限界消費性向_001
限界消費性向とは、所得が増えた際に、増えた所得の分に関する消費性向の事を言います。(経済学でいう限界とは「少し増やした時の」という意味です。それなので、限界消費性向は少し増えたときの消費性向という意味です。)

経済学を勉強される際には、MPCと略されて記述されることもあります。( Marginal Propensity to Consume)

限界消費性向は1が基準で、1の場合追加で得た所得を全て使ってしまう、1より小さい場合、例えば0.8の場合は追加で得た所得の8割を使ってしまうと言った意味となります。

よほどの浪費家でない限りこの限界消費性向は1より小さくなりますし、社会全体などのマクロな視点となると、みんなが増えた所得よりも多く使うとは考えにくいため、1よりも小さいと考えられます。

逆に、0になる事も考えにくく(追加で得た所得を一切使わない事も考えにくいですよね?)、限界消費性向は0から1の間の値を取ると言われます。

■具体例を挙げてみます

この説明では、「え、どういう事?消費性向となにが違うの?」といった声が聞こえてきそうですね。

では具体例を挙げて考えてみたいと思います。

例えば、年間100万円の可処分所得を得ていた人がいるとします。生活にはあまり余裕がなく、消費性向は0.9を超えていたとします。

このことから、この人は90万円を消費に回していたという事ですね。

さて、この人が新たに50万円を追加でもらえることになったとします。この追加でもらえた50万円の消費性向はどうなると思いますか?(この時の追加の50万円分の消費性向を限界消費性向と言います。)

例えば、この場合の限界消費性向が0.8だった場合、40万円が消費に回ります。

■限界消費性向と消費性向は一致しない!


この例で、「もともとの消費性向が0.9なのだから、45万円は使うはずだ」と思いませんか?

しかし、「最低限の生活必需品は賄えているハズなので、それほど消費性向は大きくならない。」と考える事もできますよね?

一般的に言うと、所得が大きくなれば限界所得性向は小さくなると言われています。

この例では、後者の「最低限の生活必需品は賄えているハズなので、それほど消費性向は大きくならない。」といった意見の方が正しい可能性が高いというわけです。

どうしてかというと、生活に余裕があれば無理に使わなくっても良いので、貯蓄する可能性が高くなるということです。

■貯蓄って?

と、上の例では貯蓄と消費が二者択一でした。ということは、限界消費性向と限界貯蓄性向(増えた分の所得を貯蓄する割合)は足して1になるということができます。

1=限界消費性向+限界貯蓄性向

ということができるんですね。

onnanoko_bustup
あら、1万円のお買い物券当選ですって。

neko
ぱーっと使っちゃいましょう!

onnanoko_bustup
ふふふのふ。色々買ってたら12万円も使っちゃったわ。私の限界消費性向は12ってところね。これは、学会で発表できるかも知れないわね。限界消費性向が1以上になる可能性もあるって。

neko_akire
個人だとそういう人もいますよね。でも、世間全体をみると限界消費性向は0と1の間になるんですよ。

■乗数という考え方

さて、この限界消費性向ですが、誰かの消費は誰かの所得となります。(AさんがBさんのお店でお金を使ったら、Bさんの所得が増えます)

そのため、誰かに臨時収入があれば一国の限界消費性向分だけ回り回って経済効果を生むと考えられます。

例えば、国が1億円を国民に配ったとします。(国がお金を配るなんて荒唐無稽な話しと思うかも知れませんが、地域振興券とかで定期的に配ってますよね。)

このときの国全体の限界消費性向が0.8だった場合

その場合1億円をもらった人→全額を消費に回す

1億円もらった人→0.8億円を消費に回す

0.8億円をもらった人→0.64億円を消費に回す

といった感じで最初の1億円が呼び水になって次から次へと消費が生じるのです。

解説で出てきた用語・関連用語
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