まんがで気軽に経済用語

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2015年08月

時事ニュース解説
2015年8月31日

ミスドのドーナツがセール時に小さくなる訳がない理由をこっそり教えます

ミスド
ミスタードーナツ。とても美味しいドーナツが食べられるので、我が家でも大人気です。そんな『ミスド』はうれしい事に、定期的にセールを実施してくれるのですが、セールの度に小さいドーナツを売っているといった『噂』が出てしまっているとの事です。

報道では
買い物客で行列ができる大好評企画だが、決まって話題になることがある。それは「小っちゃくなってないか?」というものだ。中にはセールをする度に小さくなっている気がする、などとツイッターで呟く人もいる。ミスドはドーナツの大きさは変えていないとし、あらぬ噂だと頭を抱えている。2015年8月25日J-CASTニュース
などと言われていますが、少しこのことについて考えてみたいと思います。
  • ドーナツを小さくして大儲け?
おそらくですが、ドーナツが小さくなればその分原価も低くなるので、 「ミスド大儲け」みたいなお話を想定しているんだと思います。「セールで人を呼んでいるのに商品のサイズを誤魔化して儲けを大きくするなんてけしからん」といったストーリーですね。

しかし、このストーリにはちょっとした穴があるので、あまり現実的ではないと考えられます。

(製造工程でのばらつきもあるため、たまたま本当小さいドーナツを手にした可能性も否定はできませんが、会社ぐるみで、セール時にドーナツのサイズを小さくするという対応が考えにくいといった趣旨のお話です。)
  • 小さくしてもそれほど原価は変わらない
例えば、ミスドのドーナツの原価率を仮に20%だとします。(仮にですよ。)そして、その原価はドーナツの原材料費(小麦粉とか砂糖とかですね)のみであるとします。

この時、普段の価格が130円のドーナツを想定します。(ポンデリングとかですね。)その場合、このドーナツの原価は130×20%なので26円です。

ココで、仮にドーナツの大きさを5%小さくしたとします。その場合、原価は1.3円引き下がり、24.7円になります。(多分5%小さいと気が付く人が沢山出るはずです。)

但し、上の例で出したような、原材料費のみが原価を構成しているといった前提は非現実的です。例えば、サイズが小さくなっても工場で働いている人の労務費(人件費)の総額は変わらないでしょうし、工場自体の減価償却費等も変わりません。(製造原価は材料費と労務費、その他の経費で構成されます)

仮に、上の例で製造原価が占める割合のうち材料費が3分の1だったとすると、引き下がる原価額は0.43円になります。

このように、多少サイズを小さくしたからと言って引き下げられる原価は微々たるものであると考えられます。
  • 原価が安くなっているのなら、それはサイズの問題ではなく、稼働率の問題です
例えば、仮に内部資料が出てきて、セールの時だけ製造原価が安くなっているとします。この場合「やっぱり、製造原価が引き下がっている。つまり材料をケチってドーナツを小さくしているんだろう」と考える人が出てくると思います。

しかし、このような場合、稼働率が上がった事で製造原価が引き下がっていると考えた方が自然です。

では、どうして稼働率が上がると製造原価が引き下がるのでしょうか。それは次の例を見ながら考えていきたいと思います。

※ミスタードーナツはお店でドーナツを揚げていますが、分かりやすい例として『工場』を想定します。

例えば100万円の減価償却費等の経費が発生する工場で、100万円の労務費(人件費)をかけていたとします。材料費が一個当たり100円の製品があるとして、

◆1万個製造した場合

総製造原価は100万円(経費)+100万円(労務費)+100円(材料費)×1万個=300万円
製品一個当たりの製造原価は300万円÷1万個=300円

◆2万個製造した場合
総製造原価は100万円(経費)+100万円(労務費)+100円(材料費)×2万個=400万円
製品一個当たりの製造原価は400万円÷2万個=200円

と、工場の稼働率が上がれば製品一個当たりの製造原価が引き下がるのです。
  • お店も稼働率が上がります
そして、ドーナツの100円セールを実施するわけですから売上は伸びることが想定されます。つまりお店は沢山ドーナツを作ることになるのですね。

このような稼働率の改善が見込めるため、ワザワザ、ドーナツを小さくするとはちょっと考えにくいです。
  • 評判を損なうリスク
さて、昨今では企業がよろしくない対応をしたりするとあっという間に悪い評判が広がってしまいます。こういったリスクをレピュテーションリスクというのですが、上で見た通り、わずかな原価引き下げのためにミスタードーナツ社がそのようなリスクを取るとは思えません。

