
痴漢冤罪保険といった保険がジャパン少額短期保険社より売り出されるそうです。その名もキャッチーな「痴漢冤罪ヘルプコール」。報道では、次のように弁護士にすぐに助けを求められる保険であるされています。
ジャパン少額短期保険(東京都千代田区、杉本尚士社長、03・3516・8550)は9日、電車などで痴漢に間違われた時に弁護士にすぐに助けを求めることができる弁護士保険を10日に発売すると発表した。事前に携帯電話やスマートフォンに利用画面を登録しておくと、緊急時にボタンを押すだけで対応可能な弁護士と連絡がとれる。2015年9月10日 日刊工業新聞実際に冤罪がどの程度発生しているかは定かではないですが、何かあっても、弁護士さんにつながるという心強さはあると思います。
- 弁護士に相談するというハードルを下げる事に価値があるのかもしれません
とすると、保険機能を切り離して、イザとなったら弁護士さんに相談できる会員制のサービスとか、アプリといったサービスも考えうるかもしれません。
もちろんスポット対応なので、弁護士費用は割高になるかもしれませんが、保険機能を抜いて同様のサービスを提供したら流行ると思いますよ。あとは、どこかのクレジットカード会社が付帯サービスで提供すると良いかもしれませんね。(JCBとかアメックス、ダイナースのプロパ―カードあたりなら持っている人の属性的にもウケると思います。)
- 怖いのは機会費用
この場合、機会費用(別の事をやっていたら得られていた最大の収益)が莫大なものとなるため、被害を防ぐための方策をみんなが必要としていると考えられるのです。(例えば、商談に行けずに取れるであろう売上を逃した、無断欠勤になってしまい会社を解雇された等、経済的にも社会的にも致命的なダメージが発生します)
また、冤罪といった物事の性質上、本人からすると、防ぎようがないといった面があります。
つまり、落ちたらかなり致命的なダメージを受ける可能性がある橋を命綱なしで歩いているような不安があるのですね。(普段は意識しないにしても、不安ですよね。)
その不安を和らげる方策が今回話題になっている保険になると考えられます。
- とはいえ
また、保険会社としても儲けなければならないという事情があるので
「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士保険」の保険料は月払いで590円、年払いで6400円。事件発生後48時間に発生した弁護士の相談料、接見費用も補償する。2015年9月10日 日刊工業新聞こういった年間6,400円といった価格設定になっているようです。しかし、逆に言うと年間1,000円とかでは保険会社が必要とする適正な利潤を得ることが難しいのでしょう。
とすると、割と多く利用されることを見積もっているのかもしれませんね。
ちなみに個人賠償責任保険という、マンションの水漏れや子供が自転車で人にけがをさせてしまったような場合に保証される保険があるのですが、こちらは保証上限を1億円としても、火災保険の特約などでつける場合には月数百円程度(300円くらいが多いです)で掛けることができます。
同社のプレスリリースでは
お客様が痴漢と間違われ逮捕されてしまうと、一瞬で社会的地位を失ってしまいます。初期段階での弁護活動がその後の人生を大きく左右するため、事件が起きた直後にお客様が弁護士と電話できるサービスが「痴漢冤罪ヘルプコール」です。
中略自動車を持たない人でも加入できるように、個人賠償責任保険の特約として開発しました。個人賠償責任保険は、自分が加害者になった際のリスクに備える保険ですが、弁護士費用保険は、自分が被害者になった際のリスクに備える保険です。
中略
補償内容・保険金額(詳細は別紙2参照):弁護士費用等保険金:最高300万円法律相談費用保険金:最高10万円個人賠償責任保険金:最高1000万円2015年9月9日 日経電子版プレスリリース
と謳っており、個人賠償責任保険を押さえて、その分弁護士保険に回しているように発表しています。とすると、加入者がまだまだ少ないといった所を割り引いても、結構な痴漢冤罪発生のリスクを保険会社は見積もっているのでしょう。
お守り代わりにとても良い保険だとは思いますが、根本としては痴漢も痴漢冤罪もなくなるような社会になると良いですね。
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