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参入障壁とはある業界への新規参入を防ぐ障壁の事をいいます。参入障壁が大きいほど新規参入が困難になり、既存の事業の競争が緩和されます。

この参入障壁の大きさは先日ご紹介したファイブフォース分析の新規参入の脅威の大きさを決める要素となります。

簡単に復習すると、参入障壁が大きな業界は、新規参入が起こりにくく競争が緩和されます。逆に参入障壁が小さい業界は新規参入が盛んになるため競争は激しくなる傾向があるという事です。

では、何がこの参入障壁の大きさを決めるのでしょうか。以下の要因が考えられます。

1.既存事業の優位性
 規模の経済がとても強く働くような事業、不動のブランドを確立されている事業、独自の技術がある事業、購入先を変えるコストが大きい事業などは既存事業が優位(参入障壁が大きい)とと考えられます。

2.法規制
 そのものズバリで、参入が規制されているような事業の参入障壁はとても強いです。

このマンガの食堂のおばちゃんは、既存顧客のロイヤリティーを高めるべく新メニューを続々と投入するだけでなく、政治力を駆使して参入を禁止させてしまう事を考えているようです。

  • 代表的な参入障壁
それでは、具体的な参入障壁を見ていきます。

上で既存事業の優位性が参入障壁に当たると書いていますが、それはなぜでしょうか?一つ一つ検討してみます。

・規模の経済
規模の経済が強く働くような事業においては、後から参入した事業者が十分な競争力を持つためには相当な規模を最初から確保する必要が出てきます。

例えば大規模な製造能力を確保した装置産業が主流となってるような境界が挙げられます。

このような業界で十分な競争力を保つためには競争相手よりも大きな設備を持つ必要が出てきますので、新規参入の意思決定は非常に難しくなります。

例えば競争相手が100億円の設備を持っているとして、自社がそれに対抗するためには100億円以上の投資が必要となれば容易には新規参入できませんよね。

・不動のブランド力とは
不動のブランド力がある企業と対抗するためには、十分な品質を備えるだけでなく十分に価格を競争力も必要となります。

品質と価格は一般的には両立し得ないものですので、このような先行している事業者がいるような業界にはなかなか参入できないのです。

・独自の技術

独自の技術が必要な業界については、その技術を持っていないと参入できません。

技術を手に入れるためにはコストをかけて自社で研究開発するか、知的財産権をどこかから入手してくる必要があります。

いずれにしてもコストに跳ね返ってくる為、参入は容易ではないのです。

・購入先を代えるコストが大きい業種
いわゆるスイッチングコストが大きな業種というものです。

例えば業務フローに完全に組み込まれた使い慣れたシステムを入れ替えるとします。この場合多少のコスト優位性では既存の契約をひっくり返すことはできません。

なぜならば既存の業務フローを全てを変える必要があるからです。

そして既存の業務フロー全てを変えるということは表面上は見えませんが莫大なコストがかかります。このような目に見えないコストが参入障壁となるのです。

5そのほかの参入障壁

この他にも独自の流通チャネルを獲得しなければならないであるとか、既に知的財産権で必要な技術を囲い込まれている。経験曲線効果が強く働き、先行している事業所に対してコスト面で追いつくことが到底できない。

などといったことが考えられます。

逆に言えば上に挙げたような参入障壁をいかに築いていくかが、競争優位を永続的に保つために我々が工夫すべきことなのです。



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