仮にドーナツを小さくする必要があるのならば、それを正式に公表して行えばよい事なので、セールの時だけこっそりとドーナツのサイズを小さくするとはちょっと考えにくいです。

いずれにしても、美味しいドーナツのセールは大歓迎ですね。
 
中小企業診断士_概要
2015年8月30日

働きながら(月80時間超の残業をこなしながら)中小企業診断士に一発合格する方法 合格を最短で実現する学習方法編

neko3
第四回目は『働きながら(月80時間超の残業をこなしながら)中小企業診断士に一発合格する方法 効果的な学習方法編』という記事になります。

さて、読者の皆様は勉強するプロセス自体が目的ですか?勉強のプロセス自体が目的であれば、本記事のような『効果的な学習方法』といった事はあまり考える必要はないと思います。

確かに新しい事を学ぶことそれ自体は大きな喜びであり、人が本質的に持っている欲求の一つであるとも考えられます。

年齢がいくつであっても新しい事を学びたいという人はたくさんいて、新しい事を積極的に学ぶことはそれ自体が喜びでもあり、学んだ新しい事を活用することもできるので、人生の質を大きく改善することができる行動だと思います。

この事を踏まえて、中小企業診断士の試験範囲の内容を学ぶこと自体が目的なのか、それとも、中小企業診断士試験に合格することが目的なのかをもう一度自分の心に訊いてみてください。

そして仮に、中小企業診断士試験に合格することが目的であるならば、学習の効果に徹底してこだわる必要があると考えられます。
  • 素早く合格することが一番です
さて、筆者は中小企業診断士試験は、資格予備校に通って1回でストレート合格しました。また、行政書士試験も合格しているのですが、こちらは独学で2回試験を受けて合格でした。(1回目は確か12点(つまり3問)の不足で不合格でした。)

先に経営法務といった試験科目がある中小企業診断士試験に合格していたため、行政書士試験の出題範囲である会社法について、ある程度知っていました。さらに、法律の学習にそれほどアレルギーを持っておらず、一般的な学習のやり方についてもある程度は身に着けていたため、行政書士試験については独学を選択したのです。

その結果、2回の受験で合格することができたのですが、個人的には失敗したと考えています。というのは、おそらく通信講座や通学講座といった『誰かに教えてもらう』選択肢を採れば一回で合格できたと考えられるからです。

資格試験は一般的に言って一回で受かるのが一番効率が良いと考えられます。というのは、法律系の資格などでは、法律が変わったら、覚え直さないといけませんし、あやふやな理解だと改正前の法律の知識のせいで、誤った答えを導き出してしまう可能性もあります。

さらに、人は物事を忘れる動物ですから、長く試験勉強をしていると、せっかく覚えた内容を忘れてしまい、覚えなおすといった時間のロスも発生します。筆者も、行政書士試験の2回目では、かなりの時間を覚えなおしに費やしました。

このように、長く学習することは、資格試験の合格といった目的から逆算するのならば非効率なのです。(もちろん、長い時間学習すれば試験範囲を深く理解できるといったメリットはありますが。)
  • 独学は不利?
さて、長く勉強すると非効率に陥ると書きましたが、どうしてそのような非効率に陥ったのでしょうか?ちょっと整理してみました。

◆教材選びに時間がかかる
独学の場合、教材選びに苦慮します。というのは、メジャーな資格試験の場合、様々な出版社から様々な教材が出版されているからです。

そして、どの教材も工夫が凝らされており、その中から一つを選択することは大変であるからです。

(もし、診断士試験を独学で対応しようとしている方がいらっしゃっても、教材は必ず一つに絞り込んでください。複数の教材を利用するというのは、一般的に悪手であると言われていますし、個人的にも強くそう感じます。)

と、教材選びが大変と書きましたが、教材選びにかけている時間は有効に使えていると考えられるでしょうか?少なくとも、実際に勉強をしないと、試験の点数は伸びないですよね?

そのため、教材選びなどは『この教材に巡り合ったのも何かの縁だ』ぐらいの気持ちで、素早く決めていく必要があるのです。

◆テキストを読んでも頭に入らない
さて、独学の場合基本的には、テキストを読むことが学習方法になります。しかし、ここにも落とし穴があります。というか、学生時代などを振り返ってみて、教科書を読んだだけで頭に入った事ってありましたか?

