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経済学

経済学
2019年1月20日

限界消費性向 | 数式を使わずにまんがとキャラクターで限界消費性向について説明してみました

限界消費性向_001
限界消費性向とは、所得が増えた際に、増えた所得の分に関する消費性向の事を言います。(経済学でいう限界とは「少し増やした時の」という意味です。それなので、限界消費性向は少し増えたときの消費性向という意味です。)

経済学を勉強される際には、MPCと略されて記述されることもあります。( Marginal Propensity to Consume)

限界消費性向は1が基準で、1の場合追加で得た所得を全て使ってしまう、1より小さい場合、例えば0.8の場合は追加で得た所得の8割を使ってしまうと言った意味となります。

よほどの浪費家でない限りこの限界消費性向は1より小さくなりますし、社会全体などのマクロな視点となると、みんなが増えた所得よりも多く使うとは考えにくいため、1よりも小さいと考えられます。

逆に、0になる事も考えにくく(追加で得た所得を一切使わない事も考えにくいですよね?)、限界消費性向は0から1の間の値を取ると言われます。

■具体例を挙げてみます

この説明では、「え、どういう事?消費性向となにが違うの?」といった声が聞こえてきそうですね。

では具体例を挙げて考えてみたいと思います。

例えば、年間100万円の可処分所得を得ていた人がいるとします。生活にはあまり余裕がなく、消費性向は0.9を超えていたとします。

このことから、この人は90万円を消費に回していたという事ですね。

さて、この人が新たに50万円を追加でもらえることになったとします。この追加でもらえた50万円の消費性向はどうなると思いますか?(この時の追加の50万円分の消費性向を限界消費性向と言います。)

例えば、この場合の限界消費性向が0.8だった場合、40万円が消費に回ります。

■限界消費性向と消費性向は一致しない!


この例で、「もともとの消費性向が0.9なのだから、45万円は使うはずだ」と思いませんか?

しかし、「最低限の生活必需品は賄えているハズなので、それほど消費性向は大きくならない。」と考える事もできますよね?

一般的に言うと、所得が大きくなれば限界所得性向は小さくなると言われています。

この例では、後者の「最低限の生活必需品は賄えているハズなので、それほど消費性向は大きくならない。」といった意見の方が正しい可能性が高いというわけです。

どうしてかというと、生活に余裕があれば無理に使わなくっても良いので、貯蓄する可能性が高くなるということです。

■貯蓄って?

と、上の例では貯蓄と消費が二者択一でした。ということは、限界消費性向と限界貯蓄性向(増えた分の所得を貯蓄する割合)は足して1になるということができます。

1=限界消費性向+限界貯蓄性向

ということができるんですね。

onnanoko_bustup
あら、1万円のお買い物券当選ですって。

neko
ぱーっと使っちゃいましょう!

onnanoko_bustup
ふふふのふ。色々買ってたら12万円も使っちゃったわ。私の限界消費性向は12ってところね。これは、学会で発表できるかも知れないわね。限界消費性向が1以上になる可能性もあるって。

neko_akire
個人だとそういう人もいますよね。でも、世間全体をみると限界消費性向は0と1の間になるんですよ。

■乗数という考え方

さて、この限界消費性向ですが、誰かの消費は誰かの所得となります。(AさんがBさんのお店でお金を使ったら、Bさんの所得が増えます)

そのため、誰かに臨時収入があれば一国の限界消費性向分だけ回り回って経済効果を生むと考えられます。

例えば、国が1億円を国民に配ったとします。(国がお金を配るなんて荒唐無稽な話しと思うかも知れませんが、地域振興券とかで定期的に配ってますよね。)

このときの国全体の限界消費性向が0.8だった場合

その場合1億円をもらった人→全額を消費に回す

1億円もらった人→0.8億円を消費に回す

0.8億円をもらった人→0.64億円を消費に回す

といった感じで最初の1億円が呼び水になって次から次へと消費が生じるのです。

解説で出てきた用語・関連用語
経済学
2015年8月26日

利下げ | 景気後退には利下げといった、腹痛には正露丸的な対処法です

利下げ
利下げとは、一国の中央銀行が一般的に景気後退局面において行う金融政策の事で、景気の後退を防ぐ事を目的として政策金利を引き下げることを言います。文字通り『(金)利(の引き)下(げ)』なのですね。

と、このように書くと、「どうして金利の引き下げが景気後退を防ぐことにつながるのかなぁ?」と思われる方もいると思われます。

(経済学的にはグラフを描いて細かく説明することもできるのですが(学生さんなら、そのような図を理解する必要が出てくると思います。)、用語集サイトでグラフを見てもそれほど理解が深まるとは思えないので、言葉で説明を試みます。)

金利が引き下がることが景気後退を防ぐ、景気を良くするのには、次のような論理構成となります。
  • 内需への影響
まず、中央銀行が政策金利を引き下げる事により、市中銀行(三井住友銀行とか三菱東京UFJ銀行とかですね)が調達してくるお金の金利が引き下がります。

その結果、市中銀行が貸し出すお金の金利が引き下がります。

すると、企業や個人が調達してくる金利が引き下がる為、設備投資や消費が促されます。
その結果、内需が刺激されて景気が良くなるといったロジックです。
  • 為替への影響
また、金利が引き下がるという事は、金利が引き下がった通貨の魅力が相対的に失われて通貨が売られることにつながります。(持っていれば3%の利息が付く通貨が、2%しか利息が付かなくなったら魅力が低下しますよね?)

この結果、利下げされた通貨の為替レートが引き下がる(と言われています。)

あまり直接的には言われませんが、利下げの結果、為替レートが下落し、輸出が増えるといった効果も存在します。
経済学
2015年8月15日

買い手市場 | 買い手の立場が強くなる状態を示す言葉です

買い手市場
買い手市場とは、市場で取引されている売り物が、需要に対して相対的に過剰なため、買い手側にとって有利な状況になっていることを示す言葉です。

売り手市場に対応する言葉ですが、あえて書いて市場であると指摘される事は少ないと考えられます。(というのは、現代では財は需要と比較して潤沢に提供されているため、基本的には買い手市場であるためです。)

このような状況の場合、古典的な経済学的説明では、財の供給者が「こんなんじゃ採算が合わないから撤退するよ。」と考え、最終的には需要と供給が均衡し、買い手市場は解消されると説明されるのですが、イマイチその通りには動いていないと思われます。

買い手市場であなたがモノを買おうとしている場合を考えてみます。この場合、あなたにとって欲しいものがあったとしても他の人からも購入することができるといった状況になります。

すると、「確かにそれは欲しいけど、別にあなたから買わなくても…」と言う事ができてしまうんですね。その結果「では10%値引きをします」といった売り手側からの譲歩を引き出せる余地があるのです。

このように、買い手市場は、買い手側にとっては有利な状況ですが、売り手側にとっては不利な状況という事ができます。
  • 人事用語としての買い手市場
さて、この買い手市場は人材の採用現場では良く使われます。採用市場には、景気の良しあしには関係なく基本的に一定の人たちが供給されます。景気が悪いからと言ってほとんどの人は学校の卒業を待ったり、卒業を早めたりはしませんからね。(人に対して、供給なんて言うとちょっと嫌な感じですけどね。)

しかし一方で、人材の需要側の企業は景気動向次第で大きく需要が変動します。そのため、ほとんど毎年のように「今年は買い手市場だ」とか「今年は売り手市場だ」といった風に言っているのです。
経済学
2015年7月17日

信用財 | 判断ができないモノについては、信用するか否かが問われます

信用財
信用財とは、製品やサービスを利用した後であっても、その製品やサービスの品質が良いものであるか判断できない。ある意味、供給側を信用するしかないような財のことを言います。英語ではcredence goodsなどと表記されます。

例えばお医者さんの診療を考えてみたいと思います。前回皆様が利用したお医者さんの医療サービスはどうだったでしょうか?

