kuma

こんにちは。まんがで気軽に経営用語の中の人です。先日、行政書士試験を受けたいという方とお会いしてお話をしました。経営マンガの中の人は行政書士試験に独学で合格しており、そういった試験についての話をする資格があると思われたようでした。

学習の順番や、効果的な勉強方法。また、筆者の学習上での失敗談のお話をしたのですが、行政書士試験を受験される方にとっても一般的に有益な内容であると思われるので、少しこの場を借りて連載し共有していきたいと思います。

第一回目は『独学で苦労して行政書士試験に合格した筆者が見つけた、効率よく合格する方法』といった記事になります。

今回は総論とし、次回以降、各論に触れられればなぁと考えております。
  • 試験についての前に
さて、行政書士試験についてのまえに『行政書士さん』や『行政書士試験』に合格する事について筆者の感覚をお伝えしたいと思います。

巷では、「行政書士では食えない」とか「やっぱりもっと難易度の高い資格じゃないと」などと言う人もいます。しかし、このような事は資格を取得しようと志している人にとっては、雑音ですので気にしなくても良いと考えています。

「食えない」という意見についてはその通りで、(行政書士に限らず)どのような資格であれ、資格を取ったぐらいで安定して食えるなどと考えること自体が誤りであると思われます。

資格などは営業免許に近いもので、保健所に行って『飲食店営業許可』をもらってくるのと本質的に変わりがないのです。つまり、そのあとそのお店を繁盛店にするかどうかは店主の腕次第、才覚次第であって、取得の難易度が難しい資格であっても、ちゃんと需要に合った商品やサービスを提供できなければそれ自体に意味は無いのです。

また、少数の例外(と考えられる事象)を挙げても反証にならないことは十分に承知していますが、筆者の知り合いの行政書士さんは、ニッチな分野に絞って活動しているのですが、非常に大きく稼いでいます。(某社の最上級カードなども保持されているみたいです)

要は取得した資格(営業許可)をどう使うかなのだと思いますよ。

また、食える食えないは別として、それでも資格取得には意義があると感じます。というのは、ある分野を体系的に学ぶと、他の分野にも応用が利きますし、もしあなたがお勤めであるのならば、一芸に秀でた人材は重宝されますし、『イザという時』が一応想定できるので心理的にすごく楽になるはずです。
  • 行政書士試験の合格率はかなり低めです
さて、話を戻しますが、最初に指摘しておきたいところは、行政書士試験は確かに合格率がかなり低い試験です。(筆者が合格した平成24年度試験の合格率は9%程度でした)

しかし、ちゃんと勉強した人にとっての実質的な合格率はそんなには低くないという事も指摘できます。というのは、資格試験全般に言える事ですが、行政書士試験にも一定数は記念受験組というか、学習が不十分な状態で受験をする層がいます。

「せっかく受験料を支払ったんだから受けなければもったいない」といったサンクコストに縛られた意思決定をする人が多くいるのですね。(受験会場で実際に試験を体験することはとても有益なので、一概に悪いとは言えないですが。)

そのため、実質的な合格率はそれほど悪くないと考えられるため、うまくやれば一回で合格することは十分に可能です。

行政書士試験は毎年、1万人くらいは受験申し込みをしても実際に受験していない試験です。学習が不十分であると自覚している人たちが、実際に受けるかどうかを半々で迷ったと仮定するのならば、この実際に受験しなかった人と同数くらい、学習が不十分だけど受けにきた人もいると考えてもそれほど不自然ではないはずです。

そのため、(それでも合格率は低いですが)極めて低いといった水準ではありません。
  • 行政書士試験は確かに難しいが歯が立たない難易度ではない 
「そうはいっても、司法試験や司法書士等のすごく難しい法律系資格を受ける人とかが、力試しに受けに来ているんじゃないの?」と考えてしまう人もいるかもしれません。

しかしそれも杞憂です。そういった人たちが受けていたとしても、行政書士試験は相対評価の試験ではなく絶対評価の試験だからです。

行政書士試験は、とにかく300満点中、180点を取ればよいといった試験制度なので、タマタマあなた以外の受験生は全員弁護士さんだったとしても、それはあなたの合否には関係のない事なのです。(まあ、弁護士さんは弁護士資格で行政書士登録できるのでワザワザ受験することはないと思いますが…)

と、このような試験に筆者も独学で挑み、何とか2回目の受験で合格することができました。(1回目はあと12点の不足で不合格でした。)
  • 短期決戦を狙う
さて、筆者は上で書いた通り、行政書士試験は2回受験をしました。2回受験して感じたことは、長く受験することは非常に効率が良くないといった事です。

というのは、もちろん法律系の資格なので色んな法律について学んでいくのですが、2回目の受験であってもある程度は覚えなおすといった作業が発生してしまうのです。

行政書士試験についてのお話をした際に、「あと12点で合格するところまで1回目の受験で到達していたので、2回目はちょっと復習して受けたのですよね?」と問われました。どう思われますか?あと3問で合格する水準まで来ていれば翌年の受験は余裕だと思いますか?

