不当廉売とは、不当に安い価格で商品を販売することを言います。この不当廉売が海外市場向けに行われている場合はダンピングという言葉が用いられることが多いです。
この不当廉売は、言葉の通り、不当に、廉売(安く売る)するという事です。
そして、その結果他の事業者の営業を困難にさせる恐れがある事を不当廉売といいます。
■不当廉売がはびこると長期的に消費者が損をします
不当廉売と言うけれども、安く売ってくれるならば消費者としては大歓迎ですよね?でも、そういった不当廉売行為はダメだとされています。
なぜ不当廉売はだめなのでしょうか?それは、上の「その結果他の事業者の営業を困難にさせる恐れがある事」といったところにヒントがあります。
それでは、不当に安く売る行為がどのような結果をもたらすか、次のような例を考えてみたいと思います。
全国規模の店舗網を持ったあるスーパーがあるとします。そして、このスーパーはかねてよりA県の市場に進出したいと考えていました。
しかし、A県には地元資本のスーパーが存在しており、進出しても競争が激しく、利益の確保は難しそうでした。
そこで、全国規模のスーパーは、A県の店舗に関しては採算度外視の値引き販売を執拗に行いました。その結果、地元資本のスーパーは競争に敗れて市場から退出しました。(潰れたということです。)
その後、全国規模の店舗網を持ったスーパーは価格を徐々に引き上げていきました。(競争相手がいなければ、ある程度値段を高くすることができます。)
最終的に、A県の住民は、割高であるにもかかわらず、その全国規模のスーパーで買い物するしかなくなってしまいました。
なんだかすごく不当な感じがしますよね。このように、正常な競争を妨げるような不当な廉売はダメであるとされていて、独占禁止法で禁止されています。
安売りは助かるわー。ちょっと遠いスーパーなんだけど、すごく安いのよね。
あら、でも商店街の八百屋さんが困ってましたわよ?どう見てもあれは不当廉売だって。
確かに、大根が10円とか白菜10円はおかしいわねぇ…
そうよ。ウチのお店のぬいぐるみを原価割れの100円で売られたら商売あがったりよ?八百屋さんにしてみたらそんな感じじゃないのかしら?
近所の八百屋さんがなくなると困るし、そんなことをするスーパーにはもう行かないようにするわ。
■何が不当廉売なのか
ただし不当に安くするのか正当な企業努力の結果安くなったのかの判断がつきにくいため、公正取引委員会はガイドラインを示しています。
以下簡単にご紹介します
1.費用基準
いわゆる原価割れでの販売は不当廉売になる可能性があります。
もっとも、公正取引委員会は社会的影響力が大きいため、簡単には不当廉売であるとは判断しませんが、一つの大きな基準である事は間違いありません。
2.継続性基準
一回の在庫処分セールだけで即不当廉売扱いされることは基本的にありません。
しかし、継続的にこれをやった場合はアウトになる危険性が増してきます。
3.他の事業者の事業活動を困難にさせる
例えば、近隣の八百屋、鮮魚店、精肉店を潰すことを目的として、生鮮三品を不当に安く販売する事などが該当します。
4.正当な理由があればセーフ
上記の3つ全てに該当しても、正当な理由があればセーフとなります。
もっとも、最終的な判断は公正取引委員会が行うこととなります。
解説で出てきた用語・関連用語
生鮮三品ダンピング
関係法令
独占禁止法(第2条)
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