コモディティ化_001
コモディティ化とは製品が差別化できる要因(品質、機能、ブランド等)を失い一般的なものとなってしまい、消費者にとってはどこのメーカのものを購入しても大差がない状態になってしまうことを言います。

コモディティ化が進むと、消費者はどれを選んでも同じといった状態となるため、企業間の競争は価格競争が主なものとなります。その結果、低価格化が急速に進行します。

考えてみてください、ほとんど同じものが小売店に並んでいてワザワザ高い方を選びますか?消費者にどちらを選んでも同じようなものだと思われると、そういった状態となってしまいます。そしてこのような状態になるのがコモディティ化です。

そして、低価格化が進行すると、当然ですが利益が圧縮されてしまいます。論理的には超過利潤が得られなくなる水準まで価格が下がりますので、そんなにおいしくない市場、ついり儲からない市場となる訳です。
  • コモディティ化が進んでいる製品の例
コモディティ化が進行している製品カテゴリーの例として、家電やPCなどがあげられます。

たとえば、冷蔵庫では食品を冷やして保存するといった主要機能についてはどこのメーカのものでも同じと言えます。

またPCでは、どこのメーカのものであっても同じソフトウエアさえ導入すれば機能面の差異はほぼありません。

消費者にとってはどれを選んでも、最低限の機能は持っている。また、コモディティ化が進んで安く購入できるといったことはとても良いことです。しかし、企業経営の面では低価格化が進行するとおいしくないので良くないとされるのです。
  • どうしてコモディティ化がすすむのか?
コモディティ化の推進要因として、以下のような点があげられます。

1.モジュール化の進行
製品を構成する部品がすでに市場に存在・流通しているような場合、どのメーカも同じようなモジュールを組み込んで製品を構成するため性能の差がつけにくくなります。

PCでいうと、CPUやHDD、メモリー等をPCメーカはわざわざ自社開発せず、市場から調達して組立をおこないます。そのため、どこのメーカのものであっても、同じCPUを積んでいれば同等の処理速度を実現できるのです。

2.顧客の要求水準の頭打ち
製品の機能・品質の向上に伴い、どの製品でも顧客の求める機能・品質の水準を超えるようになるといった場合が考えられます。

冷蔵庫は食品を腐らずに保存できれば十分と考えている顧客に、デザインやドアの開閉のしやすさで訴求してもなかなか差別化は難しいと考えられます。

3.みんなが真似する(できる)から
良いモノはすぐに真似をする人が出てきます。これは製品やサービスでも同様です。

模倣を避けて差別化要因を維持するために、特許権等の知的財産権を確保するのですが、特許権は20年しか権利として認められていませんので、特許が切れた後は模倣を防ぐ術が少なくなります。

また、競合他社も必死ですので、他社の特許権に抵触しないように同様の機能を実現するための開発も行われます。

そのため、すぐに市場にその製品やサービスの類似品があふれてしまうのです。
  • 対策はあるのか
コモディティ化が良くない現象であると捉えるのならば、対策も考えられます。

1.ブランド化
よく言われる対策は、ブランド化です。製品やサービスに名声を確立し付加価値(多分に心理的な付加価値となります)を訴求できれば、競合品と区別することができるのでコモディティ化を避けることができます。

とはいえ、このブランド化は安易に言われていますが茨の道です。ブランド化が簡単にできれば誰も苦労しませんし、非常に大きなコストがかかります。

また、コモディティ化するような商品は世の中にすでにあふれているため、単なる差別化を通り越してブランド化するといった切り口を取ろうと考えると、必然的に客層を絞り込む必要があります。

例えば、コモディティ化を避けてブランド化するために、食塩を「35歳男性専用食塩」などと打ち出すことは考えられます。

35歳の男性が好むモノを調べ上げ、その嗜好に合った食塩で訴求するイメージです。(例えば、35年前に精製した食塩、35億年前の地層から掘り出した岩塩などのストーリーを付与して行く感じです。)

ただし、このようなアプローチを取る場合は、逆にいえば35歳男性以外のターゲットは追いかけないことを意味します。

そのため、既存の製品はそのままにして別の製品ラインとして打ち出す事となるでしょう。(既存の製品はコモディティ化したままですが、既存製品をブランド化するためには、小売店の売り場から排除される等の大きなリスクを負う必要があるため現実的ではないでしょう。)

2.顧客とコミュニケーションを密にする
最初からブランド化を考えるのではなく、顧客に製品やサービスの魅力を伝えるコミュニケーションを密に取るところから始めると追加のコストがあまりかかりません。

コモディティ化している製品やサービスであっても競合他社と違う何らかの特徴があるはずです。前述の食塩であっても、製法が違うとか、原材料を確保した場所が違うなどがあるはずです。

そして、その特徴を適切に伝える努力を行えば、多少は効果が出てくると考えられます。例えば、福井県出身の人なら、福井の海で作った塩といわれれば愛着がわくはずです。

このような些細なことでも良いのでしっかりと顧客とコミュニケーションを取っていく必要があるのです。


このまんがでは4コマ目で言われている通り同じパン屋さんから仕入れている焼きそばパンを、学食と購買で売っています。このように同じものであったり、品質に大差のないものは価格競争が主なものとなってしまっています。

そのため、 1コマ目で学食のおばさんが値下げを断行した際、3コマ目で購買を運営している販売クラブの面々も焼きそばパンの値下げで対抗しています。

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