「まあ、風邪がちゃんと治ったから良かったんじゃないの?」といったくらいにあやふやな判断しかできないと思われるのですがいかがでしょうか?本当に自信を持って判断することができるでしょうか?

また、いわゆる士業が提供するような法律や税務、企業コンサルサービスについても信用財となります。あなたの会社があるコンサルにお願いして業績を伸ばしたとして、果たしてそれが本当にそのコンサルの手腕によるものか、偶然なのか。それとも、コンサルのアドバイスは単なるきっかけに過ぎなかったのかは誰にもわからないですから。

このように、財を購入・利用したとしてもその本質を消費者が判別できない。根本的に提供者を信用するしかないといった財が世の中には存在するのです。

関連用語
探索財
経験財
経済学
2015年7月15日

経験財 | 利用して見なければ分からない。経験がモノを言うといったモノも存在するのです

経験財
経験財とは、その製品やサービスを購入する場合、事前にはその財の品質を判断することが困難で、実際に経験した後でないとなかなか判断できないようなモノを言います。英語ではexperience goodsなどと表記されます。

例えば、レストランでの食事や理容サービスなど。実際に食べてみたり利用したりして経験しないと判断することが難しいようなモノが該当します。

また、化粧品や香水などのように、どんなに見た目が良くとも、自分に合うかどうかは実際に利用してみるまで分からない。といった商品も存在します。

このように、事前の探索があまり効果を発揮せず、実際に使ってみるまで価値を判断することが難しい財を経験財と呼ぶのです。

このような財を提供する側では、品質に自信を持っていたとしても、一度利用してもらわなければはじまりません。

また、経験財の場合、口コミや評判といった事前情報が消費者が購入するか否かの大きな要素となる為、良い評判を作る事を意識していく必要があります。

関連用語
探索財
信用財 
経済学
2015年7月14日

探索財 | 調べれば比較することができ判断できます

探索財
探索財とはその製品やサービスを購入する際に色々比較検討することが容易にできるような財のことを言います。英語ではsearch goodsなどと表記されます。

カタログが流通しており、事前に調べる気さえあれば調べることができるような製品やサービスがこれに該当します。

例えば、家電製品などはどのようなスペックであり、別のメーカーの製品と比較して優れた点や劣った点を比較的簡単に把握することができます。この場合、実際に購入して使ってみなくても、ある程度の品質や性能を把握することができるのです。

このように、財を購入するに当たって、事前に探索を行う事ができるようなモノを探索財と呼ぶのです。

このような切り口は、消費者が財の品質などの比較がどの程度容易であるかといったモノとなります。

この切り口ではほかに、『経験財』『信用財』といったモノが挙げられます。


経済学
2015年3月11日

ホテリング効果 | ホテリングの法則とも呼ばれ、似たようなお店が集中していくのです

ホテリング効果
ホテリング効果とは、お互いに競合する製品・サービスを提供する企業が、あえて近くに(距離的にも、取り扱い商品・サービスラインナップ的にも)存在していく傾向の事を指します。ホテリングの法則などと呼ばれることもあります。

例えば、秋葉原のような電気街や神田神保町の古書街といった風に、一つの業種がある特定の街に集まることがあります。

また、家電製品であっても、競合同士が同じような機能、同じような価格の製品をあえて販売するといった事も発生します。

(冷蔵庫とか、電子レンジとかは、どのメーカの製品であっても同じような機能、同じようなデザイン、同じような価格帯ですよね?)

このような現象は、「競争相手に近づく(物理的にも・サービス的にも)事によって相手のお客を奪う事ができる」といった現象か説明できるのです。
  • どういう事?
さて、イマイチ説明になっていないですよね?どうして競合と近づくことによって顧客が奪えるのでしょうか?

それを説明するため、海の家について考えてみます。

ある海水浴場に海の家が2店舗あったとします。別に特別に焼きそばが美味しいわけでもなければ、アイスクリームもラーメンも普通のモノが置いてある海の家です。

このような場合、顧客が海の家を選択する理由として何が一番大きいでしょうか?同じような商品を同じような売り方をしているわけですから、商品は選択基準にはなりえないですよね?

それでは価格でしょうか?確かに価格で差を付ければ安い方が顧客を集めそうです。しかし、みなさんもご存じのとおり海の家の商品価格はどこも同じような価格となっています。

(このようなお店は、基本的に仕入れてきて、売るだけですから原価はほぼ同じだと考えられます。とすると、取りたい粗利もほぼ一緒でしょうから値段もほぼ一緒になるんですね。)

こういった状況で一番モノを言う要素はズバリ距離になります。

同じようなモノをワザワザ遠くまで歩いて行って買わないですよね?近くで買えればそれでいいはずです。
  • 距離が顧客獲得の大きな要素なら
さて、距離が顧客獲得の大きな要素ならどのようになるでしょうか?

例えば、海の家が二つしかない海岸であれば、より中央に寄った方が顧客を獲得することができます。

【もともとの位置】
==A店===|===B店==

【A店が中央に寄った場合】
====A店==|==B店==

上のような単純な図で考えてみると、A店はA店よりも左側の顧客を総取りでそのうえ、B店側の顧客を奪う事に成功しています。(何と言っても近いか遠いしか顧客にとっては重要ではないのですから。)

でも、B店もこのまま黙っている訳にはいきません。この後B店が採る戦術としては、B店も中央に寄るという事です。(商品の質を改良し差別化するという選択肢はココでは考えません。)

【B店も中央に寄った場合】
====A店=|=B店====

この結果、最初と同じ顧客数をお互いに分け合う事となります。(左側と右側の顧客にとってはお店が中央に集まったため不便な海水浴場となりました。)

