まんがで気軽に経済用語

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2011年08月

組織論
2011年8月30日

心理的偏向

心理的偏向_001

このまんがのように上長が部下を評価するような場合、本人は公平に評価しようとしても以下のような心理的な偏向が生じます。

1.中央化傾向
みんなの評価が似たり寄ったりになってしまう傾向です。とても良い、とても悪いという極端な評価を避け、みんななんとなく良い、なんとなく悪いといった評価をしてしまいます。

2.寛大化傾向
みんなの評価を甘くしがちになるといった傾向です。このまんがのパートリーダは一年生の評価を甘くつけています。

3.ハロー効果
ハローとは後光といった意味です。これは何か特定の項目でとても良い、もしくはとても悪い何かを持っているとその印象に引きずられて他の要素も評価されるという傾向です。例えばこのまんがのように、リズム感がとてもいい部下はそのほかの楽器演奏能力も高いとみなされるようなケースです。

4.論理的誤差
論理的に関係のあると考えられる項目に類似の評価をしてしまう傾向です。

5.近接誤差
短い時間にたくさんの人を評価したり、評価シート上の配列が近い場合に近い評価をしてしまうような傾向です。

6.対比誤差
評価を行う人と評価される人が対照的な特性を持っている場合に、過大評価もしくは過小評価してしまう傾向です。例えば、神経質な評価者が、おおらかな部下に正しく評価することができずに、過大評価してしまうようなことが考えられます。

7.期末効果
ある期間の評価をするにもかかわらず、評価時点近くの印象で判断されてしまうという傾向です。たとえば、評価の前月までは成果を上げていた人が、評価月に急に態度が悪くなった場合その人のその期間の評価が低くなるといったことがあります。

このような心理的な傾向があることを知ったうえで評価を行う事は、人事考課などに役立てることが可能です。
組織論
2011年8月23日

ファヨールの管理過程論

ファヨールの管理過程論_001
ファヨールの管理過程論とはファヨール(Fayol)が20世紀初頭にその著書「産業ならびに一般の管理」で提唱した管理論です。このファヨール氏は自らの会社経営の経験を、元に著書にまとめたといわれています。

その本の中で、ファヨール氏は企業の経営活動を次の6つに分類しています。すなわち

1.技術活動(生産、製造)
2.商業活動(購買、販売)
3.財務活動(資本の調達、運用)
4.保全活動(設備の保全、従業員の保護)
5.会計活動(財務会計)
6.管理活動(予測、組織、統制)

の6つです。

この中で特に6番目の管理活動を重視しています。

この管理活動は次の要素で成り立っているといわれています。

1.予測
2.組織
3.命令
4.調整
5.統制
そしてこれらの5つの要素から構成される総合的な活動であるとしています。

さらに管理の一般原則として14項目の管理の原理を示しています。

例えば、専門化の原則権限・責任一致の原則統制範囲の原則などがあげられます。

このまんがでは、全体的な観点から管理を見直そうとしていると言っています。
組織論
2011年8月7日

組織文化 | 企業の中にある文化は尊重してうまく活用していくことが重要です

組織文化_001
組織文化とは組織のメンバーが共有する価値観、世界観、行動規範の事を言います。いわゆる社風に近いものです。

組織が提供する経営理念により価値観が形成され、ともに仕事や行動することに世界観が共有されていき、暗黙的なルールが共有され行動規範が似通ってきます。

そして、このように組織文化が形成されると次のような機能と逆機能が生じるといわれています。

1.組織文化の機能(プラス面)
 ①対内的機能(組織内へむけての機能)
 ・同じ価値観を共有する事により、コミュニケーションを容易にする
 ・組織文化が学ばなければならないことを暗黙に指示するため、学習を促進する
 ・組織文化が行動を調整することで意思決定を早くする
 ②対外的機能(組織外にむけての機能)
 ・企業のイメージと評判を外部に向けて発信することが可能となる

2.組織文化の逆機能(マイナス面)
 ・組織の構成員の思考様式が均質化され、変化への対応が困難になる
 ・組織文化の維持そのものが組織の目的となってしまう
 
このまんがでは、パーカッションパートの面々は体育会系の組織文化を持っているため、集合がかかるとしっかりと行動するけど、ホルンパートの面々は自由人の集まりであるため、集合がグダグダになっています。

ただし、環境に適合しない組織文化を持つと発展のためにはならなくなる可能性もあります。そのため、組織文化の変更を促すことが必要となることがあります。しかしこれは現在の組織文化で成し遂げた成功の度合いが大きいほど困難となります。


