仕掛品_001
仕掛品とは製造途中にある製品で、更にそのままでは売れないものの事を言います。「しかかりひん」と読みます。

どうして、わざわざ「そのままでは売れないもの」というかというと、そのままでも売れる作りかけのモノがあるからです。

そちらの場合は、『仕掛品』とは別の『半製品』といった名前がついているので区別しているのです。

■仕掛品の具体例は?


例えば、焼きそばパンを作っているパン工場を考えてみます。

このパン工場では、小麦粉をこねる工程、パンを焼く工程、あらかじめ買ってきている焼きそばを挟む工程の3工程があるとします。

この時、小麦粉をこねたものがパンを焼く工程に投入されるまでが仕掛品に当たります。
□こねる工程
↓ ここの工程の間にあるモノが仕掛品
□パンを焼く工程
↓ ここの工程の間にあるモノは半製品
□焼きそばを挟む工程

こねた小麦粉なんて、そのままでは売れないですよね?そのため「これは作りかけの製品ですよー」と貸借対照表を見た人がわかるように、仕掛品として計上しておく必要があるのです。

また、パンを焼く工程と焼きそばを挟む工程の間の在庫も確かに製造途中であるのですが、こちらはそのまま販売することができるため「半製品」となります。

焼いたパンなら、焼きそばパンにならなくても食べられるので、買ってくれる人がいるはずです。その意味で半製品なのですね。


neko_akire
なんか、怖い話を聞いたんだよ。粗利を最大化させるために怖いことをした人がいたんだって。

neko_akire
売れないことはわかっているんだけど、工場をフル稼働で動かして、規模の経済を働かせたらしいの。

onnanoko_bustup
その話知ってるわ。出荷前の仕上工程の前で仕掛品で積んで置いて、売れた分だけ製品にしてるってやつよね。

hiyoko
そうしたら、量産の効果で固定費が薄まりまくって、粗利はすごく出るのよね。でも、売れない仕掛品が積みあがって…でも資産が増えるだけで、費用は増えないから決算上はすごく儲かったように見えるのよね。

onnanoko_bustup
何が怖いって、その会社は社長が会計の仕組みを理解していないから、大儲けしたって喜んでいたのよね。

■仕掛品は資産ですが少なくした方がいい理由があります

世の中ではこの仕掛品は少ない方がいいものとされています。(優れた生産方式であると言われている、トヨタのカンバン方式は仕掛品ゼロを目指すというものです。)

でも、この仕掛品はどれだけ増えても売上原価は増えません。売上原価は収益に対応して計上される費用なので、仕掛品は完成して販売されるまで流動資産として計上され続けるのです。

という事は、「だったら、仕掛品が増えたってかまわないじゃないか?」と考える方もいるかもしれませんね。

しかし、仕掛品が増えるという事は資金が固定されたり(仕掛品を作るためにかかったお金は販売されるまで回収できません)、モノを置く場所を確保する必要がでたり、陳腐化するリスクがあったりと、仕掛品が多すぎるとやはり良い事がないのです。




解説で出てきた用語・関連用語
流動資産
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