このように、お互いに競合するお店があえて近くに存在していく傾向をホテリング効果と呼ぶのです。
経済学
2015年2月17日

売り手市場 | 売り手がわの立場が強くなる状況の事を言います

売り手市場
売り手市場とは、市場で取引されている売り物が需要に対し相対的に不足しているため、売り手側にとって有利な状況になっていることを示す言葉です。

例えば、あなたが持っている時計をネットで販売しようとした時を考えます。

このような時に、買いたいとのオファーが殺到したならば、その中で有利な条件を探すことができますよね?特に個人的な恩や思い入れが無ければ、条件の悪い相手にワザワザ売ったりはしないはずです。

このように、売り物(供給)にたいして買い手(需要)が多ければ、売り手側の方が有利となるのです。

(最終的には、「そんなに有利なら、売り手として参入しようか」といった風に、売り手側が増えて売り手の有利さは解消されます。この辺は経済学の需要と供給が均衡するといったお話ですね。)
  • 人事用語としての売り手市場
さて、以上が一般的な売り手市場についての説明でしたが、人事用語、特に新卒の就活に対して売り手市場と言われる事があります。この場合の売り手は学生さん(労働力の売り手)、買い手は企業側(労働力の買い手)になります。

というのは、新卒の就活はどれだけ企業側の需要が増えても供給が増えることは基本的にはありませんし、どれだけ企業が採用を絞っても、供給が減ることがないので、売り手市場や買い手市場になりやすいのです。

(需要が多いから前倒しで学校を卒業しようとか、需要が少ないから学校の卒業を控えようといった事はあまりないですよね?(全体の一部は進学といった行為で調整されます))

という事は、供給は常にほぼ一定で需要のみが増減する。つまり、売り手市場や買い手市場は就活生には何の責任のない外部的な事象なのです。

関連用語
買い手市場
経済学
2015年2月12日

インバウンド消費 | 外国の人が来日して消費してくれると経済効果があるのです

インバウンド消費
インバウンド消費とは、来日した外国人が日本国内で行う消費活動のことを言います。インバウンドが外国人が来日することを指し占める言葉なので、来日した人の消費活動といった意味になるのですね。

例えば、トルコやタイの人が来日して何かを買って行ったような場合をインバウンド消費というのです。また、中国の人が来日して高級品を買ったり(銀座とかに行くとビックリするくらいいろんな国の人が歩いていますよね?)するようなイメージです。

現在では、国を挙げて外国人観光客を呼びましょうと取り組んでいる事もあり、非常に訪日外国人の人が増えています。

そのため、訪日してくれた外国の人の消費活動が脚光を浴びているのですね。
  • 優遇措置も
このように、脚光を浴びているインバウンド消費ですが、外国人が日本国内でモノを購入するような場合では、日本人がモノを購入する際に当然かかるアレがかからないといった優遇措置も行われています。

日本人にとって日常となってしまっているため、今更意識する人はあまり多くないと思いますが、アレがかからないと非常にお得ですよね。

と、この説明でピンときた方いらっしゃいますか?

実は、あれとは消費税の事を指しています。つまり、訪日観光客は消費税が免税となるため、日本人よりも安く商品を購入することができます。

「ずるいなぁ…」と感じる方もいるかもしれませんが、観光客が国内でモノを購入しても、実際に消費するのは海外となる(はず)なので、輸出といった考え方になるのです。

そして、消費税は国内で消費されたものにかかる税金ですので(だから輸入商品のオリーブオイルとかを買っても消費税がかかるのです)、輸出扱いなら消費税はかからないのです。
経済学
2015年1月22日

ヴェブレン効果 | 高い方がモノの効用が高まるという考え方があります

ヴェブレン効果
ヴェブレン効果とは、高いモノであればあるほど、モノ自体の効用が高まるという効果のことを言います。英語ではVeblen Effectsと表記されます。

さて、ここで言う効用ですが、使用した際の『使用価値』ではなく、使用した人が感じる満足度の事を示します。

例えば、ペンを考えてみましょう。100円のペンも、5万円する高級ペンも、文字を書くという使用価値にはそれほど差がありません。(どちらも本質的には文字を書く道具であり、その機能は100円のペンでも十分に満たします。)

しかし、100円のペンを5万円のペンでは使用した人が感じる満足度には差がありそうですよね?

もちろん、すごく差を感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいるかもしれません。しかし、いずれにしても満足度に多少の差は感じるはずです。

逆に言うと5万円のペンは、5万円であるという所に価値があり、逆にそれが1000円に値下げされてしまっては、価値が損なわれてしまうのです。

なんだか、誇示的消費といった内容に近い言葉ですね。また、こういった価格の付け方は心理的価格政策でいう所の威光価格と呼ばれるものです。(参考:価格のシグナル効果
  • 歴史について
さて、このような効果が提唱されたのはアメリカ、それもアメリカの景気が非常によく見せびらかすために消費を行うような人たちが多くいた時代の事です。

この時代、幸運にも富を得た人たちは、自らの経済力を誇示するためにあえて値段の高いものを買い求めました。

そして、このような消費行動を説明するためにアメリカの学者さんであったヴェブレン氏(Thorstein Veblen)が提唱した理論なのです。そうなのです、人の名前なんですね。

(日本人が仮にこのような効果について提唱していたら、山田効果とか、岡崎効果、伊集院効果といった風に呼ばれていたのかもしれませんね。)

関連用語
スノッブ効果 

原典に当たりたいという熱心な方のために
 
経済学
2015年1月13日

スノッブ効果 | 人と同じモノを持つなんて嫌だという心理から生まれる効果です

スノッブ効果
スノッブ効果とは、手に入りにくいモノほど余計に欲しくなり、逆に、みんなが簡単に手に入るモノはあまり欲しくないという現象のことを指します。英語ではSnob Effectsと表記されます。

「みんなが持っていないから欲しい。」とか「なかなか手に入らないから、たまたま見かけた時に衝動買いする」といった風に、モノそれ自体が持っている『使用価値』以上に希少であるといった事に価値を感じるといった心理です。(意味的消費記号的消費誇示的消費に近い考え方かもしれませんね。)

さて、このスノッブ効果は端的に言うと、「自分は他人とは違う」という事を示したいという心理から生まれるのです。その結果、そのモノを消費している人が増えれば増えるほど、自分がそのモノを消費した際に得られる満足が減少するといった結果をもたらします。

「他人と同じモノは嫌。他人が持っていたり使っていないモノを所有したり使いたい!」と言った事を、みなさんも経験したことがあると思います。このような感覚をちょっと硬く言うと上のような説明になるのですね。
  • 具体的には
さて、具体的にどのようなことなのでしょうか?例えば、豪華な夕食が食べられるくらいの金額を費やして、ちょっと高級なペンをあなたが購入したとします。

このとき、隣の席の同僚やクラスメートが同じものを使っていたら少しがっかりしてしまいますよね。

逆に、周りを見回して誰もそういったモノを持っていなかったら満足感が高まると思いませんか?(ちょっと嫌らしい心理ですね。まあ、スノッブという言葉自体に「知識・教養をひけらかす嫌な奴」といったニュアンスがありますからね。)