でも、残念ながら筆者は「勉強しなおしました」と答えました。

もし仮にこの記事を読んでらっしゃる方が日常的に法律触れていないのであれば、一回で合格できないとかなりの部分覚えなおしが発生すると覚悟しておいた方が良いと思います。

簿記などの分野は『技能』なので体が覚えるのですが、法律論は技能ではないのでしっかりと体系立てて何度も覚えていく必要が出てきます。

そして、人間は忘れる生き物ですので、忘れる速度よりも早く覚えていくことが大切になってきます。

このように、長く勉強するのは非常に非効率なので極力避けた方が良いと思われます。特に、学習の最初から3年計画などといった計画を立てるのは決してやめてください。(結果として3年かかるのは仕方ないですが、最初から3年なんて言っていたら、忘れるスピードに勝てないと思います。)
  • 多年度受験の罠
あと、多年度にわたって受験をする人が冒しがちな間違いがあります。これはどのような資格試験でもいえる事なのですが、行政書士試験については特にこのような経口があると思います。

というのは、多年度にわたって受験をする人の中には「合格できなかったのは勉強が足りなかった」と判断して、「じゃあもっと深く、論点の隅々まで学ぼう」といった風に考える人がいるのです。

前段の「合格できなかったのは勉強が足りなかった」はそれほど問題ではないのですが、後段の「じゃあもっと深く、論点の隅々まで学ぼう」といったところに罠が潜んでいます。

というのは、どのような資格試験でも繰り返し問われる内容は傾向として出ています。勉強が足りなかったというのは、繰り返し問われる範囲を確実に解答できなかったという事を言っているのであって、10年に一度出題されるかどうかみたいなマニアックな論点をひたすら勉強することではありません。

そのようなマニアックな部分まで含めた試験の全範囲について十分な勉強をしたという人はおそらく合格者の中でもほとんどいないと思います。

受験生がするべきことは、マニアックな論点で正解を確実にするために、莫大な時間勉強することではなく、短期的に合格点を取るために繰り返し問われる範囲を確実に正解できる実力を身に着けることです。

そのため、結果として多年度にわたって受験する人であっても、短期決戦。毎年初めて学ぶといった気持で、必要十分な範囲の学習に集中してみてください。
  • どうやって短期決戦にするか
と、短期決戦を狙うなどと書いていても、それは単なる精神論です。こんなことが書かれていても、「そんな事は分かっているけど、どうやったら短期決戦にできるんだよ。」と感じると思います。

学習の順番や効果的な学習方法については次回以降書いていきますが、短期決戦を狙うためには、まずは試験制度についてしっかりとみていくことが大切になります。

行政書士試験は上でも書いた通り、300点満点のうち、180点を取ればよい試験です。(つまり4割は間違っても良い試験です)そして、法令分野で244点、一般知識分野で56点となっています。また、一般知識で24点以上取れないと足きりになる(つまり不合格になる)といった試験です。

また、出題される分野は憲法、民法、行政法、商法・会社法であり、行政法の配点がきわめて高い試験です。(まあ、『行政』書士ですからね)

筆者はこのような試験制度について確認し、次のような戦略を立てました。

1.一般知識分野は過去問をやってみて、足きりにならない水準だったので、あえて勉強はしない。
 テキストを一回流し読みしましたが、範囲があまりに広範だったため、効果的な勉強はできないと判断しました。
2.商法・会社法は勉強しない。
 商法・会社法は極めて範囲が広い割には20点しか配点されていないので、いちおう中小企業診断士だし、全部外すことはないと割り切って勉強しませんでした。
3.憲法、民法、行政法の順番で勉強し、法律用語に体を慣らす。
 これは、使ったテキストがその順番で書いてあっただけですが…
4.過去問を当初より解いていく。
 過去問で問われた論点は繰り返し問われます。そのため、過去問を使って紛らわしい内容を覚えてしまう方法は極めて効果的・効率的です。

短期決戦を狙う場合、戦わない分野の絞り込みがとても大切です。全部やっていたらとてもではないですが時間がどれだけあっても足りませんし、合格だけが目的ならば、180点ギリギリで受かる方が効率的ですからね。

