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BCP事業継続計画(Business continuity plan)とは危機的な出来事が発生しても事業が継続あるいは、目標時間内に復旧できるように予め立てておく計画の事を言います。

似た概念として先日解説したコンティンジェンシープランという考え方があります。簡単に違いを説明しますと、コンティンジェンシープランは危機的な出来事の発生時にどのように対処するかを中心に考えているのに対し、BCPは事業継続に重点を置いている点が異なるというところです。

とにかく最優先で復旧すべき事業内容を特定しておき、 ひとたび大災害が発生した際にはその復旧を最優先で行うというイメージですね。


BCPは、以下の手順に沿って策定されます。

1.業務が抱えるリスクと損害を洗い出します。
 例えば、有害な物質を原材料として使用している工場を考えます。有害物質が漏れ出す危険性と、それが漏れ出した場合の損害がどの程度になるかといった事を洗い出していきます。

2.優先的に復旧する業務を明らかにする。
 例えば、電力供給が断たれると1.の有害物質の漏出の原因になる事が明らかなのであれば、電力供給の復旧は優先的に対応する業務となります。

3.目標復旧時間や復旧手順を計画する。
 優先的に復旧する業務の目標復旧時間や復旧手順を計画しておきます。

このマンガでは調理場が使えなくなった場合に備え、予め近くの定食屋の調理場を使えるようにしておいたようです。

まあ難しく書いていますが、一言で言うならば「備えあれば憂いなし」という事ですね。

  • BCPには社長の関与が必須
上でBCPについて概論を述べましたが、自然災害が多くなっている昨今、BCPについて掘り下げて行きます。
 
掘り下げて行く中で 注意が必要なのは、会社の中核となる事業を何にするか、最優先で復旧するべき事業は何であるかを特定するのは、中小企業においては社長の他にないということです。
 
どのような組織であっても、組織で働いている人は自分の事業こそもっとも重要であると考えます。これは当然のことですし、そのような矜持を持って仕事に取り組むというのは非常に良いことです。
 
しかし組織全体で考えたときに、全ての事業を平等に復旧することはできません。
 
そのためBCPを定める際には、社長が関与して自社の中核の事業はこれで行くと優先順位を決めていく必要があります。 
 
このような事があるため、トップマネジメントがリーダーシップを持って決定せず、社内の様々な部署から関係者を集めて決めようとすると「全ての事業をできるだけ早く復旧する」という名ばかりBCPができてしまいます。
 
 
  • 信用にも繋がります 
BCP をあらかじめ定めておき、災害が発生した場合でもAという事業はなるべく速やかに復旧させるとしている企業があったとします。
 
他方、 BCP を定めておらず災害が起こった場合どのようにすればいいのか分からなく、とにかく全部の事業を復旧させるとしている企業があるとします。
 
あなたの会社はどちらと取引をしたいと考えるでしょうか。
 
もちろん取引関係や信頼関係がありますので基本的には従来の取引先と取引をしたいというのが通常の発想です。
 
しかし、 あまりに長期間にわたって操業停止が続くと、自社の経営に対する悪影響も大きくなってしまいます。
 
そのため、災害が起こった場合速やかに復旧させるという計画あらかじめ取っている企業の方が、 取引先としてより安定していると考えることができるでしょう。
 
このように、BCP を定めることによって、自社の速やかな復旧のみならずサプライチェーン全体としての責務を果たすことも出来るのです。 
 
この観点から、BCP を定めることができれば、競合他社に対して優位に立つことができると考えられます。
 
そして、最終的には様々な企業 BCP を策定し、災害に対して経済的に強靭な社会を作っていくことが重要ではないでしょうか。
 
  • あらかじめ作成しておく意味は?
ひとたび災害が発生すると、やらなければならないことがたくさん生じてしまい何からやればいいのかという優先順位をつけることすら大変になってしまいます。
 
そのため、あらかじめ何をすべきかを決めておくことが重要なのです。

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