残存者利益_001

残存者利益とは、市場に魅力が無くなった後も、その市場にとどまり続けたことによって獲得できる利益のことを言います。

残存者になることによって得られる利益といった言葉です。

さて、製品ライフサイクルという考え方があります。この考え方は「製品は、導入期、成長期を経て安定期に到り、最終的には衰退期になる。」といった考え方です。

そして、衰退期は市場が縮んでしまう時期なので美味しくなく、収穫戦略を採るか、儲からない様であれば、すんなりと撤退する事(撤退戦略)がセオリーとされています。

では、競合がみんな撤退した市場に自分だけ残ったらどうなるでしょうか?意外に美味しい市場がそこにはあると思いませんか?

このようなケースで得られる利益を残存者利益と言います。

例えば、過疎化が進行した地域に残った小売店はどうでしょうか?市場が縮む一方なので、競合店はワザワザ進出してきませんよね。でも、小売店は無くてはならない存在です。
 
その為、その小売店は事実上、地域の需要を独占できるというのが残存者利益です。

また、カナヅチを作っているメーカーがあったとします。カナヅチ市場は決してなくならない市場だと考えられますが、特に成長性が高い市場とは考えられません。

この市場で、生き残って、「カナヅチなら○○だよね。」と言われるようになれば、残存者利益を手にできると考えられます。

(カナヅチ市場の現状は分からないので適切な例でなかったとしたらすみません。)
  • 地域の中小企業の隠れた王道戦略

さて、この残存者利益ですが地域の商圏が縮んでいると嘆いている中小・小規模事業者にとって改めて見直してもらいたい考え方となります。

確かに、地域で過疎化が進行して、後継者難でどうにもならないといったことを言う人は多くいます。そして、それは残念ながら事実です。

ただ、過疎化の進行、後継者難と言った事実は変えられませんが、それをどう捉えるかは企業戦略によって代わってきます。

例えば、比較的若い人が経営している企業、後継者がいる企業にとっては地域の安定的に需要が見込める施設や組織に対しては多少採算性に難があっても納品し続ける・新規開拓を仕掛けると言った選択肢が考えられます。

これは、何も慈善事業で行うわけではありません。仮に競合他社が後継者がいない企業である場合は、十年後ぐらいのスパンで考えると商売を辞める可能性があります。また、数年のスパンでも、採算性の悪化や体力的な問題で取引を中止・縮小を申し出る可能性もあります。

その場合、既存取引先であるあなたの企業が一気にシェアを伸ばすチャンスに恵まれる可能性があります。

このように市場自体が縮小しても、個別企業が縮小するかどうかは別であり、地域を支えるために歯を食いしばって頑張ることは大いに報われる可能性のある戦略であると言うことができるのです。
事業を営むのに必要な情報
姉妹サイトとして開業や創業、事業経営に大切な情報をコンサル目線でまとめてみました。