  • 戦略を重視しがちですが
企業の業績を伸ばすなどを考えると、経営戦略などを重視しがちです。

確かに経営戦略は極めて大事なものです。

しかしその経営戦略を実行するためのバックグラウンドとなり、またどのような経営戦略を策定するかの価値観の元となる組織文化もこれ以上に大事なものとなります

  • 組織文化に合わない経営戦略は実行されにくい

例えば組織文化をあまり考えずに外部環境の分析と経営資源の分析から経営戦略を導き出した場合を考えてみます。

例えば組織文化としては、非常にプロセスにこだわり、長く使える品質の良いものを徹底して追求するような文化が根付いていたとします。

しかし経営戦略として以下のような分析をして策定を行ったとします。


『高いプロセスの実行能力を経営資源とし、市場は安価でそこそこ良いものを求めている』と分析した


ここからそこそこの品質のものを、どんどん市場に投入していくということ考えたとします


この場合組織文化として長く使える品質の良いものという部分と経営戦略に矛盾が生じておりますので、働く人の士気が高まりません。

また最悪のケースでは、「自分はこんな仕事がしたくて、この会社に入ったわけではない」と離職者が続出する可能性すらあります。

これは組織文化の逆機能かもしれませんが、働く人を尊重した意思決定でなかったというところが問題となっています

  • 組織文化が経営戦略を加速するケース

これとは逆に組織文化が経営戦略の実行を後押しするというケースも考えられます

上記のプロセスを非常に重視し長く使える高い品質のものを市場に投入したいという組織文化を持つ企業において、高品質かつ高価格帯で耐久性のある商品を徹底して開発していくといった経営戦略が打ち出されれば、働く人の士気も上がります。

また組織文化に沿った事業計画ですので、事業計画を実行するために必要なことがすぐ組織のノウハウとして蓄積されていきます。

また相互のコミュニケーションも、同じ前提を共有していますのでスムーズに取ることができ、新しい経営戦略であるにもかかわらず素早く実行に移せると言ったことが考えられます。

何よりも、品質重視でプロセス重視であるという組織文化を持っていることが適切に発信出来れば、当社の製品の特徴を企業外部に簡単に発信することができるようになります。

  • 良い組織文化と悪い組織文化
基本的には、組織は人と同じで組織文化に良し悪しは存在しません。

ある局面では長所であっても逆の見方をすれば短所であるということよくあることです。

例えばプロセス重視ということが組織文化として定着してるのであれば、企業の外部環境が安定的であるならば非常に手堅く仕事をすると言う強力な長所となります。

しかし企業の外部環境が変化している時代においては、意思決定のスピードにかけるといった弊害が出てくるかもしれません。

これは別に良し悪しではなくその企業の特徴であると考えられます。

なお、良し悪しではないと述べましたが、不正やごまかしを容認するなど、ビジネスに向いていないような組織文化というものがありますので注意が必要です。

好意的に捉えれば柔軟な発想できるということですが、ビジネス環境において、良いか悪いかは別として、ビジネスには向いていない組織文化と考えざるを得ません。



経営
2011年8月3日

競争地位別戦略 | 競争地位によって取るべき戦略は異なりますがそれぞれにセオリーがあります

競争地位別戦略_001
本日は先日ご紹介しました、競争地位の4類型それぞれの戦略定石をご説明します。

1.リーダーの戦略定石
細かくは、先日リーダーの戦略定石の記事でご説明しましたが、一言でいうと、基本的なオーソドックスな戦略を採るというところです。

一例を紹介すると、リーダーは経営資源が豊富というのが何よりも大きな強みです。この強みは非常に強力であり、奇をてらったことをしなくても良いのです。

ということは逆に言えば、競争相手が奇をてらったことをやってきたら、そのままかぶせてしまえば、経営資源大きさで勝つことができます。

よく、似たような雰囲気の居酒屋がありますが、あれは経営資源が多い、相対的に大きな企業側が後からあえて雰囲気を似せている面があります。

同じようなことをやれば、大きな企業の方が規模の経済や範囲の経済、経験曲線効果が効いてくるので低コストで質のいいものを提供できます。

そのため、あえて似せると言った方法が効果を発揮するのです。

2.チャレンジャーの戦略
チャレンジャーはリーダーにはできない非オーソドックスな戦略で差別化を目指します。対リーダー、創造的、革新的がキーワードとなります。

チャレンジャーは二番手以下なので、リーダーを駆逐する必要があります。そのため、なんとしてでもリーダーの市場シェアを奪う必要が出てきます。

この場合、リーダーと同じ事をやっていてもかなわないため、リーダーとは違う方法をあえて取ります。この方法は苦し紛れに見えますが、とにかくやってみて突破口を開くために色々やっていくしかないのです。

有名な例で、アサヒビールがキリンにシェアで負けていたときに味の軸を変えました。従来は『苦み』がキーワードだったのですが、『コク』と『キレ』に集中してアサヒスーパードライを販売しシェアを逆転したのです。

この際に、キリンがリーダーとして真似してきたらどうなったかはわかりませんが、いずれにしても、アサヒビールは独自の切り口を打ち出すことでシェアの逆転を果たしたのです。