仮に学生時代、学校での授業を聴かずに、教科書を読むだけで勉強していたとしたらどうでしょうか?おそらく、二倍の時間勉強に費やしたとしても、授業を聴いていた時の理解度には及ばないと思います。

特に、診断士試験は似たような用語も多いですし、おそらく初めて聞くような概念が沢山出てくるのでテキストを読むだけだと相当厳しいハズです。

相性が合ういわゆる得意科目であれば、ある程度テキストを読むだけでも対応はできなくはないと思いますが、『経済学・経済政策』や『財務・会計』など理解が重要な科目に苦手意識を持つようでしたら、独学は全く賢明でない可能性が高いです。

例えるなら、数学を教科書だけで学ぶようなモノなので、苦手意識を感じている人にとっては苦行でしかないと考えられます。

◆試験対策上のポイントはテキストではうまく示せない
また、仮にテキストを読んだだけで理解できたとしても、試験対策上必要な内容はあまりテキストでは示すことができません。

例えば、運営管理といった科目では統計についての知識も問われます。そして、統計の知識が問われるので、テキスト上もそれなりの分量を割いて統計について書かれています。また、素材についての知識も問われるので、プラスチックの種類までテキストに載っています。

しかし、この辺は統計とか、化学に対しての素養がないのなら捨てても良い分野(つまり別のところで点数をとればそれでいいよ)と資格予備校では教わった分野でした。

「ある程度体系的な知識を積み上げても出題されたとしても1問、4点程度の分野なので、苦手意識があるのなら最初から捨ててしまってください」といった実践的なアドバイスは学習の効率を高めるためには極めて重要でした。

そして、こういった情報はテキストから読み取るのは難しいと考えられます。出題の可能性があれば全ての分野をカバーしてくるでしょうし、「ここは分からなかったら無視して進むこと」なんて書いているテキストってあまり見ませんからね。

◆文章と図だけではメリハリがあまり付かない
どのような資格試験であっても、初めて学習する人がつまづいてしまう所があります。もちろんテキストはそこに多くの紙面を割いて説明をするでしょうけれども、やはり文書と図表だけでは限界があります。

仕事などで他者に物事を説明した経験がある人は同意してもらえると思いますが、文書や図表だけで説明しようと思って資料を作るよりも、口頭ベースで、切り口を変えながら、たとえ話を交えながら説明した方が理解してもらいやすいといった事があります。

このような説明は、不特定多数の人が読むようなテキストに盛り込むと、冗長になりますし、紙面の制限があるため、事実上不可能です。

そのため、試験対策上重要な分野であっても、記述量を数倍にするくらいの事が精いっぱいであると考えられます。
  • 通学講座、もしくは通信講座を強くお勧めします
と、上で見てきたような理由がある為、筆者は独学ではなく、通学講座や通信講座を強くお勧めします。(行政書士試験も何らかの講座を受講していれば効率が良かったのになぁと本心から感じます。)

テキストは初めから提供されますし、講義で説明されればテキストを読むだけよりも強い印象で記憶に定着していきます。また、受験テクニックについてもメリハリをつけて教えてくれます。そして、どうにも理解できないところは質問ができるといった非常に大きな利点もあります。(質問した内容は非常に強く記憶に定着しますよね。)

また、コスト面でも結果として通学講座・通信講座の方が優位であると考えられます。例えば、上記のようなデメリットがあるため、合格までの学習時間が300時間ほど余計にかかったとします。(個人差がありますからあくまで一例ですが)

そして、あなたの時給を1,000円とした場合(一般的には中小企業診断士試験を受験しようとする層の人は時給換算するとこれよりも、もっと高くなるはずです)、300,000万円分余計にかかるわけです。

この300,000万円という水準は、診断士講座でも最高額の講座をフルセットで受講する水準になります。また、時間の使い方は人生の生き方ですから、300時間分の無駄を省けるといった見方もできます。
  • どちらかと言えば通信講座
そして、通学講座と通信講座を比較するのならば、通信講座の利用の方をお勧めします。

というのは、(勉強する・合格するといった意志が強いのが前提ですが)通信講座なら、資格予備校への通学時間をカットできますし、いつでも何度でも繰り返し講義を聞き直せるというメリットは、非常に大きいからです。

