魔の川_001
魔の川とは基礎研究の成果と応用研究の間に存在する障壁を表現した言葉です。ネーミングにインパクトがあるので、この魔の川と死の谷は名前だけは知っているといった人がいるかも知れません。

■基礎研究と応用研究

基礎研究とは純粋に知識の獲得を目的として行われる研究で、それが何に役立つのか?という事はあまり問われない研究であるという事ができると思います。

ただこういった基礎研究が積み重なっていくことで人類の技術が進歩してきたのです。

一方、応用研究とは、具体的な問題解決のために行うような研究であるという事ができると思います。(どちらも厳密な定義ではありませんが。)

そして、この純粋な好奇心から始まった基礎研究の成果を応用研究に活用するためには魔の川が流れているというわけです。

■魔の川とは

例えば、ある研究者がカメレオンの色がどうやって変わるのか?を詳細に調べたとします。これが基礎研究に当たると思います。では、この研究から得られた知識は何の役に立つのでしょうか?

きっと思わぬ分野で役に立つのでしょうが、具体的な応用研究にはすぐには結び付きにくいと考えられます。(カメレオンのように色の変わるスーツが市場で強く求められているであれば別ですが。)

このような基礎研究と応用研究の間にある障壁を魔の川と表現しています。

この他にも様々な有望な基礎技術が開発されたとしても、それが市場に求められているかどうかとは別の話ですので、全てが具体的な応用研究につながるわけではないのです。

そのため有望な技術があったとしても、それを製品化していくためには昨日は製品に応用するための研究を続ける必要があります。そしてその研究には往々にしてなかなか予算がつきません。

このような状況を指して魔の川というのです。魔の川には具体的な製品にならなかった技術がたくさん浮かんでいるのです。

neko
すごい画期的な素材が色々あったんだよね。

kitsune
例えば全然汚れない糸とか。後は周りの空気をきれいにする触媒機能付きの糸なんかもあったね。

neko
そんなのがあったらすごいいいぬいぐるみができるよね 。

onnanoko_bustup
でもそういうものもなかなか製品だってないわよね。基礎研究で終わってしまって魔の川を越えられなかったのよ。


■魔の川の先には死の谷があります

そして、この魔の川を超えると今度は死の谷が待ち構えているとされています。このように上手く基礎研究を行った技術が、本格的な製品開発につながるような研究開発に進んだとしても、それが成功につながるかどうかは別の話しなのです。

そして、製品が事業化されるためにはダーウィンの海と呼ばれる生存競争を超えていく必要があります。

このように一つの製品が世に出てしっかりとした事業に育つまでには大変な苦労があるのです。

このまんがでは、猫についての基礎研究を行っていたようです。その成果を使って予算を獲得しようとしていますが、どうやら難しいようですね。

このように、基礎研究と応用研究の間には魔の川が流れているのです。 


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