また、ある画期的な商品が発売された際には嬉しくて持ち歩いていたにもかかわらず、みんなが使うようになると、かっこ悪いような気がして、使わなくなるといった感じも近いかもしれませんね。

ただ、決してそのように感じる人が天邪鬼なのではなく、個性を出したいと願う自然な心の動きであると考えられます。

関連用語
経済学
2015年1月6日

労働分配率 | 賃上げを要求するときには良く聞くキーワードですが、景気が悪くなると必然的に上昇します

労働分配率
労働分配率とは、企業が生み出した付加価値のうち、どれだけを労働者に還元したか、すなわち『労働』者に『分配』した『率』を表す言葉です。

この労働分配率は以下の計算式で求められます。

労働分配率=人件費÷付加価値額×100%

もっとも、この付加価値の計算がくせ者です。この付加価値の考え方はコチラで詳しく解説しているのですが、『企業などが活動した結果、生み出された価値のことを言います。言い換えると、外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値のこと』を付加価値と言うのですが、これをまずしっかりと求めない事には労働分配率の計算はできないのです。
  • 労働分配率を実際に計算してみよう
さて、労働分配率を具体的に計算してみたいと思います。ある企業が100万円の付加価値を稼ぎ出したとします。

そして、この企業の人件費は80万円だったとします。

この場合、労働分配率は

労働分配率=80万円÷100万円×100
労働分配率=80%

となります。

なお、付加価値の額の中には以下のように必ず人件費が含まれている事も指摘しておきます。(日銀方式)

付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
  • 労働分配率を人件費の指標に用いるケースもあります

さて、この労働分配率を人件費の指標に使うという考え方があります。企業が生み出した付加価値のうち○%を人件費として従業員に分配するといった考え方ですね。

この場合、不況期や自社の業績が悪化した場合、分母となる付加価値額が低下することが考えられます。

この結果、労働分配率が向上するので、あらかじめ決めてある労働分配率に戻そうとした場合、人件費を減らすという意思決定になるのです。

但し、人件費といった給与は動機づけ要因・衛生要因という理論では、衛生要因に位置付けられ、満たされないと不満の要因となるが、非常に多くなっても満足をあまり高めないとされています。

このため、単純に人件費を単純に削ると、従業員の士気が下がりさらに業績が悪くなるという悪循環に陥る可能性があります。
経済学
2015年1月5日

資本取引(経済) | 国際的な資本の流れを示す言葉です。同じ言葉で企業会計用語もあります。

資本取引(経済)
資本取引(経済)とは、外国との金融取引を示す言葉で、モノやサービスを媒介とせず、直接に資本のみが動くことを指します。

通常の貿易では、モノやサービスを売り買いすることによってその対価としてお金(資本)が動きます。しかし、資本取引の場合、こういったモノやサービスの対価としてお金を動かすのではなく、直接お金のやり取りをするという事です。

例えば、外国の人と株式や社債などの金融証券を売り買いしたりするものとなります。

この場合、別に財(モノ)やサービスの対価としてお金をやり取りしているわけでなく、単に資本をやり取りしているだけなので、資本の取引(資本取引)としているのですね。
 
また、株式や社債などをやり取りするだけでなく、金融派生商品を用いた取引や、現金の預金、貸付等も含まれます。これから成長が見込める国の企業の株式を購入する、高利回りが見込める債権を購入するといった投資行動をマクロでみると資本取引に分類されるのですね。

なお、このまんがにもあるように、資本取引という言葉は会計でも使います。それはコチラ(資本取引 企業会計)を参照してくださいね。

経済学
2014年8月7日

マキシミン戦略 | 失敗しても最大の利益が確保できるような選択をするのです

マキシミン戦略
マクシミン戦略とは、ゲーム理論の考え方の一つで、最悪の場合の得られる利得が一番大きくなるモノを選択するという考え方です。英語ではmaximin principleと表記されます。

「よく分からないよ」という声が聞こえてきそうな説明ですね。そのため、例を出して説明します。

例えば、某駅前に『田中堂』と『鈴木ベーカリー』というパン屋さんが並んで営業していたとします。あなたはその2件のうちの『田中堂』の店主です。

今、商工会から『暑気払い売り出しセール』の実施を提案されています。『鈴木ベーカリー』がこのセールに参加するか否かによって『田中堂』の売上が左右されるような状態のとき、セールに参加するか否かを決めます。(相手の出方次第で利得の額が変わるという事ですね。)

さて、『田中堂』が採れる方法は【参加する】か【参加しない】の二通りです。この2つの選択肢を『最悪の場合に最大の利得が獲得できる』という視点で選択するという事です。なお、利益の額はゼロサムゲームであるとします。

【参加する】場合
【参加する】場合、『鈴木ベーカリー』が参加する、参加しないと意思決定した場合それぞれ、0単位の追加の儲け、4単位の追加の儲けになるとします。

【参加しない】場合
【参加しない】場合も同様に、-5単位の追加の儲け、2単位の追加の儲けとなるとします。

これを整理すると以下の図表のようになります。
マキシミン

このような場合【参加しない】方が、最大の儲けは5で大きくなりますが、『最悪の時に最高の結果を』といった視点だと、【参加する】方を選べば最悪でも、0単位の追加の儲けが確実なのでこちらを選択します。

このように、「最悪でも0単位儲かる方がいいよね」という発想ですからリスクを取らずに確実に儲けていくという手堅い戦略であると考えることができます。

関連用語
ミニマックス戦略
経済学
2014年8月7日

ミニマックス戦略 | 一番損失の可能性が少なくなる案を採用するという戦略です

ミニマックス戦略
ミニマックス戦略とは、ゲーム理論の考え方の一つで、最悪の場合の損失が一番少なくなるモノを選択するという考え方です。英語ではmini-max starategyと表記されます。

さて、この考え方は最悪の場合に被るダメージが最小になるという考え方ですから、非常に手堅い方法になります。

例えば、相手の出方次第で投資の成否が決まるような案件があったとします。この案件はゼロサムゲーム(つまり相手が損した分を自分が獲得できる)というものだとします。

この時、A案を選んだ時、相手もA案を選べば3単位の損失、相手がB案を選んだ場合1単位の利得、B案を選んだ場合、相手がA案を選んだ場合2単位の利得、相手もB案を選んだ場合1単位の損失という投資案件があったとします。

まとめると以下の図になります。
ミニマックス

この場合、ミニマックス戦略に従うと「最悪の場合(失敗した時)に被るダメージが一番少なく(損失が少ない)という事」ですから、B案の1単位の損失の可能性の方がマシと考えるのです。

