建築現場でスコップ片手に作業をしていたのを、大きな重機を導入したら労働生産性は向上しますよね?

このように、必要な設備投資などを実施し、適切な資本を投入していけば労働生産性は向上するのです。(一人あたりの有形固定資産の水準を資本装備率と呼びます。)
  • 革命と言っているけど
さて、これらの事を元に、甘利大臣の言葉を読み解いてみます。

「企業による設備や人材への投資拡大を促し」と言っていますので、「しっかり必要な設備投資を実施して資本装備率を改善してね」と言っています。

また、「人材への投資拡大」と言うのは、「従業員への教育訓練を実施して生産性の改善を図ってください」といった趣旨の言葉です。

つまり、必要な当たり前のことをしっかりとやって、生産性を向上させてくださいといったメッセージなのです。間違っても、休まずに二倍働きなさいといったブラック企業顔負けの精神論ではないのですね。
時事ニュース解説
2015年8月31日

ミスドのドーナツがセール時に小さくなる訳がない理由をこっそり教えます

ミスド
ミスタードーナツ。とても美味しいドーナツが食べられるので、我が家でも大人気です。そんな『ミスド』はうれしい事に、定期的にセールを実施してくれるのですが、セールの度に小さいドーナツを売っているといった『噂』が出てしまっているとの事です。

報道では
買い物客で行列ができる大好評企画だが、決まって話題になることがある。それは「小っちゃくなってないか?」というものだ。中にはセールをする度に小さくなっている気がする、などとツイッターで呟く人もいる。ミスドはドーナツの大きさは変えていないとし、あらぬ噂だと頭を抱えている。2015年8月25日J-CASTニュース
などと言われていますが、少しこのことについて考えてみたいと思います。
  • ドーナツを小さくして大儲け?
おそらくですが、ドーナツが小さくなればその分原価も低くなるので、 「ミスド大儲け」みたいなお話を想定しているんだと思います。「セールで人を呼んでいるのに商品のサイズを誤魔化して儲けを大きくするなんてけしからん」といったストーリーですね。

しかし、このストーリにはちょっとした穴があるので、あまり現実的ではないと考えられます。

(製造工程でのばらつきもあるため、たまたま本当小さいドーナツを手にした可能性も否定はできませんが、会社ぐるみで、セール時にドーナツのサイズを小さくするという対応が考えにくいといった趣旨のお話です。)
  • 小さくしてもそれほど原価は変わらない
例えば、ミスドのドーナツの原価率を仮に20%だとします。(仮にですよ。)そして、その原価はドーナツの原材料費(小麦粉とか砂糖とかですね)のみであるとします。

この時、普段の価格が130円のドーナツを想定します。(ポンデリングとかですね。)その場合、このドーナツの原価は130×20%なので26円です。

ココで、仮にドーナツの大きさを5%小さくしたとします。その場合、原価は1.3円引き下がり、24.7円になります。(多分5%小さいと気が付く人が沢山出るはずです。)

但し、上の例で出したような、原材料費のみが原価を構成しているといった前提は非現実的です。例えば、サイズが小さくなっても工場で働いている人の労務費(人件費)の総額は変わらないでしょうし、工場自体の減価償却費等も変わりません。(製造原価は材料費と労務費、その他の経費で構成されます)

仮に、上の例で製造原価が占める割合のうち材料費が3分の1だったとすると、引き下がる原価額は0.43円になります。

このように、多少サイズを小さくしたからと言って引き下げられる原価は微々たるものであると考えられます。
  • 原価が安くなっているのなら、それはサイズの問題ではなく、稼働率の問題です
例えば、仮に内部資料が出てきて、セールの時だけ製造原価が安くなっているとします。この場合「やっぱり、製造原価が引き下がっている。つまり材料をケチってドーナツを小さくしているんだろう」と考える人が出てくると思います。

しかし、このような場合、稼働率が上がった事で製造原価が引き下がっていると考えた方が自然です。

では、どうして稼働率が上がると製造原価が引き下がるのでしょうか。それは次の例を見ながら考えていきたいと思います。

※ミスタードーナツはお店でドーナツを揚げていますが、分かりやすい例として『工場』を想定します。

例えば100万円の減価償却費等の経費が発生する工場で、100万円の労務費(人件費)をかけていたとします。材料費が一個当たり100円の製品があるとして、

◆1万個製造した場合

総製造原価は100万円(経費)+100万円(労務費)+100円(材料費)×1万個=300万円
製品一個当たりの製造原価は300万円÷1万個=300円

◆2万個製造した場合
総製造原価は100万円(経費)+100万円(労務費)+100円(材料費)×2万個=400万円
製品一個当たりの製造原価は400万円÷2万個=200円

