費用収益対応の原則_001
費用収益対応の原則とは、収益とそれを得るために使われた費用は同じ会計期間に計上するという原則です。

企業が儲かったか否かを考える場合、企業が解散した段階で収益とかかった費用を全て洗い出して、計算すれば特に問題なく計算を行うことができます。(昔の船のように、航海の度にお金を集めて、帰ってきたら成果を分配するようなケースですね。)

しかし企業は通常、永続することを目指して運営されます。(ゴーイングコンサーンといいます)いつまでも企業は続くわけですから、解散した段階ですべての収益と費用を洗い出して計算するというわけにはいかなくなります。

そのため、収益と収益を得るために使われた費用は同じ会計期間に計上して利害関係者(ステークホルダー)に報告しようという約束事を定めました。

そして、その基準を費用収益対応の原則と言います。

例えば、3月が決算の会社を考えてみます。この企業が第1期の1月に100万円分の商品を仕入れて、3月に80万円、第2期の5月に80万円の売り上げをあげたとします。(これ以外の仕入れや売り上げはなかったものとします。)

そして、第1期の期末には商品は50万円分残っていたとします。

この場合、第1期と第2期の利益はいくらでしょうか?

この費用収益対応の原則がなかった(発生した費用はその期に全て計上する)場合は次のようになると考えられます。

第1期
収益:80万円
費用:100万円
利益:△20万円

第2期
収益:80万円
費用:0
利益:80万円

また、費用収益対応の原則があった場合(通常の場合ですね)は次のようになります。

第1期
収益:80万円
費用:50万円(商品50万円分は在庫として資産になっています。)
利益:30万円

第2期
収益:80万円
費用:50万円
利益:30万円

どちらも、合計の利益は60万円になりますが、下の費用収益対応の原則があった方が、正確な利益を計算してそうですよね。(参照:売上原価

このまんがでは厨房機器を新しく導入したようです。まんがでは200万円かかったと言っていますが、この200万円を全額購入した期の費用とすることは合理的でしょうか?

この厨房機器は20年間使えると言っているわけですから、20年にわたって費用にしていく方が合理的ですよね?

この発想を減価償却と言います。減価償却の対象となる資産はその償却期間の間中ずっと事業に使われています。そのため、費用収益対応の原則によって、その期に使った分だけ費用にするという発想が生まれました。
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