また、十分に相手が賢いという前提があるのならば、相手はB案を選びます。相手の立場に立つと、一番損失が少なくなるのはB案の-1ですからね。

すると、この投資案件は双方ともB案を採用するという所に落ち着くはずなのです。

似た言葉の『マクシミン戦略』は最悪の場合の利得を最大にするという発想なので、こちらは利得に目を向けていると考えることができますね。 

なお、このまんがのメガネ君はミニマックス戦略に従った場合、謝罪することを選択するはずです。冤罪だと言っているので理不尽ですが被害が一番少なくなる合理的な選択なのかもしれませんね。
経済学
2014年8月4日

ゲーム理論 | 相手の出方を読んで自分の行動を決めましょうという理論です

ゲーム理論
ゲーム理論とは、自分が他者の意思決定の影響を受け、また自分の意思決定が他社に影響を与えるような状況においてどのように振る舞うべきかを考える理論のことを言います。
 
正確さを犠牲にしてあえて簡単に言い換えると『駆け引き』について考えましょうという理論です。

ココであえて『駆け引き』という言葉を使いましたが、現実にはこの駆け引きが必要な場面が多くあります。

例えば、同じような商品を販売している小売業、AショップとBストアが並んでお店を営んでいたとします。どちらのお店も特に競合している別のお店と協力関係を結んでいませんし、また自社の利益を最大化したいと考えていたとします。

この時、相手の出方を読みつつ自社はどのような方策を取るのが望ましいのかを考えるのです。それぞれの行動による結果は以下の4通りが考えられます。
  • パターン1、2:どちらかのお店が抜け駆けして安売りをはじめた場合。
安売りをした方のお店は大きく儲かり、安売りをしなかった方のお店は壊滅的な打撃を被るとします。
  • パターン3:双方のお店が安売りを始めてしまった場合。
適正な利潤が確保できなくなり、双方ともあまり儲からなくなって苦しい立場に追いやられるとします。
  • パターン4:双方のお店が現状のままの価格水準でいた場合
大儲けはできないまでも、双方ともそれなりに儲かるとします。

このような時に、「あなたのお店は安売りをすべきですか?」といった事を考える理論がゲーム理論です。

今回の例は有名な『囚人のジレンマ』というお話を元に作っています。このような場合、双方とも協力して現状のままの価格水準でいる『パターン4』が最適解なのですが、自社が壊滅的な打撃を被る『パターン1や2』を恐れ、抜け駆けしようとして安売りを始める『パターン3』の双方とも安売りを始める事になると言われています。

このまんがでも、自白してしまっています。 

関連用語
ミニマックス戦略
マキシミン戦略
経済学
2014年7月16日

人口オーナス | 人口構成が経済の重荷になることもあります

人口オーナス
人口オーナスとは、人口構成が経済成長の重荷(onus:オーナス)になっている状態を指す言葉です。具体的には従属人口指数が高い状態、すなわち、子どもや高齢者などの働き手ではない人たちの比率が高い状態を指します。

イメージとしては、いわゆる現役世代の人が少なく、子どもや高齢者を少ない働き手で支える必要がある状態になります。

このような状態となると「社会を支える人たちが少ないから、働いている人が沢山社会保障費を負担してね」といった状態となり、働く世代の可処分所得が減少します。

年金制度に支払うお金や健康保険にかかるお金、社会保障のための財源と称した税金がどんどん上がっていくような状況ですから、同じだけ稼いでいても自分が使えるお金はどんどん減っていってしまいますよね。

そして、可処分所得が減ってしまえばモノやサービスは売れにくくなりますし、国全体で見れば、経済成長に役立つようなインフラ投資などに税収を振り分けることが難しくなってしまいます。

従属人口指数が高くなると、このような現象が発生すると考えられるため、経済成長の重荷になってしまいそうですよね。

そして、このように人口構成が経済成長の重荷になるような状態を人口ボーナスの逆、人口オーナスと呼ぶのです。
経済学
2014年7月15日

人口ボーナス | 働き手が多いと経済発展しやすいという考え方です

人口ボーナス
人口ボーナスとは人口構成が経済成長にとって都合の良い状態のことを言います。具体的には、従属人口指数が低い、すなわち、子どもや高齢者などの働き手ではない人たちの比率が低い状態を指します。

いわゆる現役世代が多く、子どもや高齢者を支える人たちが多ければ「社会を支える人たちが多いから、一人あたりの負担は少なくて済むよね。」といった状態となるため、働く世代の可処分所得が増加します。

すると、働く世代が使えるお金が増えるわけですからモノやサービスの売れ行きも良くなります。この結果、経済成長に結びつきやすくなるという事が言えるのです。

また、社会を支えるために使われる教育や医療、年金制度に必要とされる費用も少なくなります。(年少者が少なければ教育のための費用が、高齢者が少なければ医療費や年金支給額が少なくなりますよね。)

この結果、国全体では税収をインフラ投資などに振り向けることができるため、この面でも経済成長に有利となります。

このように、人口構成が経済成長に都合の良いような状態を、ボーナスに例えて『人口ボーナス』と呼ぶのです。

もっとも、経済成長は人口構成のみではなく、技術水準の向上や、知恵や知識の蓄積による生産性の向上といった要因でももたらされます。

そのため人口ボーナスがすべてではないという点に注意が必要です。

関連用語
人口オーナス
経済学
2014年7月14日

従属人口指数 | 「現役世代何人で働けない世代を支えるか」という指標の事です

従属人口指数
従属人口指数とは15歳未満の年少者と65歳以上の年長者の人口が、生産年齢人口年齢に対して占める比率のことを言います。英語ではage dependency ratioと表記されます。
 
15歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口を、従属人口(働き手ではない人たち)と考え、働き手に対する比率を考えようという指標です。

よくマスメディアなどで言われる「このまま高齢社会が進展すると、高齢者を現役世代○人で支える必要がある…」という発想に、年少者を加えた考え方です。

発想としては「働き手何人で働き手でない人を支える必要があるか?」といった事を考えるための指標なのですね。

この従属人口指数を求める計算式は

【従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100%】

となります。分子に従属人口(年少人口+老年人口)をとり、分母に生産年齢人口をとるという、定義通りの計算式ですね。
  • とはいえ…
従属人口指数が増加していくと、現役世代一人あたりの負担が重くなり、経済成長についてはマイナスの効果になると言われています。

生産年齢人口が多くなることによって発生する人口ボーナスの逆、人口オーナス(onus:重荷)の原因になると言われています。

もちろん、年少者の労働は『児童労働』等の問題があり、規制をしっかりする必要があると考えられます。この意味で一括りに従属人口として捉えてしまって良いと思われます。
 
しかし、年長者は老年人口と一括りにして従属人口として捉えるのではなく、年長者の知恵や経験をうまく生かすような社会にしていければ、見かけの従属人口指数と実態が変わってくるかもしれませんね。
経済学
2014年6月3日

付加価値 | 差し引いたり積み上げたりして計算します

付加価値
付加価値とは、企業などが活動した結果、生み出された価値のことを言います。言い換えると、外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値のことを言います。英語ではadded valueと表記されます。付け加えられた価値といった意味ですね。
  • 付け加えられた価値って?
さて、製造業を例にして、企業が活動したことによって付け加えられた価値について考えていきたいと思います。モノを作る訳ですから理解しやすいと思います。

