3C分析_001
3C分析とは事業を分析して戦略に生かすための情報を入手するフレームワークです。3C分析では事業の全体像を顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つに分けて分析していきます。

分析の対象となるものは英語で表記すると3つとも頭文字がCなので3C分析と言います。

3Cと単に略されることもあります。

漠然と「分析してください」と言われても手掛かりがなさ過ぎて困ってしまうと思いますが、4PやSWOT分析、アンゾフの成長ベクトルのような考え方を利用すればグッと考えやすくなりますし、説得力も出ますよ。

また、3Cと言えばかつて言われていた耐久消費財三種の神器を思い出す方もいらっしゃると思いますが、こちらはクーラー、カラーテレビ、カーです。

3C分析とは

■3C分析では何を分析するか

さて、話を3C分析に戻して一つ一つの切り口を見ていこうと思います。

onnanoko_bustup
事業を分析してくださいって言われても漠然としていてどうにもならないわよね。

neko_negane
そんなときに3C分析です。漠然としたモノでも3つに分ければ少しは分析しやすくなるでしょ?

onnanoko_bustup_2
少しはましにナルでしょ?的な身も蓋もない説明ね。でも、確かに漠然と考えるよりは市場、競合、自社に分ければ考えやすいわよね。



■1.顧客・市場の分析

3Cの一つ目は顧客・市場(Customer)についての分析です。

製品やサービスを、購買してくれるであろう潜在顧客を把握します。買ってくれる顧客を把握していなければ何も始まりませんので大切な切り口です。

この顧客の分析では、顧客が本当は何を欲しがっているかまで突き詰めて考えることが大切です。有名なたとえ話ですが、顧客は「ドリル」が欲しいのではなく、「穴」が欲しいという話があります。

このように顧客の真のニーズをとらえ損ねて自らの使命を狭く設定しすぎるマーケティングマイオピア(近視眼的マーケティング)に陥らないように注意する必要があります。

なお、顧客・市場の分析として次のような切り口に細分化して考えるとさらに考えやすくなります・

(1)市場規模・成長性について
狙っている業界の市場規模はどれぐらいありますか?その市場規模のうち、どれくらいの市場シェアを獲得したいですか?

また、狙っている市場はどれくらい成長していますか?製品ライフサイクル仮説などを参考に、どのような成長段階にあるかも考えて行く必要があります。

なお、成長性というと高い方がいいと思いがちですが、高い市場成長率を誇っている領域は、市場の成長について行く必要があるのでそれ相応の投資が必要となります。

(2)顧客ニーズや消費行動について
顧客はどのようなニーズを持っていますか。把握している情報は本当に顧客のニーズを表していますか。

消費者の価値観や行動について、内閣府の消費動向調査などすでに存在する統計情報でも多くのことを知ることが可能ですが。可能であれば直接顧客候補にアンケートを実施して把握できるとより精度が高い3C分析が可能となります。

onnanoko_bustup
市場の分析っていうのがよくわからないのよね?あと、このほかにも切り口は考えられるんじゃない?

hiyoko
確かに他にも切り口はありますわ。業種によっても意識することが変わりますし。

onnanoko_bustup
あと、市場の分析ていうと何がわかるのかしら。例えばうちの地域の日本料理の消費額とかわかる訳がないわよね?

hiyoko
消費動向調査なんかを見ると、カテゴリー毎に世帯数あたりの消費額なんかもわかりますわ。それと市町村毎の世帯数をかければ、その地域における日本料理の消費額なんかもわかりますわ。


■2.競合の分析

3Cの二つ目は競合(Competitor)の分析となす。

競合や競争相手について把握し、分析します。競合他社が提供している製品やサービスを把握し、競合他社の強みや弱み(持っている経営資源など)を分析していく必要があります。

また、現在の競争相手だけでなく、潜在的な競争相手についても把握していくとなおよいです。

この競合の分析も切り口を持って実施すると精度が高くなります。

(1)競合の現状について
競合の市場シェアや市場シェアの推移(A社は市場シェアは1番だけど、だんだん下がっているなど)を把握します。

また、競合各社が持っている経営資源についても把握していきます。営業所がどれだけ存在して、従業員が何人ぐらいいるのか。広告に予算をどれくらいかけているのかなど、外から見ていてもわかる情報は結構多いです。

(2)潜在的な競争相手について
新規参入する新たな競合が発生しそうなのかについても見ていく必要があります。

そして忘れがちなのが、代替品です。自社の商品が売れ続けるかについては現時点での競合について意識しがちですが別の切り口から同じニーズを奪いに来る競合品も存在します。

CDが音楽配信に市場シェアを奪われているように代替品についても気を配る必要があるのです。(CDが欲しいのではなく、音楽が聴きたいという人が多いので、音楽配信にニーズが置き換えられてしまっているのです)

■3.自社の分析

3Cの三つ目は自社(Company)についての分析となります・

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と言うように敵の事(競合)だけでなく自ら(自社)の事も知っていなければなりません。

自社の持っている経営資源はなんなのでしょうか?その強みは、弱みは?自社は分析した市場で支持されるのか?特定した競合に勝つことができるのか?

切り口としては自社の経営資源を明確にしていきます・

(1)自社の経営理念
自社の根本的な価値観である経営理念を再度見直します。どのような有効な戦略であっても、この経営理念と方向性が異なる場合は効果を発揮しません。

例えば、お客様第一の経営理念の企業で、その経営理念に惹かれて入社した従業員達に、お客様を犠牲にして自社の短期的な利益を確保するような方策を支持しても、上手くはいきません。

(2)自社の経営資源について
自社が持っている経営資源はどのようなモノがあるでしょうか?

パートナー企業との関係性(仕入れ先や販売先も含む)、経営やノウハウ、いわゆる人モノ金などの切り口で考えて行きます。

3C分析の例


■3C分析の難しいところ

と、なんだか良さそうな3C分析ですが情報の収集にとても手間がかかります。上場企業が競合ならば、公開された情報からかなりの部分がわかりますが、そうでない企業が競合となる場合は競合(Competitor)の情報入手はなかなか困難です。

そのため、正確な情報を入手しなければならないなどと考えてしまうと、際限なく時間とコストがかかってしまいますのである程度の傾向がつかめればOKぐらいで考えてもらえればと思います。

また、顧客・市場(Customer)についても同様で、ほとんどの企業はこれらの情報を持っていません。

ただ、公開されている統計はびっくりするぐらい有益な情報が載っていたりしまうのでどんどん活用していって下さい。

不完全な情報かも知れませんが何も情報がないよりは事業計画の精度が向上します。

■3C分析の後に

3C分析で何が自社の成功要因(KSF)であるかを特定していきます。その後、3C分析で得られた内容をSWOT分析に落とし込み、クロスSWOTなどを行って戦略を決めていきます。

このように分析しっぱなしではなく、自社の事業にしっかりと活かして行くことが重要なのですね。

このまんがでは孫子の言葉を勉強していたようです。その言葉から3C分析の要素である、顧客、競合、自社に対して思いをはせています。

しかし、授業をうわのそらで聞いいたようで先生に怒られてしまいました。


解説で出てきた用語・関連用語
クロスSWOT
KSF
4P
SWOT分析
アンゾフの成長ベクトル
三種の神器
マーケティングマイオピア(近視眼的マーケティング)
経営戦略の実務的な構築方法  

参考リンク・関連法令
内閣府統計局
事業を営むのに必要な情報
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