筆者は通学講座で中小企業診断士に合格しましたが、講義後にその講義の範囲に該当する音源を入手し(資格予備校でMP3として配っていました)それを倍速再生で繰り返し聞いていました。

ただ、この方法だと、教えてもらった先生と違う人の講義を繰り返し聴く可能性が出てくるため、少しだけ非効率でした。

その点、通信講座であれば最初に受けた講義を繰り返し聴くこと・見ることができますので極めて効率的・効果的な学習が可能です。

どんな内容であっても、繰り返し繰り返し見たり聞いたりすれば頭に入ってくると考えられます。
  • 通信講座で使える最強の学習方法
通信講座でのみ可能となる最強の学習方法といったショッキングな小見出しを付けましたが、タネを明かせば非常に簡単・単純なことです。

これは倍速再生で授業を見る・聴くという方法です。慣れるまで少し辛いですが、慣れてしまえば、非常に効果的な学習方法です。

倍速再生で仮に授業の理解が7割程度に落ちるとしても(さすがに半分という事はないと思います)、同じ時間で二回講義を受けることができるので、時間当たりの理解度は通常の学習よりも良くなります。

この手法は、通学講座では復習時にしか使う事ができない方法(先生が二倍の速度で話してくれるわけはないですからね)ですが、通信講座の場合当初から使う事が可能です。

過激な言葉を使うのならば、頭に流し込むイメージで繰り返し講義を見ると効率が非常に高いと考えられます。(筆者は通学講座だったので、講座の復習でやりました。4回5回と見たり聞いたりしている内に、本当に頭に流し込まれてきますよ。)

音楽プレーヤー、スマートフォンで学べる!【中小企業診断士 通勤講座】
  • おススメ講座
と色々書いていく中で、最近の診断士試験講座についてちょっと調べてみました。すると、大手ではかなり受講料が高騰しているように感じました。

上で言っているメリットデメリットは、正直なところ、独学とその他通信講座等の比較です。そして、通信講座業界内での比較についてはそこまで意味は無いと感じています。

というのは、上記メリットはどのような講座を選択したとしても得られるからです。

また、診断士の試験勉強をしていくと企業の原価構造についても見えてきます。あまり財務・会計の領域に詳しくない人は、この財務・会計を学ぶと、驚くほど商品そのモノの原価が低い事がみえてくると思います。

企業を運営する人たちに支払う人件費、建物などの設備投資に伴う減価償却費、広告宣伝費、教室等のスペースを利用するための賃借料。

これらの項目は、決算書上、販売費および一般管理費といった所に出てくるのですが、この費用がほとんど粗利を食いつぶしている事に驚くはずです。

通信講座専業でやっている企業については、販売費および一般管理費の発生が少ないと考えられるので、一般的に受講料は安く抑えられています。(上記の事から講義・教材の質は値段とは、それ程、相関関係がないと考えることができます。)

そのため、手ごろな受講料を実現しているレボ社の講座は検討に値すると考えられます。
  • まとめ
と、色々書きましたが、本記事としては、総合的にみた費用対効果を考えて独学はお勧めしませんと結論させていただきます。

費用対効果については、診断士の内容を学習していると出てくる論点ですが機会費用といった考え方が出てきます。

独学で余分に費やした時間は、何らかの講座を利用してサクッと受かっていれば、他の事ができた時間になります。そして、そのことで得られるはずの最大の収益を機会費用と呼ぶのです。

機会費用>独学で削減できたコスト

ならば、独学といった方法論が正当化されるのですが、個人的には機会費用の方がどう考えても大きくなると考えられます。

▼詳しい内容はコチラ 


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いずれにしても、中小企業診断士試験は一次試験でも7科目もの内容を学習する必要が、二次試験では4つの領域について論文記述式で問われる試験です。独学は極めて非効率ですので、受験予備校等のご利用をお勧めします。

連載記事
第一回 一次試験編
第二回 二次試験編

経営
2015年8月27日

持株会社 | 事業持株会社は実はそんなに珍しくない形態です

持株会社
持株会社とは、株式会社の株式を投資目的ではなく、その会社を支配する目的で持っている会社のことを言います。

株式を持っていると株主総会での議決権を得ることができます。そして、その議決権の過半数を持っていれば、一般的な事項についての普通決議ならば自らの思い通りにできますし、議決権の三分の二以上の株式を持っていれば重要な事項について決議する特別決議を自らの意志だけで行う事ができます。