あるパン工場が小麦粉と勤勉な従業員の努力でパンを作っています。また、少しだけ外注もしているとします。

そして、このパン工場は一年間の活動の結果、200万円の売上を上げたとします。この際、小麦粉を50万円、外注費を10万円、人件費を50万円、減価償却費を50万円が発生したとします。(期首期末とも在庫は無かったし、作るそばから売れたものとします。)


すると、次のような経営成績となったわけですね。


売上高 200万円
売上原価 110万円
販売費及び一般管理費 50万円
営業利益 40万円
経常利益 40万円
税引前当時純利益 40万円
法人税等 16万円
当期純利益 24万円

(製造原価)
材料費 50万円
労務費 50万円
経費 10万円

※在庫が無く作るそばから売れたので、製造原価=売上原価となっています。

では、この数字をもとにパン工場が生み出した付加価値について考えてみましょう。
  • 付加価値は最終的な利益の24万円?
まずは、利益の額を考えてみましょう。この金額はなんとなく付加価値と言ってもよさそうな気がしますよね?企業が活動した結果生み出された価値ですから、最終的な利益はぴったりとくるような気がします。

しかし、そう考えるならば、従業員さんのお給料はどこから出たのでしょうか?付加価値とは、『外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値』の事ですから、従業員さんのお給料も引いている最終的な利益では少なそうですよね?
  • 差し引いて考えよう(中小企業庁方式)
それでは、従業員さんのお給料も含めて付加価値を計算するためにはどうしたらよいでしょうか?それは、売上高から外から買ってきた費用を差し引いてみればよいのです。

上の例では、

付加価値=売上高-(材料費+外注費)

で計算しますので、

付加価値=200万円-(50万円+10万円)=140万円

となります。この企業が活動した結果、140万円の付加価値が生まれ、そのうち50万円を従業員に分配したと考えるのですね。
  • 積み上げてもいいよ(日銀方式)
さて、同じことを売上高から差し引くのではなく、積み上げ計算でも求めることができます。こちらは以下のような計算式となります。

付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費

付加価値=40万円+50万円+0+0+0+50万円=140万円

となります。こちらの方だと、明示的に人件費を足していますね。

経済学
2014年5月22日

対外純資産 | 外国に持っているプラスの財産が多い状態です

対外純資産
対外純資産とはある国が海外に保有している債権(資産ですね)から、海外への債務(借金)を差し引いたモノを言います。

イメージとしては、企業会計に出てくる貸借対照表自己資産(純資産)といった感じです。

海外にいずれ返さなくてはいけない債務から、海外からいずれ回収できるお金を差し引いた値を対外純資産というので、この数値がプラスになっているという事はある国が外国に持っている財産がプラスであると考えても良いと思います。
  • 利子や配当を受け取れます
さて、海外からお金を借りていたらどうなるでしょうか?タダでお金を貸してくれる人はいないというのは、個人レベルでも国レベルでも同じなので当然利息を支払う必要がありますよね?

また、海外から投資を受けていたらどうなるでしょうか?こちらもタダで投資する人はいないので当然、利益の一部を配当という形で投資家に還元する必要が出てきます。

このように、海外からお金を借りていたり投資を受けていたらお金が出ていきます。(もちろん海外から資金を導入すれば経済が成長するという面も大きいのですが、その対価は支払う必要があります。)

そして、海外へお金を貸していたり、投資を行っていれば上の例の逆にお金を受け取ることができるのです。

ちなみに我が国は2014年時点で世界最大の対外純資産を保有していると言われています。
経済学
2014年5月21日

中所得国の罠 | 順調に経済発展をしていても高所得国になるには壁があるのです

中所得国の罠
中所得国の罠とはある国の経済が発展していわゆる中所得国水準になったものの、そこで停滞してしまい高所得国水準にたどり着けない状況を指す言葉です。英語ではmiddle income trapなどと表記されます。

所得水準が低い国が、自国の低廉な労働力や天然資源を活用して急激に経済発展を実現し、その結果中所得国の仲間入りするという事はいろんな国で起こっています。しかし、その経済発展の勢いを持続させ、そのまま高所得国水準まで至る国は少ないのが現状です。
 
というのも、低廉な労働力を活用して製造拠点として発展していたとしても、ある一定のところで労働コストの低い人材の供給は枯渇し、賃金水準は上昇に転じます。(参考:ルイスの転換点

その結果、中所得国水準までたどり着いた国はいつまでも低廉な労働力に頼ることはできなくなります。(国民の生活水準は向上するので良い事なのですが、低い賃金水準という強みは失われていきます。)

このような状況に陥った時に、自国の賃金水準の低さが主な優位性であった場合、なかなか従来のようなペースの経済発展を持続させることは難しくなります。(投資をしてくれていた企業などが「もっと人件費の安い国でモノを作ればいいや…」といった風に考えてしまいますからね。)

この中所得国の罠から抜け出すためには、人件費が高くとも、内需が大きいとか、先進的な技術を開発しているといった、持続的に経済発展するような仕組みを作っていく必要があるのです。
経済学
2014年5月16日

資本生産性 | 投入した資本の効率性を見る指標です

資本生産性
資本生産性とは、事業などに投下した資本の効率性を示す言葉で、資本の投入量と成果の産出量の比率を示す言葉です。英語ではCapial Productivityと表記されます。

この資本生産性とは投入した資本の効率を見るという指標です。一般的に機械や設備を導入すれば産出量は増加しますよね。

例えば、手作業でおまんじゅうを丸めている工場よりも、機械で製造している工場の方が産出量は多くなると思います。

では、機械を導入して製造している工場同士を比べようと考えたときはどうしたらよいでしょうか?

こういった場合に役に立つ指標がこの資本生産性です。
  • 資本という資源に着目した生産性指標です
さて、この資本生産性は

【資本生産性 =産出量(付加価値)÷総資本】

といった計算式で算出されます。この式からわかる通り、投入した資本一単位当たりの産出量を求める指標なのですね。

そのため、異なる企業であっても投入した資本が有効に使われているかを比較することができるのです。

例えば、A社は100万円の機械を使って500万円の付加価値を生み出し、B社は50万円の機械を使って300万円の付加価値を生み出していたとします。

この場合、A社よりB社の方が資本生産性が大きくなるのでB社の方がより資本という希少な資源をより有効に活用できていると考えることができるのです。

関連用語
労働生産性
経済学
2014年5月15日

労働生産性 | 労働時間という切り口の生産性です

労働生産性
労働生産性とは、労働力の効率を示す言葉で、労働力の投入量と産出量の比率を示す言葉です。英語ではlabor productivityと表記されます。

生産性という資源の投入量と産出量の比率を指す言葉に労働とついているので、労働力という資源に着目した生産性の指標であるという事ができます。
  • 従業員数や労働時間数で算出します
さて、労働力と一言で言っても、従業員の数や投入した労働時間などといった切り口があります。従業員一人当たりでどれだけのアウトプットを出したか、といった従業員一人あたりの切り口や、一時間当たりどのくらいのアウトプットを出したかという労働時間当たりの切り口です。