と、2年間通じてこのような戦略で学習しました。おそらく戦略自体はそれ程、誤ってはいなかったハズです。(いちおう独学で合格しましたから)、しかし、学習方法という戦術は完全に誤っておりました。

というのは、独学を選んだことは完全に誤りであったと思うからです。
  • 独学は誤りである
あえて言います。独学は誤りです。

もちろん、独学で行政書士試験に合格することは可能です。(現に筆者は合格しました。)しかし、この選択肢は完全に誤りだったと思っています。というのは、時間がかかり過ぎたためです。

合格自体は結果オーライだったのですが、学習に費やした数百時間は返ってこないのです。2年目に費やした学習時間は資格予備校に通学したり通信講座を利用していれば不要だったと考えられるので、おそらく数百時間の無駄が発生しているのです。

時給1,000円としても資格予備校代ぐらいは支払っておつりがくるくらいの無駄をしてしまったなぁと感じています。

また、テキストや過去問集も不合格だと買いなおさないといけなくなりますし(一年分揃えると、なんだかんだで6千円ぐらいします。)、受験料も受ける回数分支払う必要が出てきます。

このように考えると、独学という選択肢にコスト面での優位性はあまりないという事ができるのです。
  • 独学だと戦術レベルが甘くなる
おそらく、上で挙げた全体の戦略はそうは間違っていなかったと思っています。しかし、個々の戦術レベルが独学だと甘くなります。

例えば、憲法とか民法の学習を、法律にほとんど触れたことがない人がテキストだけを用いてする事が効率的かどうかを考えてみてください。

どう考えても、非効率ですよね?筆者も法律特有の考え方に慣れるまで、苦行のような日々を送りました。誰かに教えてもらっていれば、このような当初の苦労をスキップできた可能性が高いです。

また、民法、行政法を中心に学習するといった作戦を立てたのですが、それらの法律の中で学習の重点をさらに絞り込むことはあまりできませんでした。

どのような試験であっても、出題傾向を見れば学習の濃淡があるはずです。しかし、独学だとその辺が分からないのです。(憲法などは、条文が大切かなと思うかもしれませんが、条文よりも判例の方が試験で問われたりするといった事です。)

また、どんなにうまく説明されていたとしても、簡単な図表と文書だけのテキストを読んで頭に入るほど法律は甘くありません。

頑張ってテキストを読んでいると、気が付いたら意識が飛んでいた(つまり居眠りしていた)といった経験が何度となくあります。

その点、誰かに教えてもらえればこのような事は避けられるのです。
  • あえて問います
初回なので総論をと考えているため、漠然とした内容が多くなってしまい恐縮なのですが、あえて問います。

行政書士の勉強をする目的はなんでしょうか?それがもし試験に合格することであるのならば、独学ではなく資格スクールの講座を利用した方が良いと思います。

というか、合格してからが勝負ですし、資格試験に合格したらその知識を使ってお仕事をするつもりの方がほとんどですよね。それならば、資格試験合格のためにはある程度の金銭的な投資も必要であるし、正当化されると思います。
  • モチベーションを強制的に続かせます
また、「受講料を支払った」という行為はモチベーションの持続に役立ちます。というのは、経営学的にはどのように意思決定しても取り戻せないコスト(サンクコスト)は無視するというのがセオリーですが、心理的に無視しにくい傾向があるため、このようなことがあえて言われているのです。

例えば、「学習の進捗が良くないけど、受講料で100,000円支払っちゃったから、もったいないから最後まで受講しないとなぁ」といった心理的なハードルを上げていくといった考え方になります。

逆に言うと、独学の場合気軽に始められますが(テキストを3千円くらいで買ってくればそれでよいので)勉強をやめてしまう事に対する心理的なハードルも気軽なのです。

「結果にコミットする」といった宣伝で一世を風靡した減量に非常に強いジムがありますが、このジムは一般的な料金体系と比較すると割高な料金体系をあえてとっているように思われます。

返金制度も設けていると言いますが、「あれだけのお金を払ったのだから…」といった心理を利用し、利用者のモチベーションを強制的に働かせている面もあると思います。(結局、痩せるための努力をするのは本人ですからね。)
  • おススメは
さて、そういった意味で弊サイトとしては行政書士に短期で合格したいのならば資格予備校の利用を強くお勧めします。その方がトータルで見たときに、結果として割安になる為です。(トータルコストという発想は、とても大切ですよ。)

▼詳しい内容はコチラ▼




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