と、工場の稼働率が上がれば製品一個当たりの製造原価が引き下がるのです。
  • お店も稼働率が上がります
そして、ドーナツの100円セールを実施するわけですから売上は伸びることが想定されます。つまりお店は沢山ドーナツを作ることになるのですね。

このような稼働率の改善が見込めるため、ワザワザ、ドーナツを小さくするとはちょっと考えにくいです。
  • 評判を損なうリスク
さて、昨今では企業がよろしくない対応をしたりするとあっという間に悪い評判が広がってしまいます。こういったリスクをレピュテーションリスクというのですが、上で見た通り、わずかな原価引き下げのためにミスタードーナツ社がそのようなリスクを取るとは思えません。

仮にドーナツを小さくする必要があるのならば、それを正式に公表して行えばよい事なので、セールの時だけこっそりとドーナツのサイズを小さくするとはちょっと考えにくいです。

いずれにしても、美味しいドーナツのセールは大歓迎ですね。
 
時事ニュース解説
2015年8月27日

日本生命が三井生命を買収するこの機会に、TOBについて説明できる大人になろう

tob

日本生命が三井生命を買収する方向であるとのニュースが入ってきました。この事が実現すると第一生命を抜き業界首位に立つとの事です。

報道によると
国内生命保険2位の日本生命保険は、同8位の三井生命保険を買収する方向で最終調整に入った。2015年8月26日 読売新聞
とされています。

このような大型の買収劇の場合、市場シェア拡大といった切り口で語られるケースが多くありますが、買収手法である株式公開買い付け(TOB)について見ていきたいと思います。

この株式公開買い付け(TOB)という言葉ですが、買収劇が発生するたびに報道されるため、おなじみの言葉かもしれません。 しかし、おなじみの言葉と言ってもイマイチ良く分からない言葉があるように、このTOBといった言葉もわかりにくい言葉であると考えられます。

そこで、この記事を読んで、今日、会社で後輩や部下から聞かれたときに「TOBって簡単に言うとこうだよ…」と説明できるようになっちゃいましょう。
  • 敵か味方かTOB
さて、TOBという言葉には、敵対的とか友好的といった枕詞が付く場合があります。「敵か味方か」なんて言うと、刺激的ですが、敵対的か友好的などといった風に、『的』という言葉を付けるとニュアンスが柔らかくなりますね。

さて、このような『敵対的TOB』や『友好的TOB』といった言葉ですが、ニュースで大きく取り上げられる傾向があるのは何といっても『敵対的TOB』です。いわゆる買収劇とか、企業の乗っ取りといったセンセーショナルなニュースとなるので大きく取り上げられることが多いのですね。

逆に『友好的TOB』はある意味『出来レース』のようなもので、買収されることがほぼ決定しているので面白みがないのかもしれません。
  • で、何が違うの?
と、そんな事を書いていると、「分かったけど、結局敵対的TOBと友好的TOBで何が違うの?」といった声が聞こえてきそうです。

そこで、弊サイトで解説したところを引用してみたいと思います。
敵対的TOBとは、買収対象の会社側(経営陣や関係する様々な会社)が、買収に同意していないにもかかわらずTOBを仕掛けることを言います。
http://keieimanga.net/archives/7771388.html まんがで気軽に経営用語
友好的TOBとは、買収対象の会社側(経営陣や関係する様々な会社)が、買収に同意している際に行われるTOBの事です。
http://keieimanga.net/archives/7774387.html まんがで気軽に経営用語
どうでしょうか?ほとんど同じに見えますか?(それはそうですよね、同じ人が書いているんですから。)

これらの敵対的と友好的の違いは、買収対象となっている会社側が買収に同意しているかいないかによります。そのため、敵対的TOBと友好的TOBについては、やることについてはほぼ一緒であると考えていただければと思います。
  • で、TOBって何なの?
と、遠回りをしてきましたが、いよいよTOBが何なのかについて一緒に見ていきたいと思います。このTOBは日本語で言うと、株式公開買い付けと呼ばれ、英語でtake over bidと記述されることからTOBと略されます。

内容としては、不特定多数の人に「買取価格・買取期間・買取株数」を公告し、証券市場外で株式を買い付ける事を指します。キーワードは、不特定多数、証券市場外、「買取価格・買取期間・買取株数」の公告といった感じになるのですね。