例えば、従業員の数という切り口で見る場合、従業員一人あたりの生産性といった指標となるので

【労働生産性=産出量(付加価値)÷従業員数】

といった計算式で求められます。

また、労働時間という切り口で見る場合は

【労働生産性=産出量(付加価値)÷総労働時間】

となります。

これらの違いは、分母側の指標が従業員数や労働時間になるんですね。 
  • 労働生産性を向上させるためには
さて、労働生産性は産出量を投入量で割るといった単純な式で求められる指標なので、この指標を向上させる方法も原理としては単純になります。

すなわち、分子となる産出量(付加価値)を増やすか、分母となる投入量(この場合従業員数や労働時間ですね)を減らすのです。

付加価値を増やしたり、労働時間数を減らして労働生産性を向上させるという方法ならば、生産性が向上しているという事が出来ると思いますが、従業員数を減らすと言い始めたら要注意です。

従業員数という指標を用いる際には、従業員の勤務時間は計算式に入ってきません。そのため、従業員が長く働けば働くほど生産性が上がっているかのように見えてしまいます。(一時間の仕事の成果より二時間の仕事の成果の方が、成果の総量は多くなりますよね?)

この場合、長時間仕事を行えば従業員一人あたりの労働生産性は増えてきます。(3時間働く従業員も、8時間、12時間働く従業員もカウントとしては1人ですからね)

但し、収穫逓減の法則といった言葉もあるように、度を越した長時間労働は生産性を下げてしまいます。(この場合、労働時間当たりの生産性という意味ですね。)

「労働生産性を上げよう」という掛け声がかかった際には、従業員一人当たりなのか、1時間当たりなのかを確認した方が良いというわけですね。

※労働生産性を上げるためにはFAなどを実施し、労働資源の投入量を減らすというアプローチもありますが、この場合資本生産性(投入した資本に対する付加価値額の量)は低下してしまいます。

経済学
2014年5月2日

生産性 | 生産性とは投入量と産出量の比率を示す言葉です

生産性
生産性とは資源の投入量と産出量の比率の事を指し示す言葉です。英語ではproductivityと表記されます。

○○は生産性が高いとか、生産性が低いといった事が言われたりしますよね?良く使う言葉の割には、イマイチちゃんとした意味が分からないかもしれませんが、生産性という言葉は、投入した資源に対して産出量の比率が多い・少ないを指す言葉なのです。

そう考えていくと、生産性が高い方が望ましいとされる理由がわかってくるかと思います。というのは、同じ資源の量でより多くのモノが生み出せるのは良い事ですよね?また、同じ量のモノを生み出すのであれば、投入する資源は少ない方が望ましいですよね?

この事をパンを作っている2つの工場を例に考えてみたいと思います。

千葉工場では10個のパンを5人のパン職人さんが作ったとします。この時、パン職人さん1人当たり幾つのパンを生産できたかという指標が生産性になります。

この場合の生産性は、【10÷5=2】で1人のパン職人さんあたり、2個のパンが生産できた事になります。

埼玉工場では同じ10個のパンをパン職人さん2人分の労働力で作れるならば、こちらの工場の生産性は、【10÷2=5】で1人のパン職人さんあたり、5個のパンが生産できた事になります。

この場合、後から出てきた埼玉工場の方が望ましいと考えられますよね。(このように労働力という切り口で生産性を求める場合、労働生産性と言います。)
  • 様々な生産性
さて、生産性とは産出量を資源の投入量で割ったものですので様々な切り口が考えられます。

上で挙げたような、労働力という資源に着目した労働生産性、資本という資源に着目した資本生産性といったように、様々な生産性を指標として考えることができます。

そして、様々な切り口が考えられるので単に生産性を向上させるという時は注意が必要です。

上の例では、労働生産性が埼玉工場は千葉工場よりも良いのですが、実は埼玉工場は莫大な費用をかけて最新鋭の機械を導入しているために労働生産性が良かったとしたらどうでしょうか?

その機械は莫大な費用をかけて導入しているため、資本という資源に着目すると千葉工場の方が生産性が上かもしれません。

このように、どの生産性を向上させたいのかによって取りうる方策が変わってくるケースがあります。
経済学
2014年3月11日

価格の下方硬直性 | 値段が下がらないという供給側にとってはうれしい現象があります

価格の下方硬直性
価格の下方硬直性とは、市場で形成される価格が需給を反映せずに下がりにくくなるという現象を指す言葉です。

自由に競争している市場で、財が特に差別化されていないような場合であれば、価格は需要と供給によって決定されていきます。これは、みんなが欲しがっているけど、供給が足りないものの価格は上がり、需要と比較して供給が多いようなモノの価格は下がるという分かりやすい決定方法です。

そして、このような価格決定のメカニズムが資源の効率的な配分を実現するとされています。いわゆる『神の見えざる手』というやつですね。

逆に言うと、自社の作っている商品やサービスが「どこのモノを購入しても同じ」という状態になってしまうと、需要と供給のみで価格が決定する世界で戦う事となり、企業としては苦しくなってしまいます。

これを避けるために、企業は必死になって差別化できるような製品やサービスを作り出しているのです。自社しか供給できないようなモノであれば、価格競争をする必要がありませんからね。(このように差別化要素がなくなってしまうような事をコモディティ化と言います。)
  • あまり変わらないけど価格が下がらない場合もあります
でも、世の中には差別化の有無にかかわらず価格がなかなか下がらないようなモノが存在します。どう考えても供給は十分で、どこの供給元のモノを使っても同じようなモノなのに、価格がいつまでも下がらないといったケースです。

例えば、携帯電話の通信料などは、価格がほとんど下がらないですよね?でも、A社もD社もS社もそのほかの会社であっても、携帯電話に必要な通信という機能面では、ほとんど遜色ないと思います。

つまりどこの会社を選んでも極端に差がないハズなのです。それなのに、価格が下がっていきませんよね?