3.フォロワーの戦略
フォロワーはリーダーやチャレンジャーの戦略を模倣します。模倣戦略、低コスト、臨機応変がキーワードとなります。

細々と生き残りを図るのも決してわるい選択肢ではありません。もしかしたら、市場が縮小して、上位陣が市場から退出するかもしれませんから。

そうなると、残存者利益を獲得する可能性すら存在しています。


4.ニッチャーの戦略
ニッチャーは自らの市場を競争者と違うところに定義し、その市場にニッチを築くことを目指します。市場細分化、特定市場でのミニリーダー戦略、特定ニーズがキーワードとなります。

ニッチャーは、その選んだ市場のリーダーとなります。そのためニッチャーの戦略は基本的にはリーダーの戦略定石と同じになります。

説明で出てきた用語
残存者利益
範囲の経済
ランチェスター戦略
経営
2011年8月1日

リーダーの戦略定石 | リーダーの地位をも守り続けるための非常に巧妙な戦略です

リーダーの戦略定石_001
リーダーの戦略定石とは、先日解説した競争地位の4類型のうちリーダーのとるべき戦略定石の事です。以下具体的に解説しますが、基本は「需要拡大・最大の市場シェアを非価格競争で目指す」といったところになります。

以下まんがのコマに対応して解説します。

1.同質化戦略
競争相手が差別化戦略で挑んできた時に、リーダーも同質の戦略を採用して競争相手の差別化を無効化させます。同じ戦略で戦えば規模の大きいほうが強いという単純な理屈を利用しています。
メガネ君はチャレンジャーの地位にある人と同じポーズをとっています。チャレンジャーとあえてキャラをかぶせています。部活内で力のあるメガネ君とキャラがかぶるとチャレンジャーは厳しい戦いを強いられます。

2.最適市場シェア維持
市場シェアの拡大のみを狙うのではなく、最大の投資収益率が得られる市場シェアを確保・維持するということです。市場シェアのみを最大化する為には、例えば僻地にも販売員を配置する、マイナーな雑誌などにも広告を出すなど際限なく費用をかけていく必要があります。
メガネ君は大きくなりすぎずに効率重視といっています。

3.周辺需要拡大
リーダーは既存市場内での最大シェアを確保しているため最大の経営資源を保持していると考えられます。そのため、市場自体の規模が大きくなれば、売上は増加すると考えられます。
そしてこの市場自体の拡大は、①リーダーが独自に成し遂げる、②業界で協調して市場拡大を成し遂げるといった方法があります。
まんがではみんなが協力して影響力を増やそうとしています。

4.非価格競争戦略
リーダーは価格競争をしないということが重要です。リーダー自ら価格競争に打って出ると、市場全体が価格競争の嵐に巻き込まれてしまい、その市場では適正な利潤を得ることが困難になってしまいます。
まんがではメガネ君は時間の安売りはしないといって早く帰ろうとしています。


onnanoko_bustup
ふう、どうやっても地域一番店の地位を奪えないわ…

onnanoko_bustup_2
こちらが新しい取り組みをしても、すぐに同じような取り組みをしてくるし。

neko
でも、それじゃあ相手は模倣しているだけだから、オリジナルのウチの方が強いんじゃないんですか?

onnanoko_bustup
そうでもないのよね。向こうは使えるリソースが多いから、もっと精度が高くて品質がいい対応をしてくるのよ。

onnanoko_bustup_2
さらに、ウチよりも安く提供してくるし。品質とコストと納期は両立しないって勉強したんだけどなぁ。ずるいわよね。

neko_akire
両立はしないけど、経営資源の量が多ければより高い水準でバランスを取ることができるんですよね。



  • リーダーは1社だけ
リーダーは上で見てきたような戦略を取ると良いとされています

どれも非常に守りに強い戦略です。

なぜならばただ一社だけのリーダーの地位を守る。これこそがリーダーの戦略定石となるからです。

  • ウチはリーダーじゃないけど…と考える前に
さて本記事を読んでいる方の多くは、リーダーでない企業にお勤めであったり経営していたりすると思います。(リーダーは1社しかありませんから)

だったらリーダーの戦略定石など知らなくてもいいのかと言うとそうではありません。

これは相手の手の内を知ることにつながるからです。

つまりあなたの企業は市場シェアを奪うために様々な打ち手を使いリーダーの地位に挑んでいくこととなります。

その時リーダーはここに挙げたような戦略を用いて防衛を行うと考えられるのです。

なぜならばここに挙げている防衛策は非常に強力だからです。

そのためこれらのリーダーの戦略定石について、一般的な対応策を用意して行く必要は最低限あるのです。(相手がこう来たら、こう返すぐらいの想定シナリオは用意しておく必要があります。)

関連用語
QCD


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