※特別決議では、定款の変更や、事業譲渡なども行えます。

このように株式を持っていれば相手の会社に対して議決権を行使できるのですが、その議決権の行使によって、相手の会社を支配する事ができます。

例えば、普通決議が自らの意志のみで行える過半数の株式を押さえれば、取締役の選任が自由にできます。そして、取締役を自由に選任できるという事は、会社を支配することができるという事です。

  • 持ち株会社にも種類があります。
このように、相手の会社を支配することを目的として株式を持つのが持ち株会社ですが、この持ち株会社には種類があります。

それは、事業持株会社と金融持株会社、純粋持株会社です。

事業持株会社は、自らも事業を実施します。事業を営む企業が子会社を持っているようなイメージとなります。

例えば自動車メーカーが子会社として部品メーカーを支配するといった場合、親会社の自動車メーカーが持株会社となります。

あまり持株会社といった言葉の響きが似合わない感じがしますね。
金融持株会社は、支配する子会社が金融系の企業のみである場合が該当します。大きな銀行や証券会社を○○ホールディングスといった企業が支配しているような感じです。

巨大金融グループといったイメージで、この金融持株会社は持株会社といった響きがしてきますね。
純粋持株会社とは、持株会社自体は事業を行わず、企業を支配することを主な事業としているような会社のことを指します。
  • 持株会社のメリットは
企業グループ全体がある程度同じ方向を向いていた方が、より強力な力を発揮できるといった事はなんとなく理解できると思います。

範囲の経済を追求し、グループ内でシナジーを求めるといった感じでしょう。

また、規模の追求を一社でやらずに、あえて別企業とする事で、グループ内の特定の企業が大規模な損失を発生させても、通常はグループ内他社には波及しませんし、グループ内の企業は経営的に独立しているので、経営責任が明確になるといった利点があります。
  • 持ち株会社のデメリットは
これらのメリットに対し、グループ会社で事業をやる場合には、グループ会社間の連携が一社で運営する場合と比較して取りにくいですし、同じような事業をグループ内の他社がやっていることにより、グループ内で競合してしまうといった問題点もあります。
時事ニュース解説
2015年8月27日

日本生命が三井生命を買収するこの機会に、TOBについて説明できる大人になろう

tob

日本生命が三井生命を買収する方向であるとのニュースが入ってきました。この事が実現すると第一生命を抜き業界首位に立つとの事です。

報道によると
国内生命保険2位の日本生命保険は、同8位の三井生命保険を買収する方向で最終調整に入った。2015年8月26日 読売新聞
とされています。

このような大型の買収劇の場合、市場シェア拡大といった切り口で語られるケースが多くありますが、買収手法である株式公開買い付け(TOB)について見ていきたいと思います。

この株式公開買い付け(TOB)という言葉ですが、買収劇が発生するたびに報道されるため、おなじみの言葉かもしれません。 しかし、おなじみの言葉と言ってもイマイチ良く分からない言葉があるように、このTOBといった言葉もわかりにくい言葉であると考えられます。

そこで、この記事を読んで、今日、会社で後輩や部下から聞かれたときに「TOBって簡単に言うとこうだよ…」と説明できるようになっちゃいましょう。
  • 敵か味方かTOB
さて、TOBという言葉には、敵対的とか友好的といった枕詞が付く場合があります。「敵か味方か」なんて言うと、刺激的ですが、敵対的か友好的などといった風に、『的』という言葉を付けるとニュアンスが柔らかくなりますね。

さて、このような『敵対的TOB』や『友好的TOB』といった言葉ですが、ニュースで大きく取り上げられる傾向があるのは何といっても『敵対的TOB』です。いわゆる買収劇とか、企業の乗っ取りといったセンセーショナルなニュースとなるので大きく取り上げられることが多いのですね。

逆に『友好的TOB』はある意味『出来レース』のようなもので、買収されることがほぼ決定しているので面白みがないのかもしれません。
  • で、何が違うの?
と、そんな事を書いていると、「分かったけど、結局敵対的TOBと友好的TOBで何が違うの?」といった声が聞こえてきそうです。