このように、供給元が数社という限られた状況では、価格は必ずしも需要と供給によって決定しません。このような現象を価格の下方硬直性と呼ぶのです。
経済学
2014年1月6日

完全雇用 | 現行の賃金水準で働くことを望む人が全員働ける状況のことを言います

完全雇用
完全雇用とは、働く意思や能力のある人が、現行の賃金水準で全員が雇用されているという状況のことを言います。

なんだか働きたい人はみんな働けているといったイメージの言葉ですよね。でも、完全雇用が達成されたとしても必ずしも失業率は0%とはならない事に注意が必要です。

「えっ、完全雇用ってことは完全に雇用されているんですよね?」って思われる人もいるかもしれませんが、完全雇用とは、『働く意思や能力のある人』が『現行の賃金水準』で『雇用されている』という事です。

そのため、「イヤイヤ、自分はもう少し景気が良くなって、賃金水準がアップしてから働くよ。」なんて人達がいても、完全雇用には変わりがありません。(この種の人たちは雇用される事を選ぶことができるにもかかわらず自発的に失業しているわけですから自発的失業と呼ばれる状態です。)

また、労働力への需要が十分あったとしても、その労働力の需要があることを知らないといったケースも考えられます。

イメージとしては、「隣の事業所で君の希望の条件での求人があったよ。あれ、知らなかった?だったら早速応募した方がいいよ。」といった感じですね。(こちらは摩擦的失業と言われる状態です。)

このように、必ずしも全員が働いているわけではないので失業率≠0%であるという事には注意が必要です。

但し、雇用の需要が不足しているために、現行の賃金水準では働きたくとも働けないといった非自発的失業といった状態に置かれる人たちは、この完全雇用の状態では存在しないという状況のことを言います。
経済学
2014年1月5日

インサイダー・アウトサイダー理論 | 中の人は外の人たちの都合はあまり考えません

インサイダーアウトサイダー理論
インサイダー・アウトサイダー理論とは、賃金の下方硬直性を説明するための一つの理論です。英語ではinsider outsider theoryと表記されます。

このインサイダー・アウトサイダー理論では、労働市場に参加する人たちを二通りに分けています。

一つは、既に雇用されている人たち(こちらは企業の中の人なのでインサイダーと呼びます)そして、もう一つのグループは現在雇用されておらず失業状態の人たち(こちらはインサイダーに対して、企業の外にいるのでアウトサイダーと呼ばれています)です。

さて、労働市場をこのように二通りの集団に分けて考えると何が言えるでしょうか?

それは、労働市場に参加している人たちは決して一枚岩ではないという事です。

例えば、あなたが現在企業内に雇用されているとします。そしてあなた達は正当な権利として十分に団結しており、経営側に対して賃金のベースアップや雇用の維持を交渉することができるとします。

このような条件において、景気が悪化し賃金水準が現行のままでは、新規雇用が抑えられ失業が発生する事が見込まれるとします。

さて、このような時にあなた達は経営側に「このままでは失業者が沢山出てしまうため、我々の定期昇給やベースアップを凍結してでも新規雇用を増やしてください。」などと交渉するでしょうか?

普通に考えると、そのような事はあり得ないですよね?
  • 労働組合の強い国だけのお話ではありません
さて、このような理論は、労働組合の力が我が国と比較して強い、欧州のような国々の失業率の高さを説明するために考えられた理論です。

すなわち、「労働市場では、労働者側にこのような利害の不一致が生じ、その結果、賃金の下方硬直性が生じる。その結果、賃金が不景気にもかかわらず下がらないため、相対的に労働力の価格が高くなる。そのため、労働力に対する需要が喚起されず非自発的失業が発生する。」といった感じです。

これに対して「ふーん、じゃあ我が国は労働組合の組織率も年々低下しているから、このような事は当てはまらないよね?」と言えるでしょうか?

でも、このインサイダーとアウトサイダーを正規雇用の人と非正規雇用の人に置き換えれば同じような事が言えると思います。 
経済学
2014年1月5日

賃金の下方硬直性 | 賃金は労働力への需要が減っても下がりにくいという特徴があります

賃金の下方硬直性
賃金の下方硬直性とは、景気の悪化などで労働力に対する需要が下がった際に、需要と供給の考え方からすると下がってしかるべき労働者の賃金が、なかなか下がらない状態の事を言います。

例えば、景気が悪くなってきて、企業の利潤が現在の人件費水準では確保しにくくなってきたらどうなるでしょうか?

このような状態の時に、労働市場について考えてみます。
  • 失業という問題は『神の見えざる手』が解消してくれるか
『神の見えざる手』という言葉に代表されるような古典的な捉え方で、労働市場で考える場合、次のような流れで失業が解消されると考えられます。

1.景気悪化に伴って企業側の【労働力】に対する需要が抑えられます。

2.すると、労働者が自分の【労働力】を販売しようと競争し、【労働力】の価格が低下します。

3.その結果、【労働力】の価格は適正になり、適正価格で働きたいと考えている人は全員雇用されます。

4.ゆえに時間がたてば失業の問題は解消される。(短期的には求人の情報などが行き渡らない場合があるので摩擦的失業が発生する余地はあります。)

※この場合、適正価格以上でないと働きたくない人は、『自発的』に失業している(自発的失業と言います)状態です。

といった感じです。

どうでしょう、この説明で、「なるほどね。失業なんか気にしなくてもそのうち解消するんだ…」という風に考えられるでしょうか?言い換えれば、本当に適正価格で働きたいと考えれば、長い目で見た場合、失業しなくて済むのでしょうか?
  • 賃金は下がらない
さて、昔の偉い先生方は上のように考えたのですが、現実には失業は発生し続けています。変ですよね?適正な賃金水準で働こうと思っているのに働けないなんて。(こういう状態を、上の自発的失業に対して非自発的失業と言います。)

この理由として「イヤイヤ、賃金は簡単には下がらないでしょう。また、景気が悪くなりました、ハイ賃金を下げましょうなんてわけにはいきませんよね?」という現実があるのです。

まず、労働者という労働力の供給側は生活を守るために団結することができます。そして、その団結の結果、最低賃金という法的な賃金の最低ラインを定めていますし、労働組合を通じて雇用や賃金水準を守らせることができます。

また、たとえ企業側が賃金水準の引き下げに成功しても、その結果、労働者の購買力が低下し、物価水準も低下すれば(デフレという現象ですね)実質的な賃金水準は引き下がりません。

このように、賃金はなかなか下がらないという現象が現実の世界にはあり、そのような事を賃金の下方硬直性と呼ぶのです。

関連用語
インサイダー・アウトサイダー理論
経済学
2014年1月4日

非自発的失業 | 高望みは決してしていないのだけれども、働きたくとも働けないという事もあり得ます

非自発的失業
非自発的失業とは、働きたいという意思があり、求めている待遇も労働市場の適正水準の賃金といった人が、働けないような状態を言います。

このような人々は、労働市場の適正水準の待遇を求めているにもかかわらず、労働力の需要が不足しているために失業状態に置かれていると考えることができます。

そして、そのような原因で失業しているため、「働く意思も、能力もあるこの人たちが働くことができないのは、働く場がないからであり、責任はこの人たちにはない」といった状況となります。

この種の人たちは、働く場があるにもかかわらず、自分の理想と合わないからと言って自発的に働かない自発的失業の人たちに対し、非自発的失業と呼ばれます。「働かない」と 「働けない」の違いですね。

そして、この種の失業が発生する原因の一つとして、賃金の下方硬直性があげられます。

関連用語
摩擦的失業
完全雇用
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