名ばかり管理職_001
名ばかり管理職とは、十分な権限が与えられず、労働時間が管理されており、給与等で管理職にふさわしい処遇がなされていない、にもかかわらず管理職とされている人の事を言います。名ばかり店長といった言葉で以前問題になっていましたね。

(ここでいう管理職は労働基準法でいうところの管理監督者が該当しますが、本記事では一般的に使われる管理職と表記していきます。)

この名ばかり管理職というのは管理職と言えないのに管理職であるとされている人といったイメージです。

そもそも、管理職と呼ばれるには、会社の重要な決定にかかわれる程の十分な権限が与えられており、仕事の質が労働時間で管理することにそぐわなく、給与等も管理職としてふさわしい処遇がされるといった必要があります。

つまり、管理職と呼ぶためには、ふさわしい権限と自由と処遇が必要という事です。例えば、いわゆる重役出勤をしても給与を減らされたりせず、会社の大きな方向性について影響力を行使でき、更にふさわしい処遇を受けている事といった事が管理職と呼ばれるためには必要なことなのです。

昔の小説とかに出てくる、いわゆる重役さんを想定した考え方に近いのですね。
  • 何が問題なの?
さて、「名前だけでも管理職になれるならいいじゃない」と考える方もいるかもしれませんが、あなたがこの名ばかり管理職にされてしまうと、大きな実害が発生します。

というのは、管理職は、『労働時間の管理にそぐわない仕事をしている』ため、労働時間や休憩、休日といった労働基準法の規定が対象除外とされてしまうのです。

(但し、年休や深夜勤務の規定は適用されます。つまりたとえ管理職であっても深夜勤務については割増賃金を支払わなければなりませんし、年休(有給休暇)は与える必要があるのです。)

勘のいい人はピンときたかもしれませんが、

「労働時間や休憩、休日の規定が対象除外」→「休憩や休日を与えなくても良い(無給で時間外労働をさせても良い)」→「多少役職手当を払っても、無給時間外労働(サービス残業ですね)を強制できるなら会社が儲かるぞ!」

といった論理が働くのです。とてもロジカルで合理的ですね。(念のため言っておきますが名ばかり管理職を悪用する経営側に対する皮肉ですよ)

さて、この名ばかり管理職を問題として従業員に訴えられた場合、会社側が勝つことは非常に難しいのが現状です。というのは、上で挙げた、『ふさわしい権限と自由と処遇』といった要件を満たしていない人を管理職という事ができないからです。

このまんがでは、名ばかり管理職は脱法行為だと言っています。まあそこまで言えないにしても、適切な労務管理とは言えないですよね。

この名ばかり管理職といったやり方は、重要なステークホルダーである従業員をないがしろにして経営を行うわけですから、何処かで問題が発生してしまいます。それを、このまんがに出てくる社長は「モチベーションの低下という形でしっぺ返しを食らう」と表現しています。
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