そこで、弊サイトで解説したところを引用してみたいと思います。
敵対的TOBとは、買収対象の会社側(経営陣や関係する様々な会社)が、買収に同意していないにもかかわらずTOBを仕掛けることを言います。
http://keieimanga.net/archives/7771388.html まんがで気軽に経営用語
友好的TOBとは、買収対象の会社側(経営陣や関係する様々な会社)が、買収に同意している際に行われるTOBの事です。
http://keieimanga.net/archives/7774387.html まんがで気軽に経営用語
どうでしょうか?ほとんど同じに見えますか?(それはそうですよね、同じ人が書いているんですから。)

これらの敵対的と友好的の違いは、買収対象となっている会社側が買収に同意しているかいないかによります。そのため、敵対的TOBと友好的TOBについては、やることについてはほぼ一緒であると考えていただければと思います。
  • で、TOBって何なの?
と、遠回りをしてきましたが、いよいよTOBが何なのかについて一緒に見ていきたいと思います。このTOBは日本語で言うと、株式公開買い付けと呼ばれ、英語でtake over bidと記述されることからTOBと略されます。

内容としては、不特定多数の人に「買取価格・買取期間・買取株数」を公告し、証券市場外で株式を買い付ける事を指します。キーワードは、不特定多数、証券市場外、「買取価格・買取期間・買取株数」の公告といった感じになるのですね。

報道でも
三井生命の大株主である三井住友銀行、三井住友信託銀行などはTOBに応じ、保有株式の大半を売却する。三井生命は日本生命の子会社となるが、三井ブランドは残す方向で調整している。三井生命の契約者は、契約内容などに影響はない。2015年8月26日 読売新聞
と言っている通り、三井生命株を三井住友銀行や三井住友信託銀行が売却すると言われています。これは市場外で行われる内容となっております。

例えば仮に、このような買収劇を証券市場を通じて実施すると、株価は日々動きますので当初予測していた金額での買収は難しくなりますし、ある程度株式を集めたけれども、経営権を握るに至らなかったような場合は集めた株式の処分を行わなければならなくなります。

しかしTOBの場合、市場外で行いますので、株価の変動とは無関係に金額を決められますし(とはいえ市場価格と大幅にかい離すると意図したとおり株式が集めらませんが)、期限内に株式を集める見込みがなければTOBの取り消しも可能です。

このような運用ができるため、有価証券報告書の届け出義務がある会社に対する買収については原則としてTOBを実施することとなっているのです。
経済学
2015年8月26日

利下げ | 景気後退には利下げといった、腹痛には正露丸的な対処法です

利下げ
利下げとは、一国の中央銀行が一般的に景気後退局面において行う金融政策の事で、景気の後退を防ぐ事を目的として政策金利を引き下げることを言います。文字通り『(金)利(の引き)下(げ)』なのですね。

と、このように書くと、「どうして金利の引き下げが景気後退を防ぐことにつながるのかなぁ?」と思われる方もいると思われます。

(経済学的にはグラフを描いて細かく説明することもできるのですが(学生さんなら、そのような図を理解する必要が出てくると思います。)、用語集サイトでグラフを見てもそれほど理解が深まるとは思えないので、言葉で説明を試みます。)

金利が引き下がることが景気後退を防ぐ、景気を良くするのには、次のような論理構成となります。
  • 内需への影響
まず、中央銀行が政策金利を引き下げる事により、市中銀行(三井住友銀行とか三菱東京UFJ銀行とかですね)が調達してくるお金の金利が引き下がります。

その結果、市中銀行が貸し出すお金の金利が引き下がります。

すると、企業や個人が調達してくる金利が引き下がる為、設備投資や消費が促されます。
その結果、内需が刺激されて景気が良くなるといったロジックです。
  • 為替への影響
また、金利が引き下がるという事は、金利が引き下がった通貨の魅力が相対的に失われて通貨が売られることにつながります。(持っていれば3%の利息が付く通貨が、2%しか利息が付かなくなったら魅力が低下しますよね?)