報道でも
三井生命の大株主である三井住友銀行、三井住友信託銀行などはTOBに応じ、保有株式の大半を売却する。三井生命は日本生命の子会社となるが、三井ブランドは残す方向で調整している。三井生命の契約者は、契約内容などに影響はない。2015年8月26日 読売新聞
と言っている通り、三井生命株を三井住友銀行や三井住友信託銀行が売却すると言われています。これは市場外で行われる内容となっております。

例えば仮に、このような買収劇を証券市場を通じて実施すると、株価は日々動きますので当初予測していた金額での買収は難しくなりますし、ある程度株式を集めたけれども、経営権を握るに至らなかったような場合は集めた株式の処分を行わなければならなくなります。

しかしTOBの場合、市場外で行いますので、株価の変動とは無関係に金額を決められますし(とはいえ市場価格と大幅にかい離すると意図したとおり株式が集めらませんが)、期限内に株式を集める見込みがなければTOBの取り消しも可能です。

このような運用ができるため、有価証券報告書の届け出義務がある会社に対する買収については原則としてTOBを実施することとなっているのです。
時事ニュース解説
2015年8月26日

中国の緊急利下げは中国当局の危機感の表れだが、利下げは玉数に制限がある武器のようなものです

中国利下げ
中国が緊急利下げを行うと2015年8月25日のニュースで流れていました。報道は
中国人民銀行(中央銀行)は25日、追加の金融緩和を決めた。政策金利である銀行の貸し出しと預金の基準金利を0.25%下げると同時に、市中銀行から強制的に預かる資金の比率である預金準備率を0.5%下げる。中国経済の減速への懸念から世界的な株安の連鎖が続くなか、大規模な金融緩和で景気の安定を重視する姿勢を鮮明にした。2015年8月25日 日本経済新聞
 とされております。

利下げ+預金準備率の引き下げですから、思い切った対策であると考えられます。

中国が金融緩和を実施した背景や、その影響が経済分野のみならず多方面に及んでいくのかについては色々な切り口が考えられます。今回は様々な切り口の中から、経済的にはどのような効果を狙っているのかについて見ていきたいと思います。
  •  利下げをするという事は
『腹痛には正露丸』、『頭痛にはバファリン』と言うように、景気減速には利下げというのが一種のセオリーとなっています。

どういう事かというと、利下げを実施することにより、国内の個人や法人が資金調達をしやすくなり、その結果、設備投資や消費が促されて景気が良くなるといった説明となるのです。(参考:利下げ

ココで注意したいことは、利下げに踏み切るという事は、少なくとも当局は、現状の景気は良くないとの認識を持っているという事です。(ここ数日で株価が大暴落しているので景気が良いと判断している可能性は極めて少ないですが。)

しかし、この利下げを安易に行うと大変なことになります。というのは、金利は下げ続けていくとどこかで実質0%となってしまい、それ以上この手段が取れなくなってしまうからです。

また、景気が良い状態で利下げをすると、市場に資金が回りすぎ、景気が過熱しすぎていわゆるバブルを招く危険性もあります。

そのため、一般的には景気が回復している局面では逆に利上げを実施し、少しずつであっても金利を上げていくのです。(利上げには景気の過熱を防ぎ、インフレ防止の効果もあります。)
  • かなり下げています
と、このように下げれば良いというものではない金利ですが、中国は直近で連続して利下げを行っております。同記事では

利下げは6月以来、約2カ月ぶりで、昨年11月以降で5回目だ。預金準備率の引き下げの決定は4月以来、約4カ月ぶりとなる。2015年8月25日 日本経済新聞

と報道しており、利下げは昨年11月から既に5度目であると言っています。この事から、中国当局は景気を刺激する必要性をかなり強く認識しているという事ができます。
  •  預金準備率の引き下げは
また、中国の預金準備率の引き下げについても考えていく必要があります。この預金準備率引き下げも金融政策の一種であり、市中銀行が貸し出しに回せる現金の量を増やすといった意図を持っています。

つまり、預金準備率の引き下げも金融緩和を狙った対応なのですね。
  • 株価対策として
このような金融緩和は同時に株価対策でもあります。

景気回復期待から株価上昇を促したり、もっと直接的に資金を借りてきて株式投資をする(これは投資等言うよりも一か八かの投機ですね…)事を促す、また、債権のうま味を無くしてその分の資金を株式市場に振り向けさせるといった狙いです。

いずれにしても、中国当局は現状に危機感を持っていると考えることができます。

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