この結果、利下げされた通貨の為替レートが引き下がる(と言われています。)

あまり直接的には言われませんが、利下げの結果、為替レートが下落し、輸出が増えるといった効果も存在します。
経営
2015年8月25日

アグリビジネス | 古くて新しいなんて陳腐な言葉を添えたくなる領域です

アグリビジネス
アグリビジネス(agribusiness)とは、農業関連産業を示す言葉です。アグリカルチャー(agriculture:農業の意)+ビジネス(business:商売の意)を組み合わせた言葉と思っておけば覚えやすいと思います。

と、なんだか気取った言葉ですが、農業関連産業ですから、農薬や肥料。鍬や鎌、コンバインといった農機具、種や苗といった種苗。農産物の流通(八百屋さんや青果市場、直売所)や加工(落花生屋さんとかですね)などが含まれる言葉です。

数百年前までなら、いちいちアグリビジネスと総称せずとも、かなり多くの産業がこのアグリビジネスだったと捉えることができます。

社会科の事業で習った大規模なプランテーションもアグリビジネスと言えますし、近年では、バイオテクノロジーの領域も、農業関連産業といった切り口では含まれてきます。(遺伝子組み換え作物などは完全にこの領域ですね。)また、新しい分野では植物工場といったキーワードもアグリビジネスの中に含まれます。 

このように、非常に古くから存在する領域でありつつも、やはりそうはいっても農業は非常に重要な産業分野なので注目を集めつつ有る領域であるという事ができるのです。

陳腐な言葉を使うならば「アグリビジネスは、古くて新しい領域なのです。」という事ができるのですね。
組織論
2015年8月24日

おみこし型経営 | みんなの意見を聞いてというと聞こえがいいですが、実態はリーダーシップの不在です

おみこし型経営
おみこし型経営とは、日本的経営の特徴の一つであり、トップマネジメントミドルマネジメントが支えながら(というか担ぎながら)経営を行っていくといった言葉です。

自分の統括する職能を管理するのがミドル層の役割ですので、「人事は任せておけ!」とか「製造は自分に訊いてください。」といった人たちの集まりが、トップを担いで経営をするといったイメージとなります。

そのため、ミドル層自体には、企業全般を見通すような権限が与えられていません。

企業全般を見通すような権限を持っていない人たちが集まって、経営をするわけですから、近視眼的になりがちですし、部門ごとの部分最適になりがちです。

また、責任の所在があいまいになりがちです。(会社に問題が発生した場合に原因を特定しようとしても、製造部だけが悪いとかそんなケースは稀です。)
  • トップマネジメントは
このような状況になっていたとしても、おみこし型経営となっている場合、トップマネジメントは株主から送り込まれた代理人といった色合いよりも、従業員の代表といった色合いが強いため、リーダーシップを発揮して、方向性を決定するような力に欠けています。
 
そのため、この『おみこし型経営』とは、みんなで決めてだれも責任を取らない(権限と責任が一致していないので、誰に責任をとらせても望ましくない:権限責任一致の原則)といった(かつての)日本的経営の陥りがちだった悪い体質を表す言葉なのです。
経済学
2015年8月15日

買い手市場 | 買い手の立場が強くなる状態を示す言葉です

買い手市場
買い手市場とは、市場で取引されている売り物が、需要に対して相対的に過剰なため、買い手側にとって有利な状況になっていることを示す言葉です。

売り手市場に対応する言葉ですが、あえて書いて市場であると指摘される事は少ないと考えられます。(というのは、現代では財は需要と比較して潤沢に提供されているため、基本的には買い手市場であるためです。)

このような状況の場合、古典的な経済学的説明では、財の供給者が「こんなんじゃ採算が合わないから撤退するよ。」と考え、最終的には需要と供給が均衡し、買い手市場は解消されると説明されるのですが、イマイチその通りには動いていないと思われます。

買い手市場であなたがモノを買おうとしている場合を考えてみます。この場合、あなたにとって欲しいものがあったとしても他の人からも購入することができるといった状況になります。

すると、「確かにそれは欲しいけど、別にあなたから買わなくても…」と言う事ができてしまうんですね。その結果「では10%値引きをします」といった売り手側からの譲歩を引き出せる余地があるのです。

このように、買い手市場は、買い手側にとっては有利な状況ですが、売り手側にとっては不利な状況という事ができます。
  • 人事用語としての買い手市場
さて、この買い手市場は人材の採用現場では良く使われます。採用市場には、景気の良しあしには関係なく基本的に一定の人たちが供給されます。景気が悪いからと言ってほとんどの人は学校の卒業を待ったり、卒業を早めたりはしませんからね。(人に対して、供給なんて言うとちょっと嫌な感じですけどね。)

しかし一方で、人材の需要側の企業は景気動向次第で大きく需要が変動します。そのため、ほとんど毎年のように「今年は買い手市場だ」とか「今年は売り手市場だ」といった風に言っているのです。
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